ブライダル情報誌「マリッジ」1996年秋号掲載
Marrige Interview
今の結婚の在り方が日本をダメにしている!?
辛口プロデューサー、石井信平が提案する
これからの結婚のかたち。それは、「有期結婚」。
刺激的でロマンチックな男女の関係。
「有期結婚」が結婚に、男と女に、そして日本社会に生命を吹き込み直す!
マリッジ(以下M) 現在の結婚事情について思うところというと?
石井信平(以下I) まず、「永遠の愛を誓う」ことに無理があると思います。
M のっけから過激ですね。それは、どういうことになりますか。
I 結婚式の時に、神父さんの前でも、神主さんの前でも、無期限の婚姻を誓い合いますよね。死ぬまで愛する…これが結婚の前提になってますでしょ?
私の提案は、「有期結婚」。期限を決める。いかがです?
例えば、5年なら5年で契約更改。マンションの賃貸契約とか、プロのスポーツ選手がチームと契約するように、配偶者と契約を更新しあう。その方が、改めて「また、この人と一緒になるんだ」「この人を選び直すんだ」という感激を味わえていいんじゃないかと思いますね。
そして、その時のセレモニーは、派手か地味かといえば、きわめて地味でいいと思うんです。もう、2人だけのプライベートなセレモニーでいいから、「もう一度あなたを選びます」「あなたとの婚姻を壊したくありません」という気持ちを誓いあうセレモニーをやったらいいんじゃないかと思います。
これが私の提案。ここから話をぶちかましましょう。
M 面白いですよね。
I え、そうですか?興ざめじゃありません?夢と希望のブライダル情報誌としては。
M いいえ、好きな人とは何度も結婚したいものですよ、女性は(笑)。
I ほう。
これだと、離婚もしやすいですよ(笑)。世間も、「ああ、この人達は契約期限が切れたのか」ということで、納得しやすいし、離婚がたいそうなことにならない。
でも、期限を決めるというのは、何かロマンチックでない、非常に即物的で、ビジネスライクで、事務的で、興ざめで…と思うかも知れない。ところが、その逆!期限を決める方が盛り上がるんですよ!
M だらだらしない!
I そう!無期限のハネムーンって、盛り上がります?三泊四日。この、期限がつけられた時の人間の盛り上がりようってないんです!
だから、「有期結婚」。
期限を決めることによって、よりロマンチックになろうと努力すること、努力しあう関係。その方が大切だと思います。
それが唯一、日本の夫婦が、母親―子供関係に堕落していくことを防ぐ道ですよ。日本の夫婦関係って、親子関係になっていくんです。それは、一生だからですよ、夫婦関係が。「一生の期限」だから、男と女であることをやめちゃう。結婚というのは、やっぱり、男と女の結び付き。結婚した後も、男と女の熱いセクシーな関係であるべきですよね。
M さて、そうしますと、子供たちが親離れしていく、自立していくスピードというのも、かなり早まるでしょうね。
I 早まります。子供たちにはね、親たちの「有期結婚」の節目が、自分たちの成長の節目にもなりますから。だから、子供の人生にも、その節目をいい方向にしるしづけていくよう両親は努力すべきです。「お父さんお母さんは、この期限をもって、もっと高い方向へ飛び立つんだ」ということを、子供たちの前で宣言する。これが子供たちにいい影響を与えないはずがありません。
3年でも、5年でも、区切りは二人で決めればいいことなんですが、どちらが継続を希望して、どちらかが「もうやめたい」と、意見が違った場合、これはとても無残で残酷なことですよね。
M その時はどうしましょうか。
I それは別れるといった人の勝ちです。「私は一緒にいたいからガマンして」というのは通らないんです、残念ながら。シビアなんです。
だから、相手に「別れたい」って言わせちゃった方が負け。結局、相手にそう言わせちゃったというのは、彼、または彼女のいたらなさ、なんですよね。新しい次のカップリングで努力するしかない。
でね、そういう勝負が何年か後に待ってると思えば、死に物狂いで磨き上げますよ、自分を。
本当は結婚生活は何か、というと、それは財産制度。男と女が経済的に、どうサヴァイヴしていくか、という中で作り出した知恵なんですよね。でも、それだけではミもフタもないから、「永遠の愛」っていう幻想で飾る。だから、「永遠の愛」というのは、あくまでも必要なんです。今のブライダル状況では。
だけど、どうでしょう。3日後には男も女も、もっといいのはいないかって思っちゃうんです。しょうがないでしょ?もう、そう思っちゃうような現実にあふれてるわけですよ。過ちもあるでしょう、浮気心もあるでしょう、スケベ心もあるでしょう。一体誰がそれを否定できますか?
だから、すべては神の采配として、有期限のロマンス生活を期限内に精一杯やる、二人で演出しあう、自己演出する、自分を磨く、相手を磨いてあげる。そうやって二人の生活を、もう最高に甘くロマンチックな、素敵な、セクシーなものにしていく。そういう努力に向けての「有期結婚」提案なんです。
しかし、考えてみれば、「永遠の誓い」なんて、そんな浮世離れしたもの、他にありますか?マラソンでいえば、永遠に走ってろってことですよ。こんなつまらない、残酷なこと、ないでしょ?
そりゃ、80歳のおばあちゃんと91歳のおじいちゃんのカップルが、「もう無期限にしようや」っていうのなら大賛成。それはもう美しいです。でもね、20歳やそこらで「永遠の愛」を誓うって、何ですか、あれ。
とにかく、結婚というものを、過去からの慣習ということから一歩進んで、男と女が主体的に選択する生き方なんだということを確かめる機会にしたいんです。だから、相手を選ぶ、期限を選ぶ、生活のスタイルを選ぶ。それが、結婚に生命を吹き込み直すことになりますよ!
自分を磨き、相手が自分を磨く手伝いをしてあげる、二人で居心地のいい生活にしていく、期限内に精一杯努力をする。というのは、いいことだと思いますよ。
M そうなると、日本は面白くなりますね。
I 社会は変わりますよ。人の選択を尊重しあう社会になります。そうなれば、タレントのくっついた、別れた、ばかりを追いかけるワイドショーの時間の無駄、エネルギーの無駄、人の人生にズカズカ入っていくという習慣もなくなるでしょう。もっと大切なことがテレビで論じたり報じられたりしなければならないのに、あんなことに電波が使われているなんて、腹が立ちますよね。
Marrige Interview
今の結婚の在り方が日本をダメにしている!?
辛口プロデューサー、石井信平が提案する
これからの結婚のかたち。それは、「有期結婚」。
刺激的でロマンチックな男女の関係。
「有期結婚」が結婚に、男と女に、そして日本社会に生命を吹き込み直す!
マリッジ(以下M) 現在の結婚事情について思うところというと?
石井信平(以下I) まず、「永遠の愛を誓う」ことに無理があると思います。
M のっけから過激ですね。それは、どういうことになりますか。
I 結婚式の時に、神父さんの前でも、神主さんの前でも、無期限の婚姻を誓い合いますよね。死ぬまで愛する…これが結婚の前提になってますでしょ?
私の提案は、「有期結婚」。期限を決める。いかがです?
例えば、5年なら5年で契約更改。マンションの賃貸契約とか、プロのスポーツ選手がチームと契約するように、配偶者と契約を更新しあう。その方が、改めて「また、この人と一緒になるんだ」「この人を選び直すんだ」という感激を味わえていいんじゃないかと思いますね。
そして、その時のセレモニーは、派手か地味かといえば、きわめて地味でいいと思うんです。もう、2人だけのプライベートなセレモニーでいいから、「もう一度あなたを選びます」「あなたとの婚姻を壊したくありません」という気持ちを誓いあうセレモニーをやったらいいんじゃないかと思います。
これが私の提案。ここから話をぶちかましましょう。
M 面白いですよね。
I え、そうですか?興ざめじゃありません?夢と希望のブライダル情報誌としては。
M いいえ、好きな人とは何度も結婚したいものですよ、女性は(笑)。
I ほう。
これだと、離婚もしやすいですよ(笑)。世間も、「ああ、この人達は契約期限が切れたのか」ということで、納得しやすいし、離婚がたいそうなことにならない。
でも、期限を決めるというのは、何かロマンチックでない、非常に即物的で、ビジネスライクで、事務的で、興ざめで…と思うかも知れない。ところが、その逆!期限を決める方が盛り上がるんですよ!
M だらだらしない!
I そう!無期限のハネムーンって、盛り上がります?三泊四日。この、期限がつけられた時の人間の盛り上がりようってないんです!
だから、「有期結婚」。
期限を決めることによって、よりロマンチックになろうと努力すること、努力しあう関係。その方が大切だと思います。
それが唯一、日本の夫婦が、母親―子供関係に堕落していくことを防ぐ道ですよ。日本の夫婦関係って、親子関係になっていくんです。それは、一生だからですよ、夫婦関係が。「一生の期限」だから、男と女であることをやめちゃう。結婚というのは、やっぱり、男と女の結び付き。結婚した後も、男と女の熱いセクシーな関係であるべきですよね。
M さて、そうしますと、子供たちが親離れしていく、自立していくスピードというのも、かなり早まるでしょうね。
I 早まります。子供たちにはね、親たちの「有期結婚」の節目が、自分たちの成長の節目にもなりますから。だから、子供の人生にも、その節目をいい方向にしるしづけていくよう両親は努力すべきです。「お父さんお母さんは、この期限をもって、もっと高い方向へ飛び立つんだ」ということを、子供たちの前で宣言する。これが子供たちにいい影響を与えないはずがありません。
3年でも、5年でも、区切りは二人で決めればいいことなんですが、どちらが継続を希望して、どちらかが「もうやめたい」と、意見が違った場合、これはとても無残で残酷なことですよね。
M その時はどうしましょうか。
I それは別れるといった人の勝ちです。「私は一緒にいたいからガマンして」というのは通らないんです、残念ながら。シビアなんです。
だから、相手に「別れたい」って言わせちゃった方が負け。結局、相手にそう言わせちゃったというのは、彼、または彼女のいたらなさ、なんですよね。新しい次のカップリングで努力するしかない。
でね、そういう勝負が何年か後に待ってると思えば、死に物狂いで磨き上げますよ、自分を。
本当は結婚生活は何か、というと、それは財産制度。男と女が経済的に、どうサヴァイヴしていくか、という中で作り出した知恵なんですよね。でも、それだけではミもフタもないから、「永遠の愛」っていう幻想で飾る。だから、「永遠の愛」というのは、あくまでも必要なんです。今のブライダル状況では。
だけど、どうでしょう。3日後には男も女も、もっといいのはいないかって思っちゃうんです。しょうがないでしょ?もう、そう思っちゃうような現実にあふれてるわけですよ。過ちもあるでしょう、浮気心もあるでしょう、スケベ心もあるでしょう。一体誰がそれを否定できますか?
だから、すべては神の采配として、有期限のロマンス生活を期限内に精一杯やる、二人で演出しあう、自己演出する、自分を磨く、相手を磨いてあげる。そうやって二人の生活を、もう最高に甘くロマンチックな、素敵な、セクシーなものにしていく。そういう努力に向けての「有期結婚」提案なんです。
しかし、考えてみれば、「永遠の誓い」なんて、そんな浮世離れしたもの、他にありますか?マラソンでいえば、永遠に走ってろってことですよ。こんなつまらない、残酷なこと、ないでしょ?
そりゃ、80歳のおばあちゃんと91歳のおじいちゃんのカップルが、「もう無期限にしようや」っていうのなら大賛成。それはもう美しいです。でもね、20歳やそこらで「永遠の愛」を誓うって、何ですか、あれ。
とにかく、結婚というものを、過去からの慣習ということから一歩進んで、男と女が主体的に選択する生き方なんだということを確かめる機会にしたいんです。だから、相手を選ぶ、期限を選ぶ、生活のスタイルを選ぶ。それが、結婚に生命を吹き込み直すことになりますよ!
自分を磨き、相手が自分を磨く手伝いをしてあげる、二人で居心地のいい生活にしていく、期限内に精一杯努力をする。というのは、いいことだと思いますよ。
M そうなると、日本は面白くなりますね。
I 社会は変わりますよ。人の選択を尊重しあう社会になります。そうなれば、タレントのくっついた、別れた、ばかりを追いかけるワイドショーの時間の無駄、エネルギーの無駄、人の人生にズカズカ入っていくという習慣もなくなるでしょう。もっと大切なことがテレビで論じたり報じられたりしなければならないのに、あんなことに電波が使われているなんて、腹が立ちますよね。