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★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

労働者であることを忘れて今日も出勤してしまった件

2018-05-01 23:22:35 | 大学


汝の部署を放棄せよ
汝の価値に目醒むべし
全一日の休業は
社会の虚偽をうつものぞ

永き搾取に悩みたる
無産の民よ決起せよ
今や廿四時間の
階級戦は来りたり

……汝の部署を放棄してえなあ

そういえば、この前、望月衣塑子氏の『新聞記者』というのを斜め読みしたのだが、なんというか、もーれつ社員そのものといった感じであった。わたくしが昔から新聞の文体というのを嫌いな理由が分かった。わたくしは、もっとゆったりした時間の中でしかものを考えられないのである。こんな忙しく突き進む人の文が性に合わないのは当然のことであった。

マスコミは常に政治とある種の対立を演じることがあるが、どうも昨今は、政治もマスコミ化しているような気がする。ネット右翼なんかもある意味、メディアリテラシーの流行の結果でてきたものだ。吟味しているうちに、本質的にメディアの軽薄さだけを模倣してしまったのである。

必要なのは、文学やら哲学やらを読みながら、その肉体でのんびり人間観察をすることだ。

まだまだ寒いですね

2018-02-20 23:51:05 | 大学


・夜のニュースでスピードスケートの小平さんが、お世話になった人のために実力以上のメダルを狙いにいったらだめで、もっと自分に即した意識をもって究極の滑りみたいなものを目指したらそれがよかった、みたいなことを言ってて、すばらしかった。「金メダルとか、順位というものは自分でコントロールできないから意識してもしょうがない」、オランダに留学したのも「文化としてのスケート」を学びに行った側面があると。それに対して、NHKのインタビュアーが一生懸命に「お世話になった人への感謝」と「金メダルを執念で狙いに行った」みたいなことを言わそうとしていて哀れであった。だから、そういう意識がだめだと言っているじゃねえか、人の話を聞いてんのかっ。小平さんが言っているのは、アスリートが金メダルを目指して日本と家族のためにがんばるみたいな、エゴイスティックで頭の悪い物語の全否定であり、そういう物語がかえって我々のパフォーマンスを往々にして下げるということである。例えば、戦争などもおんなじである。第二次世界大戦の日本なんて、東亜や日本や家族のために勝とうとしたから負けたのである。――それにしても、我々がコミュニケーション能力とか言っているものが、あほな方の要求に答えてやることであるのがよくわかる。しかし、一流の人は、「あんた人の話聞いてた?」みたいな態度をとらないのがすばらしいですね。要するに、否定は肯定と同じことになる――いくらくだらないことでも他にかかずらうことは、自分ではなく他人に即することであり、いずれにせよ危険なわけである。

・大学は、素人が専門家面してものをいってはいけないというモラルを教えるところである。賢い学生から馬鹿にされているのに気づかない教員は論外である。しかし、これは所謂専門家も簡単に「専門家面」ができるということを意味しない。実務家教員というものがおそらく殆ど場合だめなのは、自分に対する専門知を持っていないからである。これがないと、レジメや資料がキチンと作れない。自然と、授業は思い出話に墜落する。

・首相って森羅万象について答える立場だったんだ……。はじめて知ったわ。権力をもった素人が適当にしゃべると大変なことになるのはこういうところからもわかるな。

・最近は、エリートがアイロニーを解さなくなって久しいな。原因ははっきりしてて、アイロニーを理解しないふりして相手を批判できるからである。アイロニーは一種の「ボケ」なので無防備なのだ。そこをつくと相手は自分の主張をアイロニーとして主張できない。かっこわるいからね……。エリートが生存競争だけを目的に生きるようになったことが原因だ。

・もしかしたら、アメリカは北朝鮮に好意を持っているのではなかろうか。特に何もされてないからな……。朝鮮戦争でひどいことをしてしまったしね……。アメリカには、「あーあの戦争を日本にやらせとけばよかたわー」と思っている人がいるとみた。そもそも北朝鮮は世界で厳密に言えば孤立なんかしてないだろう。他にもすげえ人権侵害やっている国はごろごろあるしね、特に珍しい国じゃないわな。あ、わかった。森羅万象に対応しなければならない人だけに対応してもらおう。そんないろいろできないから対話のための対話が一番いいじゃん。日本人の得意技じゃん。

・国内は意見を封じて仲良く、他国とは喧嘩してもいいようなきがするのは、間に海があるからよかったねとしか言いようがない。でも、今は本当に実質的に海なんかあるのかな……

・学校の教員は、半端なリアリズムを子どもに教えるなよな……。まあ、根本的に宗教施設だから仕方がないか……。施設から出たからといって、同等のひどい世界が広がっているけどね……。全教科できる(「できない」、でも可)人が教えているのが根本的に問題なのである。「わたくしは森羅万象について答えなければならない立場にありますけれども、詳細を把握しているわけではない」。学校の教員はかくして首相じみてくるのであった。大学教員もちょっと油断するとそういう魔圏に落ちる。大学の教員の資質の問題ではない。自分に即した追究を止めると必ずそうなるのである。

大謝恩会

2018-02-20 09:24:03 | 大学


研究室の謝恩会がありました。入ったこともないいいところで行われました。↑夜景を撮ろうとして失敗



80年代のスカしたトレンデードラマでは、こういうところで、調子こいてワインをとかを婚約者と飲んでいると、浮気がばれたりします。



花束ありがとう!

図書館でブックリユースが行われていたので

2018-02-07 23:58:17 | 大学


・『無意識の発見』とか『快楽の転移』とか『宇宙からの黙示録』をいただいてきた。あと、筧克彦の分厚い仏教論とか…。

・ぴょんぴょんオリンピックはそろそろかな。やべっ、恐ろしいほど興味がない。このまま東京五輪にも興味がないまま老後を迎えそう……

・海の王子と福顔の皇族の女の人の結婚が延期になったそうである。ああ、かわいそうに。一般人だったら、延期ということはまず破談を意味するわな。まあ別にいいや、両性の合意のみによって行われるべきなのが我が国の結婚である。それ以外はすべてご破算で結構。人の結婚を利用して何か別のことを行おうとするやつって最低だな。政府に限らず。

・毎年雪で困っている地域もあるんだよ

・しかしだからといって、雪国や山国の人間が善良とはかぎらない。もちろんわたくしと言えば、平地の人間は理解できん。

・善良さってなんだろう

・「ほほえみ外交」って、いつも日本がやってるやつね…。日本では通用しても外国では通用しないとか言う人もいるんだけど、日本でも通用してないだろう。





卒業論文提出記念祭りのお知らせ

2018-01-23 18:47:39 | 大学
今日は、学生の卒業論文の提出日で、なんとなくいろいろと心配する日である。
わたくしは、徐々に学生に勝手に書かすスタンスに移ってきているので、イメージとしてはこんな感じである。



前方を担いでいるのがゼミ生で、後ろで担いでるのか引き摺られているのかわからないのがわたくしである。卒業論文はまあ、試行錯誤を自分だけでやってみる最初で最後の機会かも知れないが、一編の、世の中を変えるすごい研究者の論文も、学生たちの「とりあえず考えてみた」みたいな論文と無関係ではない。後者がなければ前者は絶対に存在し得ない。論文というのは筆者が考える以上に集合的な知なのである。どんなクズ論文にも一分の魂という意味では、論文というのは、生きとし生けるものに近いっ

とはいえ、昔のわたくしの論文など振り返ってみると、大概、筆者にその都度おしりぺんぺんが必要なレベルのどうしようもないものである。

センター2

2018-01-14 18:25:02 | 大学


こんな寒い試験は



はじめてよっ

昨日は、四国に火の玉も降ったらしい。http://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20180114/0000232.html

「そこでそのお侍は、きっと狐か狸がおれを化かすに相違ないと思って、刀を抜いて追いまわしているうちに、その火の玉は宙を飛んでここの家へはいった。ほんとうの火の玉か、化物か、それは勿論判らないが、なにしろここの家へ飛び込んだのを確かに見届けたから、念のために断って置くとかいうのだそうです。となりの家でも気味悪がって、すぐにそこらを検めてみだが、別に怪しい様子もないので、お侍にそう言うと、その人も安心した様子で、それならばいいと言って帰った。お貞さんも奥でその話を聞いていたので、寝床から抜出してそっと表をのぞいてみると、店先に立っている人は自分がたった今、夢の中で追いまわされた侍そのままなので、思わず声をあげたくらいに驚いたそうです。
 お貞さんは家の娘にその話をして、これがほんとうの正夢というのか、なにしろ生れてからあんなに怖い思いをしたことはなかったと言ったそうですが、お貞さんよりも、それを聞いた者の方が一倍気味が悪くなりました。その火の玉というのは一体なんでしょう。お貞さんが眠っているあいだに、その魂が自然にぬけ出して行ったのでしょうか。

――岡本綺堂「新牡丹燈記」




わたくしの研究室は、フラッシュをたくと火の玉がガラスに映る

学園祭と文相

2017-11-05 17:40:45 | 大学

うちの研究室の学生の売っていたソフトクリームを11月、40代半ばというコンディションで食す。



おなかが痛くなりそうだったので、つい、いつも横目でさらっと睨視している碑を写真におさめる。「三土文相就任記念碑」である。三土忠造は香川師範の卒業生である。彼は小学校の先生になったが、東京高等師範に行って、結局政治家になった。彼が田中義一内閣の文部大臣になった記念の碑らしい。このときは数ヶ月で大蔵大臣に代わった。この人は戦後の幣原内閣の内務大臣で、次の首相を狙っていたという説もある。結果首相になったのは吉田茂である。わたくしにとっては、この人の長男である三土興三の方が重要である。西田幾多郎の弟子でキルケゴール研究の草分けである。大正末期、親父が政務次官の時代に鉄道自殺した。



卒業生から文部大臣が出たということで、本人を招いて盛大なパーティでどんちゃん騒ぎをやったと書いてある。全く恥ずかしい話である。ちなみに田中義一内閣といえば、特高警察設置、思想善導政策、治安維持法改定(最高刑を死刑)、で――3・15事件と、「最悪の内閣」(吉野作造)であった。うちの学部には「二十四の瞳教室」というのが設置されているが、この小説は、まさに3・15事件の直後から始まる教師暗黒物語であって、なんとも皮肉な話だ。