中川文人と外山恒一の『ポスト学生運動史』を読んでて、一番面白かったのは、法政大学での「試験粉砕」というエピソードである。何回も書いてきたように、わたくしは不良学生の弾圧を使命とこころえている。初めて知ったが、法政大学では、「留年のピンチなんだ、試験をなんとか粉砕してくれ」と黒ヘルの連中に頼みに来るヘタレ学生がいたというのである。で、黒ががんばって暴れた結果、法政は試験ではなくレポートを課すという大学になったそうである。
わたくしの弾圧教員としての魂を揺さぶるエピソードである。
確か、昔、柄谷行人が法政で教えていた頃、学生のレポートをみて、彼らの「フィーリング」など糞役にたたん(←そうはいってないか)、感じることを考えなければとか、相変わらずのレトリカルな高尚さで閉めていた、――そんな文章を書いていたはずである。
柄谷先生は、学生に優しいですね……。弾圧渡邊は、そんなレポートこそ粉砕、いや添削して返却しているというのに。
法政では、総長や幹部を追及する集会(授業に侵入して質問するだけだが)をがんばって開いていたらしいのだが、柄谷先生も一度やられたことがあったらしい。柄谷先生に「こういうときにどうするのか」と問い詰められ、「こうこうです」と言うと、柄谷先生は「お前は頭がいい。なぜなら俺と同じ答えだからだ」と言って、黒ヘルたちを這いつくばらせていたそうである。さすがである。わたくしみたく、「お前は頭が悪い。なぜなら俺と違う答えだからだ」とばかり言っているのがだめなのはこれで明らかである。明日から実践してみよう。