★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

猫町より

2013-01-25 23:05:35 | 文学


旅への誘いが、次第に私の空想(ロマン)から消えて行った。昔はただそれの表象、汽車や、汽船や、見知らぬ他国の町々やを、イメージするだけでも心が躍った。しかるに過去の経験は、旅が単なる「同一空間における同一事物の移動」にすぎないことを教えてくれた。(朔太郎)

……こういう見解に対する批判は簡単である。事物を見よ、現実を見よ、外部を見よ、といえばそれですむ。しかし、いまやそんな批判の方が紋切り型である。