その9 のつづき
黒野から新岐阜へ戻ってきました。終着駅だというのに、プラットホームもない駅でした。車に急かされるように道路を渡りました。賑やかな街のなかで、路面電車だけが寂しそうに乗客を待っていました。
僕は、日本中の他のどの路面電車よりも、この岐阜の街を走り続けた名鉄の路面電車に最大の賛辞を送りたいと思います。車からのけ者にされても、一生懸命走り続けた路面電車。賑わう町から見捨てられても、車に乗る多くの市民から見捨てられても、最後まで一生懸命走り続けた岐阜の路面電車。この姿を見ると、このまま廃止してしまうのが余りにも惜しい気がしてならなかったのです。