鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

【23-3】間違ったところと反省(一)~(九)

2012年02月04日 | 23-1(第55回)~23-3(第57回)

(24.2.26 若干追加訂正)

(一)

10 翁媼 〇おうおう ×おうう

 「辞典」の見出し語にあり、また、老媼(ろうおう)5-2Y 13-2K、媼嫗(おうう)17-1Yから解けますね。媼(おう)と嫗(う)は、孰れも「おうな」という訓があり、同義の漢字ですので混乱しました。「漢字音符字典」で、 [媼ー女]の音符字で、オウと読むのは、媼だけです。こういう仲間外れの読みは狙われやすいので、「音符字典」の媼(オウ)にonlyと付記しました。

11 僂指 〇ろうしorるし ×くし

 僂は、本試験新出と思われますが、「辞典」の見出し語にあります。婁を普通に読んでおけばよかったのですね。

 尚、僂指「問題と解説」(118頁2-29)に書き取りで載っています。勿論書けなくてチェックがしてありましたが、すっかり失念していました。新星出版社の「問題と解説」は、「頻出度順」が登場してからは出版をしなくなったようです。マニアックであまり評判の良くない本であり、とりあえず合格のためには不要でしょうが、高得点狙いには使用した方がいいと思います。私も沢山間違えたところの内、「辞典」の見出し語にあるものくらいはチェックしようと思っていながら、放ってあります。

27 米つ 〇 ×う

 同訓異議の漢字はあれど意味がonlyな1級漢字ですね。以前記事にしたのになあ。

 尚、う(つ)の訓は、「辞典」にはなく、「必携」にだけ載っています。ただ、搗つを「うつ」と読むのは、「大漢和」等によれば、「擣つ」と同じ意味のとき、即ち、砧を搗(う)つときだけにの使われ、米を搗(う)つとは使わないと思います。「うつ」の読みは、「必携」だけにしか載っていないので忘れていいでしょう。

28  〇はしら ×たるき

 本試験新出と思われます。こういうのは憶えにくいなあ。「辞典」の音訓索引で柱=と憶えましょうか。

29 に 〇ここ ×さき

 これも本試験新出と思われます。「辞典」の音訓索引に 「ここに」は、于、茲、粤の三つあるから、纏めて憶えるのでしょうね。

(二)

4  会社ぐるみ 〇 ×(書けず)

 これは難問だと思います。問題集にあったかなあ。まず、「ぐるみ」が連濁で、「くるみ」という漢字を考えなければならないことが分かりませんでした。包(くる)む は、常用漢字のonlyな表外訓読みです。onlyな訓読みが1級で出題されやすいことは、今まで記事にしてきましたが、常用でも出題されるということですね。

11 ぞうぶつ故買 〇贓物 ×

 「辞典」の見出し語にあります。過去問で、ぞうひん(贓品)19-2K 21-1K が出題されていますのでこれは間違ってはいけませんね。「漢字音符字典」に拠れば、臧の音符字は、臧を含め四つ。常用の蔵、臓には、草冠が付きますが、贓には、草冠が付きません。また、この四字の音は、孰れも、ゾウ、ソウとありますが、ソウと読む熟語は、「辞典」には全く載っていないので、ゾウの音だけ憶えておけばいいでしょう。

 尚、は、漢検の書物には載っておらず、配当外の漢字です。「大漢和」に拠ると、は、贓の俗字とありますから、でもよさそうですが、漢検協会は、自らが出版した本の字体しか認めないようですので、誤りでしょう。1級配当外の漢字の学習は、22-1以来で、78字目です。

  

14 財布をり取られた 〇18-3K 頻出模擬4-2K ×摺

 過去問や問題集をきちんとしておけば解ける問題です。

(四)

4 とらえたり放ったり自在に操る  きんしょう 〇擒縦  ×緊縦

 「見出し語」にあります。過去問既出の四字熟語七縦七擒18-3K 20-2Kから類推可能ですね。この四字熟語、以前、七縦七緊と間違いました。 間違いは同じように間違いますね。

(五)

4 せんしん低唱 〇浅斟 ×浅

 「本試験型」15-5にありましたね。過去問では、浅酌低唱21-3Kが出題されていましたので、これと混乱したようです。「大漢和」によれば、ですので、これも駄目でしょう。配当外の漢字79字目。

5 ぞくれい括羽 〇鏃礪 ×

 21-2では、鏃礪かつう(括羽)で出題されました。古い版の「四字熟語」では準1級配当となっていたものであり、私は、古い版を使っていますので、21-2の時は、反則と思い、他にもこういうのがいくつかあることを記事にしました。ただ、1回出題されれば、再度出題されるのはやむを得ないでしょう。平成21年度の過去問は多くの受験生は学習しているでしょうから、寧ろ、サービス問題といえるのでしょう。

 尚、も配当外(これで80字目)で、「大漢和」によれば、「やじり」という訓があり、鏃に通ずとあり、「正字通」が引用されていますが、漢検的には矢張り誤りでしょう。

 また、は、「辞典」には訓はありませんが、とぐ・みがくの意味があり、礪(準1級配当、みが(く)の訓あり)との使い分けは難しいです。18-2の標準解答にはしれい(砥礪または砥)とあり、この場合はどちらでも良さそうです。ただ、という熟語は「大漢和」にもありませんので間違いでしょう。

 については、「辞典」の見出し語の精=励精の他、「四字熟語」の見出し語深浅掲20-2K・発揚蹈を憶えておきたいと思います。之が入る帯之誓は、四字熟語問題では出ないような気がしますが、準1級の河山帯礪は、帯でもOKとありますので、これは、帯=帯礪でいいと思います。もうすぐ、「四字熟語」の新版が発売されるようですが、常用の増加に伴う配当級の変更にとどまることなく、準1級・1級の四字熟語についても、学習の便宜のため、許容漢字などに目配りして欲しいと思います。

 

(六)

5 氷下魚 〇こまい ×わかさぎ

 本試験新出。「本試験型」2002年版第15回に載っています。 「本試験型」は、今まで二回大幅改訂されており漢字皇子様も御指摘のとおり、熟字訓については、新版にはのっていないものが、最近の本試験に出題されており、役立ちます。私は、随分以前に解いて、間違って単語帳も作ってありました。最近単語帳学習をしていないので、すっかり忘れておりました。

 尚、「こまい」については、同訓異義の国字で、があります。同訓異義語のある熟字訓が狙われやすいような気もします。

8 水手 〇かこ ×(書けず)

 全く想起できませんでした。「かこ」は、水夫とも書きます。同訓同義で異字の熟字訓は、結構出題されています。 そうすると、「辞典」の巻末索引の中で、同訓同義で複数の熟字訓表記があるものが出題されやすいという推測がなりたちます。ただ、これは結構沢山あって大変です。

 尚、熟字訓・当て字の学習サイトとして、octave様作成のサイトは有益と思います。

(七)

7 禳禱 〇じょうとう ×じょうじゅ

 壽の音符字は、「漢検音符字典」によれば、10個。この内、ジュの音は、寿と儔にありますが、儔の音熟語は、匹儔(ひっちゅう)だけで、ジュと読む熟語は「辞典」には載っていませんので無視していいでしょう。そうすると、ジュと読むのは、寿だけです。

 禱をトウと読むこと、チュウとの読み分けについては、octave様の記事が参考になります。

(八)

5 実正⇔きょたん 〇虚誕 ×虚

 「辞典」の見出し語にあり。常用漢字を間違ってはいけませんね。延と廷の音符字を学習しておきます。

 尚、は配当外(81字目)。テイ・ジョウの読みがあり、あざむく・いつわりいう・あざむきあなどる・いつわり の意味があります。誕と同義ですが、タンの読みはありません。

(九)

6 人生根蔕無く、飄としてはくじょうの塵のごとし。 〇陌上 ×白杖

 「辞典」の見出し語にはありますが、全く想起できませんでした。この故事諺は、9-3K=征116頁で出題されており、この時は、こんてい(根蔕(底・柢))が問われました。故事諺については、過去問で問われていないところの1級熟語も書けるようにしておくとよいのでしょう。特に「辞典」の見出し語にあるものは大事でしょう。23-3で言えば、藜羹(れいこう)、偃鼠(えんそ 6-2Kで既出)が該当します。

7 りょうちゅう辛を忘る。 〇蓼虫 ×糧中

 「辞典」の見出し語になく、三点セット外ですので、私には捨て問です。SIMO様の問題集にばっちり載っていました。随分前に解いたのですが忘れており、「成語林」にチェックがあって思い出しました。

 この故事諺、「辞典」の見出し語にもあり、頻出の蓼食う虫も好き好きと同義です。「辞典」の蓼欄には、蓼の葉が辛いことが書いてあります。蓼は食べたことがなく、「辞典」のこの記載も全く記憶にありませんでした。蓼の葉が辛いことがわかっていれば、「辛を忘る」の部分から、蓼食う虫も好き好きと同じ意味ではないか、チュウは虫、リョウは、寥から、蓼が類推できたのかもわかりません。

長くなったので、(十)は別記事にします。



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2 コメント

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蓼虫辛を忘るについて (カミュ)
2012-03-04 21:19:26
 カミュと申します。その節は弊ブログにコメントして頂きありがとうございました。さて、タイトルにもあります通り「蓼虫辛を忘るについて」について調べてみた所、改訂前の新星出版社の50ページの5-13と実務教育出版の「準1級・1級 ステップアップ30日」の165ページの9番と205ページの付録に「蓼虫苦きを知らず」として掲載してました。既にご存知でしたら申し訳ありません。また、記事にはありませんでしたが、今回新出された「ショウリョウ深林に巣くうも一枝に過ぎず」も同じく新星出版社の44ページの2-11に掲載してましたので参考にしていただければ幸いです。また、今年度の第1回に出題された「当て鏝なしに左官はできぬ」をはじめ新出問題の対策として改訂前の新星出版社の問題集を解くのが効果的かなと思いました。いつも検定後の傾向や対策を参考にさせて頂いております。今後も奥の深い漢字を無理せずに続けていけるようお互い頑張りたいものですね。これからも応援しております。
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高得点には四点セットですね (白魚一寸)
2012-06-24 22:22:20
カミュ様 情報提供ありがとうございます。お返事が遅くなりまして誠にもうしわけありません。最近は、ブクログで本棚作ってhttp://booklog.jp/users/shirauoissun、遊んでおりました。

>「蓼虫辛を忘るについて」について調べてみた所、改訂前の新星出版社の50ページの5-13>「ショウリョウ深林に巣くうも一枝に過ぎず」も同じく新星出版社の44ページの2-11に掲載してました

確認致しました。

>今年度の第1回に出題された「当て鏝なしに左官はできぬ」

これは、改訂前の新星出版社(「問題と解説」)の44頁にありますね。

>新出問題の対策として改訂前の新星出版社の問題集を解くのが効果的かなと思いました。

貴殿は既に高得点を獲得され、更なる精進を続けておられますので、効果的だと思います。ただ、最近出題されない、「辞典」にはないが「必携」だけに載っている訓読み(ex.15頁4)などはする必要はないでしょう。また、先ず、合格点160点を取るためには、「問題と解説」は使いづらいと思います。

>実務教育出版の「準1級・1級 ステップアップ30日」

私これ持っていないんですよね。古本屋で見つかったら買おうと思っているのですが、漢検1級ってなかなか古本屋でも見つかりません。

>いつも検定後の傾向や対策を参考にさせて頂いております。

ありがとうございます。でも、今回の為体では、高得点をキープされている貴殿の参考には全くなりませんね。私の場合は過去問を解き直して、まずは合格点を取れるようにすることでしょう。貴ブログも拝見しておりますので、益々の精進を愉しみにしております。是非、1級で満点賞とってね。
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