18-1 (二) 書き取り
6 日曜と祝日がか(搗)ち合った。
これは、なんか違うなあと思い乍ら、捷としていたのですが、試験終了時に、搗を思い出して書き直し、正解に達しました。最後まで諦めないというのは試験の鉄則です。
「辞典」の【搗】⑦では、
音トウ 訓つく かつ
とあり、トウ つくについては、見出し語がありますが、終止形のかつは、見出し語にはなく、搗の親字の意味欄にも記載がありません。
見出し語にない読みは出題可能性が低いという観点からすれば無視をすればいいのですが、見出し語には、連用形の搗ち合う、搗栗(=勝栗)が載っています。連用形だけ学習して、終止形を学習しないのもどうかと思うので、調べてみました。
「日国」(旧版)には搗つの意味として、
1, 搗く、臼で舂(つ)く (出典 色葉字類抄など)
2, たたいて落とす (出典 日葡辞書など)
とあり、出典からすると、かなり古い言葉のようで、か(搗)つ=つ(搗)くだったようです。現代でも一部の地域で方言として使われているようですが、私は、か(搗)つ=つ(搗)くは、調べてみて初めて知りました。
搗ち合うの意味としては、
1, 臼で餅などをつく時、杵が互いにぶつかり合う。
2, 物と物とがぶつかり合う。衝突する。
3, 槍先で、互いに打ち合ったり、きずつけ合ったりする。
4, 物事が一か所でぶつかる。重なる。
とあります。「辞典」には、2と4の意味しか載っておらず、1の意味が載っていないので、か(搗)つの原義がわかりにくいのです。
もともと、うすづ(舂)くことをか(搗)つと言い、複数でうすづいていたときに、杵がぶつかり合うことを搗ち合うと言ったのが原義のようです。それが、杵に限らず、物一般がぶつかり合うことに広がり、更に、物に限らず、予定など事柄がぶつかりあうことまで広がったように思います。
「日国」によれば、搗ち合うを4の用例に使用したのは、葛西善蔵、里見ら近代の作家達で、4の使用例は意外と新しいのかもわかりません。言葉の使い方が変化し、原義が忘れられた一例だと思います。
漢検直前の追い込みの方には、間延びした記事ですいません。ブログ更新、10日も空いてしまいました。この歳になると、10日くらいはあっという間です。
国字について、漢検の方が相談していた先生が病に倒れ、今のところ、訂正していただけるかどうか目処が立っていない状態です。
daisakuさんのところもここも漢検1級受験者に役立ちそうなブログですね。
私のブログで紹介しようと思っていますが、不都合なら、連絡してください。
メールアドレスは、jitenfeti@excite.co.jpです。
ありがとうございます。
>私のブログで紹介しようと思っています。
私も他人様のサイトを了解とらずに紹介しておりますので、どうぞご随意に。