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★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

音楽の世界の片隅で

2019-04-17 23:39:00 | 音楽
Respighi, Fountains of Rome, 3rd movement, bass trombone & tuba


音楽を聴くことと、音楽を奏でることにはかなり大きな違いがある。前者の場合は、音楽は自分の外と頭のなかにある気がするが、オーケストラの一部に自分がなるときには、音は自分の内から外に出て行き、なおかつ音楽はオーケストラ全体が作用している場所(観客席)でしか存在していないので、自分ではよく分からない。

例えば、レスピーギの「ローマの噴水」を演奏したときに、観客席からは、上のような聞こえ方はせず、バストロンボーンとチューバの位置(かなり片隅である)から聞くそれはかなり違った音楽なのだ。しかし、この音楽は観客席からは聞こえない、いわば車のエンジンのなかの機械音に似て快楽的なのである。わたくしもバストロンボーンでこの曲を吹いたことがあるので、この動画はよけいいい感じがする。

そんな経験が昂じると、CDなどで「ローマの噴水」を聴いていても、たぶん普通は聞こえないバストロンボーンの音の一部のはやいパッセージが聞こえたりする。これは非常に面白い経験である。

思うに、オーケストラを社会に、トロンボーンをある組織などに置き換えることが出来るのである。最初からは、社会を聞こうとしてはならない。


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