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★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

十連休なのでわたくしに限らずいらぬことを考える

2019-04-29 23:21:20 | ニュース


改元だ即位だとかで盛り上がっている醜悪な日本であるが、なんとかしなければ、このままクソさは止まらない。

天変しきりにさとし、世の中静かならぬは、このけなり。いときなく、ものの心知ろし召すまじかりつるほどこそはべりつれ、やうやう御齢足りおはしまして、何事もわきまへさせたまふべき時に至りて、咎をも示すなり。 よろづのこと、親の御世より始まるにこそはべるなれ。


冷泉帝は、僧都から自らの出生の秘密を告げられた。それだけならばよかったが、最近の世の中の乱れは、彼がいい歳してその秘密を知らなかったという咎を示すものだというのである。源氏物語における「罪」の観念がどういうものであるかはいろいろ考え方があるようであるが、帝を動揺させるのは、長い間〈間違えていた〉、という意識ではなかろうか。この感覚は、おそらく源氏や藤壺という実の両親も同じ時間持っていたものであり、宿痾のようにつきあわなければならないものであって――、死んだ母は勿論、父の源氏は動きようがないから、少しでも事態を打開できるとしたら帝自身しかあり得ない。天は、今の科学法則のようなものであろうから(違うか……)、逆らえない。天に繋がる、世を統べる身としては過ちは直ちに修正しなければ、それは世の乱れとして反映されてしまうであろう……。

今回、元号を変えるということに関しては、今の天皇が「平成」の世のあまりの乱れように終止符をうつために提案したものだという説があった。本当のところはわからないのだが、そうだとしたら、予祝的祭司の面目躍如と言ったところか。しかし、いまの憲法は天皇を国民の憲法意思そのものの現れみたいに書いているので、ただひとり、憲法違反を行えないのが天皇でもある。象徴天皇の道は果てしなく遠く、みたいなことを話していた天皇であるが、それを言明しなければならないほど憲法意思をしっかり持ってそれを実現していなくてはならないのである。国民はそうでもないし、与党は無論である。それは、天皇がつねに意思を肩代わりしてくれている面があるからである。予祝と憲法意思(つまりは戦争に対する反省だ)の両輪の役割に照らして、今の日本はどうしようもない。一度、わたくしがリセットしましょう、という訳かもしれない。

ともかく、我が国は、天皇がまず責任を感じなければならないような仕組みは、源氏物語のときから全く変わっていない――ずっと変わらなかったわけではないが、そんなところに帰ってしまったのかもしれない。

そういえば、以前どこかで、平成の乱世っぷりを、美智子皇后が畏れ多くも天皇に嫁いだからであり、さらに皇太子も同じ事を繰り返したせいであり、といったことを言っている人すらいた。ここまででなくても、天皇一家の様子を、「雰囲気いいよね」「悪いよね」とか浮かれている輩は多いわけだし、「令和」になって平和になって欲しいです、とか言うてる国民は多い訳である。頭が悪いとしかいいようがないようにもおもえるわけだが、――難しく考えるより、これは一種の「いい子」いじめであるとみなした方がいいかもしれない。一種の厄払い的な感覚がそれを支えている。

今度の天皇は、最近の天皇に比べて人気がない。

こういうときに、天皇は我々の似姿ではないから、キルケゴールではないが我々は自らへの絶望を決して感じないので死ぬこともない。逆に元気になってしまうのではないか。思うに、平成の天皇はあまりにいい子ちゃん過ぎて、逆に我々がぐれてしまったのかもしれない。安倍氏などは、どことなく庶民と似ているから彼を否定することは今の国民には難しいだろう。いっそ、今度の天皇には、不倫とか暴言をやっていただいて、天皇の色好みの伝統並びに庶民の共和制への目覚めをうながすというのはどうであろうか。

だいたい、日本国憲法の天皇の規定である「象徴」がなぜか良い意味しか代入できないようになっているのが、平和主義とタッグを組んで両方を担保するという巧妙なやり方であるのと同時に、非常に欺瞞的なのだ。それによって、昭和天皇の責任まで問えなくなっている。平和主義がアメリカに引き摺られて没落した後、その象徴が平和主義まで担ってしまったわけだが、そんな風に国民が楽をする必要はない。

そう考えた場合には、我々は、もう一度、天皇なしで悲惨な敗戦を経験し、内なる罪を断罪して0から出直せと言うことになる。

が、それはないので、やはり次の天皇に暴れてもらうほかはないようだ。さすれば、国民が本当の厄払いとして天皇制を放り出すかもしれないからだ。

いとしの令和 [日本語訳付き]

2019-04-01 23:45:07 | ニュース
いとしのレイラ [日本語訳付き] エリック・クラプトン


今度発表された次の元号「令和」であるが、長期政権を続ける安倍政権らしく、なかなかの手強いものであった。安部氏が考えたのではないから、ブレーンがやったのであろうが。明治大正昭和平成というのは、意味を「読み込めない」平板さを持っていたので、まさに記号的であって、出来事によって意味が充填されていった。しかし「令和」は違う。もう既に意味の塊なのだ。いってみりゃ、多義的な意味を――、多くの人がご託を並べられるようになっているのである。たぶん、そこまで計算されているとわたくしは思う。

こういう場合、どういうことが起きるかといえば、多数決や空気、もっといえば政情や為政者によって言葉の意味が変更されてしまうという、まさにファシズムの定義とも言うべき情況があらわれるのである。いわば、話し合いで、クズみたいな意見が正解になりがちになるのと一緒である。

かつて、昭和時代に――アジア主義的理想や、帝国主義、労働者、その他文学作品の意味さえも変更させられてしまったのは周知の事実である。戦争の時なんかは、天皇の意味さえ変わってしまった。もともと仕掛けられていた意味が芽吹くときがある。

というわけで、芽吹くかもしれぬ意味を列挙してゆくことにいたしましょう。

1、「いとしのレイラ」が脳内再生スタート……ロックファン(実は、わたくしも……、国文学者として切腹したい)

2、「和せしめよ」(仲良くさせる)かな?……受験生、あるいは文学部の一年生(普通、「令」は字の起源から言ってもそういうかんじだよね)

 2-1、命令するな……社会党

 2-2、さっさと命令に従えよ令和生まれは……パワハラのひと

3、一瞬で「あっ万葉集だ」(天平二年正月十三日に、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す)と気づいた人……専門家ですね。マニアかな……。

4、万葉集が出典。しかし「序」は漢文だろと憤る……漢心排斥派

5、大伴旅人と憶良のすばらしい場面だよ……日本浪曼派。

6、元ネタがあったよ(契沖とか文選に)。無学な人は反省しろ……「日本古典文学の起源」派

 6-1、日本文学などない。中国文学のパロディがあるだけだ。……文学は織物だ派

 6-2、パロディで悪いか……ナルシスト派
 
 6ー3、実は安倍政権などを批判している文脈がかくされていたぞ……ショスタコーヴィチ派

7、太宰府の場面だね……グローバリズム派

 7-1、グローバリズムじゃねえよ、中国の属国だろ

 7-2、グローバリズムじゃねえよ、日本の相対的独立だ

 7-3、東洋の文化的交流の世界だよ(カルスタ派)

8、「令和」には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められております。万葉集は、1200年余り前に編さんされた日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく、防人や農民まで、幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、わが国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書であります。悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄を、しっかりと次の時代へと引き継いでいく。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい、との願いを込め、「令和」に決定いたしました。文化を育み、自然の美しさをめでることができる平和の日々に、心からの感謝の念を抱きながら、希望に満ちあふれた新しい時代を、国民の皆さまと共に切り開いていく。新元号の決定にあたり、その決意を新たにしております。……安倍晋三

9、レイは……エヴァンゲリオン派

10、違和感しかない……庶民

11、あかるいニュースがあるといいよね次の時代は……庶民

12、響きがいいよね……庶民

13、元号の印刷スタンバイできました……コカコーラその他企業

14、平成と昭和をなんとなく合体させたな……わたくし

15、二日酔い状態で平和というと令和になりそう……わたくし

16、元号はさっさとやめていただきたい……ビジネスマンの潜在的意見

17、元号は日本の伝統だ……世界史未履修?

18、解釈は大衆の沈黙の言葉でいいじゃないか……旧吉本派


……まだまだあるかもしれないが、8が強力なのは、文学作品や言葉に「思いを込める」ことが読むことであり解釈は自由だと思っているマジョリティには案外精密に見えるからである。たぶん巻五の該当箇所をよめばよけいそう思う可能性がある。しかし、安倍氏氏の言っていることはほぼ万葉集の説明としても巻五の序の説明としても間違っている。わたくしの授業のレポートでこんなのが出てきたら、問答無用に書き直し、あるいは落第であるが、世の中は厳しい。安部氏の手法は近代社会でよく行われてきた「政治的美学化」というやつであり、これに社会が抵抗するのがとても難しいのは、戦後の思想家が苦労して論じてきたところだ。これに抵抗すべきなのは、テキストに即した強力な〈読み〉の言葉の組織であり、それが為政者の美学化を許すような多様性の浮遊を相対的に止めることができるはずだ(わたくしは、ベンヤミンの「美学の政治化」の戦略にはやや懐疑的なのだ)。しかし、メディアもそういうことが分かっているから、今回、メディアには萬葉学者のまともな意見は全然でてこなかった。学者もいいたくはないのである。作品について何か言うことの恐ろしさを知っているからである。でも、わたくしのように軽口を叩く人も多いから油断は出来ない。

とりあえずの結論:あさましきもの。[…]人のために、恥づかしう悪しきことを、つつみもなくいひゐたる。

甲子園惨敗速報2018夏

2018-08-12 23:31:13 | ニュース


甲子園大会はもう100回目だということですが、そんなことは完全にどうでもよく、今年もわたくしが以前暮らした県がいかに惨敗して行くかという夏でございます。中間報告です。

長野吉田(長野)10-0木曽青峰(長野) ……ど、どんまい

山梨学院(山梨) 12-14 高知商(高知) ……信玄対龍馬、サブカル的にいって龍馬の勝ち

旭川大(北北海道) 4-5(14回)佐久長聖(長野) ……ところで松商学園はどうしたんだろう……

日南学園(宮崎)2-0丸亀城西(香川) ……おしいっ。もう一回相手が受験勉強に疲れた高松高校だったらいけたはずだ、なわけはないのだがそれはともかくにこにこ顔のエースに惚れた

興南(沖縄) 6-2 土浦日大(茨城) ……ところで常総学院はどうしたんだろう……、惨敗したんですね

白山(三重) 0-10 愛工大名電(西愛知) ……愛知は空気読めよ。お隣さんだろうがっ

ちなみに第50回の様子↓
第50回全国高校野球選手権大会(1968年) 抽選会~開会式【HD】


行進とか選手宣誓はこっちの方がいいわ。

おまけ↓
"貴ノ岩に厳しい貴乃花親方"のモノマネをする松村邦洋

火星大接近

2018-08-01 01:43:12 | ニュース






火星

……一五年ぶりの大接近らしいのである。そろそろ火星への移住計画が始まっているらしい。火星に行っても問題は相変わらず浮気とかなんだろうね……。もっともその気は薄いであろう。

みーたん!みーたん!

2018-07-21 18:58:08 | ニュース


御嶽海(あだ名はウィキペディアによると「みーたん」らしい。猫かっ)がするっと優勝した。すばらしいっ

御嶽海とわたくしは出身高校がおんなじで、しかも一面識もない。一〇年以上前だと思うが、帰省したときに、最近上松出身でめちゃくちゃ強いやつがいるらしいぞ、と噂に聞いていた。大道君という……。それが今の御嶽海であった。中学もわたくしと一緒らしいが、一面識もない。しかし、彼が稽古した土俵で同級生に負けたことはある。

わたくしの同級生にも相撲で強いやつがいて、仲がよかったから、相撲が身近に感じられることだけは確かである。しかも体型がお相撲さんみたいといわれたこともかなりある。文学的には、木曽出身相撲取り御嶽海、木曽出身相撲体型渡邊史郎、ほぼ同一物とみてよいだろう。

自分の取り組みの録画は勝ったときにだけみる方針らしく、「仮面ライダー、ウルトラマンを見るのと一緒。勝つから見る。自分が格好いい取組を見たいから」https://www.asahi.com/articles/ASL7N4174L7NUTQP00X.htmlと言っている。えっ!?

そういえば、以前、テレビに出てたときにも、いかにも現代っ子みたいな発言でちょっといい感じであった。「憎たらしくなく面白い朝青龍」みたいになることをわたくしは期待している。

がんばれ白鵬

付記)ところで、御嶽海は長野県出身で初の優勝らしいのだが、江戸時代までさかのぼると、伝説の「雷電」が長野県出身らしいのである。この人はほとんど負けたことのないひとで、ウィキペディアには、彼に勝った力士一覧表が載っていた。ちなみに私も白鵬に夢の中で勝ったことがある。――理科のテストで。




メガネっ子ができる野球の方がいいと思う

2018-06-19 23:15:24 | ニュース
彼は、学校で蹴球(アソシエーション)をしていて、顔を蹴られ、顔中繃帯ほうたいをして病院へ通っていたのであった。実際間の抜けた話ではあるが、上から落ちてくる球をヘッディングしようとして、ちょっと頭をさげた途端に、その同じ球を狙った足に、下から眼のあたりをしたたか蹴られたのである。眼鏡の硝子ガラスは微塵みじんに砕けて、瞬間はっとつぶった彼の眼の裏には赤黒い渦のような影像がはげしく廻転した。やられた! と思って、動かすと目の中が切れるかもしれないとは考えながら、でも、ちょっと試す気で細目に瞼まぶたをあけようとすると、血がべったりと塞ふさいでいて、少し動くとぽたりと地面に垂れた。

――中島敦「斗南先生」




日本チームが玉蹴りでコロンビアに勝ったらしい。でもコロンビアにはマルケスがいるから大丈夫っ

男の人生

2018-06-12 23:30:10 | ニュース


トランプと金正恩の握手を見ていて、政治のことはどうも――将棋が苦手なわたくしなど、先の一手というのが読めず、――日本人にはこういうぼーっとしたわたくしみたいなのが多いと思うのであるが、演歌の世界を思い出した。例えば杉良太郎の「男の人生」では、「歩いた道に悔いはない」とかゆうて、最後にはこうある。

過去をほじくりゃ きりがない
俺とあいつの 生きざまを
笑ったやつも いたけれど
俺はうしろを 見たくない

見ろよ、と思う。ちゃんと後悔しなきゃだめだ。北島三郎の「男の人生」でも、

花の咲く道 茨の道も
人はそれぞれ 運命を歩く
義理を背負って 真実を抱いて
奥歯かみしめ 生きてきた

その「真実(まこと)」とやらを、400字以内で答えよ、としか言いようがない。また山川哲の「男の道」では

男度胸は この世の定め(←違います)
山があれば 谷もある(平野もあるよね……)

といった感じで、もう少し頭の良い屈撓性のある男の人生もありそうなものである。が、三文オペラのフィナーレを聞いていると、上の男達は結局、精神において小市民であったという感じがする。上の男達には、このオペラの結局は嘘であったところの結末で、マクヒィスがいう「ああ、分かっていたのさ。困難が極まれば、自ずと道は開けるもんだってな。」というせりふを思い出させる。しかし本当は男マクヒィスは助からない。で、かわりに貧者達のコラールが響き渡る。

Verfolgt das Unrecht nicht zu sehr, in Bälde
Erfriert es schon von selbst, denn es ist kalt.
Bedenkt das Dunkel und die große Kälte
In diesem Tale, das von Jammer schallt.

すこしのワルさなんかは大目に見ろよ、だってすぐに
この世界はすごく寒く、ワルさは凍りついてしまうんだからさ
この漆黒と極寒について考えてくれよ
この世界の谷間で、嘆きの声が響き渡っているのが聞こえないのか。

われわれは、ちょっと食えるようになったからといって、自分の少しのワルさと世の寒さと嘆きを忘れてしまっているようだ。ブレヒトが言うように、われわれのワルさが大目に見られていたのは、われわれが寒さに震えていたからであった。しかし、いまや暖かい部屋に育った子犬の戯言など、世界ではあまり聞いてくれないのであった。男の人生どころか、人間の人生が問題だ。ところが、テレビに写っているところの――金やトランプは、案外「男の人生」的な人間にみえるところが面白い。

【かわいい】鶴竜優勝【つよい】

2018-05-27 23:27:31 | ニュース


保田與重郎の「木曽冠者」を読み直したが、まあそれにしてもだらだら書きやがって最初に結論を言ってくれよと思わないではないが、これはブルックナーのようなもんだと思えばいいのかもしれない。このエッセイで、幸田露伴の「頼朝」が彼を「優美に泣く人」と書いてあるのをイイネしてしまうのが保田であるが、わたくしは、こういうところが露伴も保田もいやである。勝手に泣いてろよ、である。

保田によれば、木曽出現と滅亡は、「歴史のための必要な至上命令」で、義経とともに次代のための「橋」のようなものであったらしい。だからこそそれは「懐かしく戯画化され」たのだそうだ。ああそうですか、田舎ザルを殺しても懐かしく回想すればそれで良いのですか、そうですか。えせ弁証法論者の保田に限らず、すぐ歴史とか現在という作者とかなんとかいう人たちをわたくしはあまり好きじゃない。こういう人たちは、せいぜい異物を媒介物と見なすところで思考がとまってしまい、観察や勉強をやめてしまうからである。ただ、確かに保田は戯画化に涙するような面白い感性をもっていた。義仲が好きになるであろうとみなした――彼が期待していた同時代の「日本の少年達」は、必ずしもそうではなかった。保田は、なぜそんな単純なことが分からなかったのであろうか。山本有三みたいな人との対決を避けていたからかもしれない。

保田が見ようとしていたのは、日本みたいなものじゃなくて、道ばたの淫祠のようなものだった。この気分は、とてもよく分かるのである。しかし、これが案外、多くはコンビニみたいなものであったことが保田にとってもわれわれにとっても不幸なのであろう。木曽殿は、おそらく保田が思いたいほどには素朴なやつではない。都会の人とちょっとの違いがあるだけだったのである。

西城秀樹の思い出

2018-05-18 19:48:05 | ニュース


西城秀樹の思い出は……



ない。というか、つい最近まで野口五郎と混同していた。ちなみに、最近、田原俊彦と近藤真彦が別人であることも知ったし、もちろん、SMAP、トキオも患者にエイトなど、誰一人個体判別ができない。

これはわたくしだけの問題であろうか。まったくそうは思わない。政治家に対してなんか、ほとんど同じような顔に見えている人がほとんどであって、ネット上での罵りあいなんか、一人一人をきちんと判別する感覚が働き過ぎる人は参加していない。だいたいにおいて、俺一人で世界を救うみたいなモチベーションの輩ばかりであって、その実、陳腐なほどその意見が紋切り型なのである。なぜかと言えば、ほんとは俺一人ではなく、誰かの意見の劣化コピーをしゃべっているだけだからで、俺一人が少なくともほんとは二人であることをあんまり自覚できないほどの感覚だからやってられるのである。まあしかし、一般に、そういう人でなくとも、自分が一人であるか二人であるかはあんまり判然としない。まともな人はそう思っている。

西城秀樹に「ヒデキー!」とラブコールを送っていた人たちに、群れている感覚はあったのであろうか。わたしの推測するところ、あまりそういうわけでもないのだ。孤立した主体はヒデキなのに、案外、自分もヒデキであり、ヒデキは自分でありみたいな感覚が働いているのではなかろうか。こういうときにこそ、人はそろって同じようなことをやっているものではなかろうか。

実生活で孤立しているかどうかは関係ない。デモやコンサートでの個の融解と、人間関係への闘争や逃避は、めんどうな他人からの逃走/排除という意味においてそっくりなのであり、――しかしそれによって上のような錯覚による個(俺一人)の出現があり得るのである。

まあ、そんなことはどうでもいい。京大の立て看が排除されたとか抵抗しているとかニュースになっている。京大から立て看をなくしたらまた京大の取り柄がなくなってしまうというのは、――他の国立大がかわいそうだから言いたくない。むしろ、その根拠となっている景観条例とやらが恐ろしくくだらないのである。実際に条例をみてみたが、小学生の絵日記並みの感性だ。

私たちの京都は、変化に富んだ海岸線、四季折々に様々な表情を見せる山並み、清らかな水をたたえる河川など、豊かな自然に恵まれており、この美しい自然とのかかわりの中で、丹後から山城までの各地域において、人々の営みや歴史と伝統に培われた文化を映しながら、多くの個性豊かな景観が形成されてきました。しかしながら、都市化の進展や人々の価値観の多様化が、府民の生活や生業に大きな影響を与え、多くの良好な景観がその姿を変え、失われつつあります。私たちは、一人ひとりが、身近にある良好な景観の価値を認識し、府民、事業者、市町村及び京都府の適切な役割分担と協働の下、良好な景観を保全し、育成し、かつ、創造することにより、府民共通の資産として将来の世代に引き継いでいかなければなりません。



知るかっ、という感じであるが、人の生活や価値観の多様化より景観をとるその根性と品性があかん。景観と言うが、本当は景観の問題ではなく、たぶん庭や部屋が汚れているから綺麗にしようみたいな意識である。おそらく土地所有の感覚に近いとみた。どうも京都にいくと、「ここはなんだか死んだ町だな」と思うのは、そのせいだったのである。むろん、これはわたくしが坂口安吾に影響されているというのはあるわね……。すなわち俺一人の意見ではない。もっとも安吾は法隆寺を壊して停車場を作れとかいっていたが、安吾が東京の雑踏が好きだったためだ。安吾が反発しているのは、法隆寺や平等院が醸している私的所有の雰囲気だ。だから「停車場」なのかもしれない。わたくしは、停車場は好きではないが、法隆寺も京大の立て看も好きなので残してあげたい口である。破壊や排除はいやだねえ、と思うからであるが……。

イスラエルとパレスチナでもそうだが、あれはもはや宗教の対立ではない。オレの道路に入るなみたいな、立て看排除と同じく、権力を持った盗人が自分の庭を守ろうとして殺人をやっているだけだろう。田島正樹氏が以前、イスラエルはもう消滅するのは必然。それが正義だろう、みたいなことを言っていた気がするが、――と思ったら今日のブログで再掲されていた。ただ、盗人が勝つこともあるかも知れない。世界的に、グローバリスト(帝国主義者)は、孤独を好むようになってきている。正義の実現は常に移動を迫られる。つまり、パレスチナで無理なら、京大で無理なら、他の土地や大学で……。無理か……。

つまり、広い意味で、「難民」を出したら一巻の終わりというのはあるのである。錯覚による個の出現やそれによる喧嘩は簡単に止まらないし、人が意見を持つ時の不可避的なプロセスでもあろうが、――極端な結果が生じてしまうと、人は人を許せなくなるからである。

朝鮮戦争終結かねえ……

2018-04-28 15:40:04 | ニュース


南北首脳会談のニュース見てたら、シャンパンにややほろ酔い加減の【エ】リトルロケットマン【リンギ】さんがなんかゆるキャラみたいに見えてきた。もうそろそろ日本でも人気が出てくるのではないか。たぶん、この一連の動きには、中国が深く関与しているとわたくしは思う。まあ、北朝鮮が本格的に中国の元に返ったのではなかろうか。日本が蚊帳の外なのは当たり前だ。今に始まったことじゃなくずっと蚊帳の外なのである――というのはある意味においてで、本当は朝鮮半島の分断には多大な責任があるのだ。

軍事境界線は、国境線ではない。いつまでも、朝鮮半島のあの位置にあるとは限らないというだけのはなしである。日本も、いつまでも朝鮮半島を彼岸みたいに考えていると自ら境界線になってしまいかねない。――こんなリスクをあえてとる韓国の大統領、結構すごいのかもしれん……

わたくしがあれな政治家なら、もう一回朝鮮併合などを考えかねない局面である。

しかし、そんなことは無理であろう。日本人に文化的、文学的な自律性が失われて液体みたいになっているからである。もはや、世界のまともな人々からみて、人間の共同体には見えないはずである。

この前『最後のジェダイ』というスターウォーズの最新作を観たが、もう、この作品を支えていた「光と影」みたいな冷戦図式が賞味期限を切らしていているのがよく分かった。光りが影でありみたいな、反転が自動化しているので、最終的にはデモクラシーを超能力に頼るみたいなオカルトに陥るのである。つまりこれは、スターウォーズの「ガンダム」化であり、そろそろただの自意識過剰イケメン紙芝居に陥りかけていることのあらわれである。こういう現象自体は人間のものであるというのもやっかいである。北朝鮮が不可視なモンスターであることをやめたときに、ついに世界は、上の反転の自動化みたいなもので覆い尽くされるかもしれない。上で「液体」と言ったのは、そんな自動化があまり意識的でなくなったときに起こる。

ニュース雑感

2018-03-02 07:57:56 | ニュース


・「東京五輪マスコット決定 作者はフリーデザイナー「妻を回らないすしに連れていきたい」」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180228-00000032-tospoweb-spo

……賞金は100万らしいが、ちょっと安すぎるんじゃねえかな……。才能が逃げるぞ。子どもっぽいキャラだなーいやだわー、と言っていたら、細君が「これきる人頭重くて大変でしょ」とコメント。さすがだ。わたくしには、労働者の悲しみがわからないのであろう。

・「清く正しく美しく」宝塚の舞台へ 音楽学校で卒業式 https://www.asahi.com/articles/ASL3135LHL31PTIL00L.html

……どうみても、この前の北朝鮮の美女軍団に似ている。おそらく影響関係すらあるのではないか。こっちからあっちへの。だから、あれをあまり笑えないと言っているのである。マスゲームだって日本人は学校で大好きだし、職場でも大好きではないか。――まあそれはともかく、古代だけでなく、日本と朝鮮半島はすごく影響を与え合っている。わたくしは宝塚演劇はあまり好きではないが、西洋音楽のオペラのいくつかは好きだし、宝塚の影響を受けた手塚治虫も尊敬している。文化独自的全体性などというものはまあないようなもんだ。作品はあるけど。

・羽生選手に国民栄誉賞授与へ…連覇偉業を評価 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180301-00050129-yom-spo

……くだらないですね。ケガを乗り越えたやつなんて、ほとんどの選手に当てはまるでしょ

・文大統領が日本批判 3・1演説 慰安婦と竹島挙げ https://mainichi.jp/articles/20180301/k00/00e/030/251000c

……わたくしは、オリンピックの調子から言って、抗日運動の記念日の3月1日に、北朝鮮と共同宣言でもぶち上げると妄想していたのであるが、そこまではさすがになかったか。いずれにせよ、北朝鮮は無論、韓国の内部にだって、日本と同じように歴史観の対立はある。それをどれだけ認識し、長い目で見てなにをすべきか考えるべきなのであろう。すくなくとも政治家は。我々は、ばかにならないと意志を貫けないような癖がある。このまえ学生にそれを話したら、すごく納得してたね……。

・CMでさっそく、英語の四技能のためにうちの予備校キテキテ、みたいなのが流れてた。go to hell