★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

ソクラテスと美しい星

2017-12-11 01:49:00 | 思想
飯田隆氏の『新哲学対話』のなかでちょっと気になった点があったので、「ソクラテスの弁明」を読み直してみた。20年前に一応目を通したはずだが、そのときの感想は、「ソクラテスは理路整然としすぎててこわいなあ」であった。しかしそれはわたくしに、民主主義とは無知の知を自覚するプロセスだということを教えたのである。ただ、ソクラテスの弁明はあまりにも無駄がなく、そして、読者たちよ死んだオレを反復せよ、みたいに言っているところもあって、ドストエフスキーみたいに、二十年後にそういえば気がついたわ、みたいな余裕がないようにわたくしには思えた。文学は、読後何十年先のための細部みたいなのが存在する。しかしソクラテスの場合はどうなのであろう……とわたくしは今でも思う。わたくしが結局、哲学じゃなく文学を選んでいるのもそんなところに原因があるかもしれない。わたくしがたぶん哲学のテキストを読む訓練を受けていないせいだろうが……

とおもって、観たのが「美しい星」映画版。



原作の後半、宇宙人同士でたたかわされる論争が、しばしば論じられているが、この映画ではどうかと思って興味深く観た。原作は予備校のときに読んだのでもうほとんど忘れてしまったのであれだが、映画での論争はあまり心に残らなかった。よくよく考えてみたいとろだが、少なくとも、ソクラテスがすごく知的であることは分かった。



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