鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

【19】 朏(ヒ)

2009年04月29日 | ×の漢字の音熟語を学習する[高]

 配当外の漢字詘を学習していたら、朏が出てきました。

朏は、月が出たという会意文字です。

惟れ丙午は、三日戊申に越(およ)んで・・(「周書 召誥」)

の用例が最も古いように思います。三日月の意味とされています。

 月は太陽と同じく、東から出て西に沈みますが、月齢零の新月の頃は太陽と同じ頃に出て同じ頃沈みますので、夜は月がありません。そして、月は少しずつ大きくなり、また、月の出は、日の出よりも毎日、少しずつ遅れるので、日の入りよりも、月の入りが遅くなり、日没後、西の空に月が見えるようになります。月齢1や月齢2くらいでは殆ど見えず月齢3日目くらいでようやく見えるようになるようです。これが三日月です。

 朏は、数日間月がみえなかったのに、やっと西の空に月が出たという古代人の歓びを表しているような気がします。従って、朏は、夕暮れから夜にかけて西の空にしか見えないものです。


ところが、 「淮南子 天文訓」には、

日出於暘谷,浴于咸池,拂於扶桑,是謂晨明。登於扶桑,爰始將行,是謂胐明(ヒメイ)。至於曲阿,是謂旦明。至於曾泉,是謂蚤食。至於桑野,是謂晏食

とあります。相変わらず、書き下しはよくわかりませんが、夜明けは、晨明→胐明→旦明→蚤食→晏食の順に、明るくなるようです。

「大漢和」の胐明の説明には、

天の将に明けんとしてうすぐらい時、夜明け方

とあります。「辞典」にも胐の意味として「明け方のうすぐらいさま」とあります。

 しかし、夜明けには三日月は絶対出ていないのに、どうして、胐明が夜明け方の意味になるのかよくわかりません。 三日月の出ている黄昏時と、黎明時は、どちらも薄暗いから、区別をしなくなったのでしょうか。それとも、日の出の直前に出てくる月は、月齢26~29の逆三日月型をしていますので、これも胐と称したのでしょうか。

 なお、お月さんのことについては、こよみのページ等を参考に致しました。



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