鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

「合格捷径」からの出題状況

2007年08月13日 | 19-1(第43回)

 「捷径」には、常用漢字の表外音訓と1級漢字の旧必携掲載の音訓に対応する熟語が、用例としてずらずらっと載っています。また、巻末には、4-1~7-3までの過去問が収録されています。熟語の意味は殆ど書いてありませんので、他の辞書で調べなければなりません。

 私は、1級の学習当初は、「辞典」よりも「捷径」に重点を置いて、熟語の意味とかを調べていました。ただ、「辞典」と比較して、必携の訓(訓義も含みますが)は沢山ですし、また、音熟語も一杯載っており、私にはとても憶えられませんでした。そのため、途中から「辞典」中心主義に変更し、「捷径」での学習は放擲しました。

 もう絶版で、古本で時々見るくらいですが、ネットでは、時折「捷径」に言及される方がいらっしゃいます。そこで、「捷径」の用例等から、どの程度出題されているか、「漢語林」と同じように調べてみました。

用例等+用例等から推知可能な読み+4-1~7-3の過去問 です。

(一) 23+3+1=27点
(二) 26点
(三) 10点
(四) 8点
(五) 12点
(六) 4点+0+3=7点
(七) 6点
(八) 10点
(九) 14+0+2=16点
(十) 14点+0+2=16点

合計 127+3+8=138点です。

「捷径」の巻末の過去問は現在も出題されていますので有益ですが、その余の部分は、 「辞典」(174点)「漢語林」(152点)よりも出題頻度は低いです。

A、「辞典」の見出し語にあるが、「捷径」の用例等にはないもの

 括弧内が、問われたところです。熟字訓を除き、緑字は準1級以下を含む熟語、赤字は常用だけの熟語です。

(一)(くさび)、揣(はか)る、饒(ゆた)か、釉(うわぐすり)

(二)すす()、かす(滓)

(四)しょうりょう(蕭寥)

(五)だんしょう(断章)取義

(六)映日果(いちじく)、哨吶(チャルメラ・チャルメル)、泛子(うき)
  「捷径」には、当て字(熟字訓)280選という資料がありますが、これでは本試験は太刀打ちできません。

(七)躋(のぼ)る、吮(す)う、慴(おそ)れる、爨(かし)ぐ

(八)きょうあい(狭隘)、きか(奇禍)、ろうきょ(陋居)、しゅつろ(出廬)、ひんしつ(稟質)

(十)りくごう(六合)、ようえい(揺曳)、兜率(とそつ)

 合計 34点分

  「辞典」と比較して、「捷径」は、まず準1級や常用の熟語が弱いのです。「準1級合格捷径」という本もありますが、これは今殆ど使用されていないでしょう。また、訓読みの用例も少ないです。更に、1級の音熟語は、「辞典」よりも沢山載っているような気がしますが、出題頻度は、「辞典」の方が高いものです。

 B、「捷径」の用例等にはあるが、「辞典」の見出し語にはないもの

(七)躋攀(せいはん)
(十)麕至(きんし・くんし)

合計2点分。

尚、麕の音は、「辞典」ではキン・クンですが、「捷径」ではキン・グンとなっており、麕至はグンの音のところに載っており、グンシも許容解答でしょう。ただ、標準解答に載っていないということは、今の問題作成者が、「捷径」を参照していないことの現れではないかと思います。



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