鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

「三点セット」では解答できない読み問題(6) 賻

2007年12月08日 | 19-2(第44回)

 賻儀(ふぎ) 賻(おく)る

 賻は、見出し語がなく、過去問未出ですので、 △の漢字です。 △ の漢字は、18-2の腆以来、1年ぶりの出題です。それ以前はよくわかりませんが、1年に1度の出題頻度であれば、優先順位は低いでしょう。

 賻儀は、「辞典」の賻の意味欄にあり、賻(おく)るという訓も、「辞典」に載っていますのでここまで学習すれば良い訳ですが、なかなかしんどいことです。

1,同訓で構成される音熟語とその訓は、見出し語でなくても学習する

 「辞典」の賻の下つき欄に、贈賻(ゾウフ)があります。

 【贈る】≒賻る=おく(る)

ですから、贈賻は、同訓で構成された熟語です。贈賻の読みが解れば、賻儀も読めます。また、【贈る】≒賻る=おく(る)と憶えれば、賻るも読めます。

 同訓熟語と、その訓について、

煎熬(せんごう)=【煎る】=【熬る】=い(る)
【憔悴(しょうすい)】=【悴れる】=憔れる=やつれる

は、三つの内、二つが見出し語でしたが、

贈賻(ゾウフ)=【贈る】≒賻る=おく(る)

の場合は、見出し語は、贈るだけです。見出し語【贈る】から、知識を広げていくことが必要なのでしょう。

2,「辞典」の音訓索引の、訓欄の漢字を見る

 私は、訓の読み書きが苦手でしたので、 「辞書」をひくときは、音訓索引の訓欄からひくようにしています。「おくる」を見ると、旧字体を除き、

送輸賻贈餽饋

の6つの漢字が並んでいます。この内、賻るだけは、見出し語がないので△を付けています。 「おくる」をひくときに、なるべく、並んでいる漢字も見るようにしています。今までは、△の漢字は、出題可能性が低いと思っているのであまり見ていませんでしたが、今後は、一瞥しようかなと思います。尚、賻るが出題されましたので、△→▲に塗り潰しました。

 一方、音読み習熟のためには、音訓索引の音フの漢字も総覧すればいいのでしょうが、フと読む漢字は、旧字体を除き全部で72もあり、これは見ても憶えられません。

3, 読みが複数ある音符には注意する

 の音符字は、孰れも1級配当で6つです。 「新漢字辞典」の番外10画の内、愽だけは、1級配当ではありません。音は、フとハクに分かれます。私は、なんとなく愛新覚羅溥儀と同じ読みだろうと思って正解できましたが、好い加減なものです。

 6字について、暫定的な見出し語数、訓読み、「過去問情報」を付記しますと次のとおりです。音読みのフ・ハクは、音読み見出し熟語のあるもの、[フ]は、見出し語はないが、「辞典」に音読み熟語がのっているもの、(フ)は、「辞典」に音読み熟語が載っていないものです。

フと読むもの
【傅】 為虎傅翼13-1K もり かしず(く)only 11-2Y
【溥】 [フ] あまね(し)
【榑】 (フ) くれ 節榑11-1Y 16-1K
【賻】 [フ]19-2Y  [おく(る)] 19-2Y

ハクと読むもの
【搏】 ハク う(つ)8-2Y
【膊】 ハク

 6字の内、3字は既出でした。未出3字の内、見出し語のない賻が出題され、見出し語のある溥、膊は、未だ出題されていません。全体としては、見出し語のある1級漢字の方が出題可能性が高いと思うのですが、新出漢字については、そうも言えないのかもわかりません。

 以前は、「音符を共通にする漢字の範疇」で記事をかいたときは、音読み見出し語のない漢字は、無視をしていました。でも、音符の読みが複数あるときは、音読み見出し語のない漢字についても、高得点を目指す場合は、読みをチェックしておいた方が良さそうです。

4, SIMO様のブログ「学然後知不足 教然後知困」の問題を解く

 コメントを寄せてくれるSIMO様が、漢検1級新出予想問題のブログを立ち上げられました。音訓の問題に、賻儀―賻る はバッチリ載っていました。19-2で出題されたため、今は、問題が差し替えられています。

 新出予想ですから、過去問で出題されたものは載っていませんし、かなり難解です。だから、先ずは過去問や問題集を先行し、更に実力涵養のために利用されるのがいいのではと思います。私は、今、「問題と解説」を解いていますが、この問題集よりも、寧ろ、SIMO様の問題の方が、最近の問題傾向に合致しているように思います。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こうやって取り上げていただけて光栄ですね。 (SIMO)
2007-12-09 12:52:41
>新出予想ですから、過去問で出題されたものは載っていませんし、かなり難解です。だから、先ずは過去問や問題集を先行し、更に実力涵養のために利用されるのがいいのではと思います。

 あのブログは今のところ私の勉強帳をWebに公開しているようなものですので、皆さんに無条件に奨める訳にはいかないのですが、内容を理解しながら見ていただけると嬉しいです。


>私は、今、「問題と解説」を解いていますが、この問題集よりも、寧ろ、SIMO様の問題の方が、最近の問題傾向に合致しているように思います。

 市販の各問題集はなかなか最近の問題傾向に付いていくのは大変ですから、自分で何とかしないとなりません。
 まぁ、『問題と解説』は問題傾向はほとんど無視しているような問題集なので比較にはなりません。
 目標を『100問勉強したら1題以上出題される』としていますが、既にアップした3問題種(音訓、四字、熟字訓)以外でこの目標をクリアするのが難しそうで難儀しています。
 その辺の分析もおいおい載せていきたいですね。
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百問に限らなくてもいいのでは (白魚一寸)
2007-12-12 22:52:31
>『問題と解説』は問題傾向はほとんど無視しているような問題集なので比較にはなりません。

「合格ノート」よりも、本試験準拠ですよね。「本試験型」よりも本試験準拠になりますよう。

>目標を『100問勉強したら1題以上出題される』としています

これってそう簡単なことではないですよね。例えば、熟字訓・当て字は、「辞典」の索引に、外国地名除いても1500位ありますよね。一方、過去問は500問くらいでしょうが、重複率5割とすると、既出は250。未出は1250。19-2の新出は、糸葱、年魚、生絹の三つですから、出題率は3/1250≒1/400ですもんね。

>既にアップした3問題種(音訓、四字、熟字訓)以外でこの目標をクリアするのが難しそうで難儀しています。

読み書きは、問題はいくらでも作れても絞るのが難しいでしょうし、対義語・類義語、故事諺、文章題は、問題を作成すること自体が難しいですよね。

>その辺の分析もおいおい載せていきたいですね。

楽しみにしております。尚、しょぼい拙ブログで紹介してもあまり意味ないと思いましたので、僭越ながら、mixiの1級お役立ちコミュでも紹介致しました。あそこも閑散としていますからあまり効果はないかもわかりませんが。
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