8月18日〜19日の日程で庁舎等建設及び公共施設マネジメント推進調査特別委員会の行政視察で千葉県佐倉市と大阪府豊中市にお世話になりました。新型コロナ感染拡大に考慮し佐倉市は日帰りとし、豊中市はオンラインにてお話をお伺いしました。
行政視察は市政の発展や行政などの適正な運営を行うために、自治体の先進的な取組み行っている地域を訪問し行政から直接話を伺うなどして調査研究をするものであります。また視察費用は皆様からの税金によって成り立っていることからしっかりご報告することは重要なことと考えますので、下記の通りご報告いたします。
【視察1日目】千葉県佐倉市
(日帰り視察)
「佐倉市におけるFMの取り組み〜いま目の前にあるFMから始めよう〜」について
佐倉市では平成19年から市内公共施設のファシリティマネジメントを行なっています。
ファシリティとは施設や土地、設備、環境等のことを指し、佐倉市ではヒト・モノ・カネ・情報に次いでファシリティを第5の経営資源と捉え、経営的視点に基づきコストの最小化や施設の有効性を最大限に高めてきました。
FMは施設経営にとって最適な施設の在り方が示され、コストを最小限に抑える効果が期待され、また利用者にとっても快適で魅力的な施設になることが期待されています。
★ FMを導入するきっかけは、担当職員さんの気づきでした。耐震化促進計画を策定している際に今後40年間の工業建築物更新費用(当時存在した公共施設を全て更新すると想定した費用)を算出した際に23.7億円/年が不足するという衝撃的な結果でした。また令和10年には財政調整基金(緊急時のための市の儲蓄)がゼロになるとの見込みもあり、現在のままでは市財政が立ち行かなくなるという危機感のもと、職員さんがFMを発案し、当時の市長が元銀行員ということで、持続可能な自治体経営の観点から取り入れていきました。
施設管理から施設経営へと考え方を変え、現在余剰している施設、将来余剰が予想される施設は総量抑制し、耐震化、長寿命化等の更新可能な施設については、新しいサービスや別機能併設を含めて民間と協力しながら施設を集約し将来の施設を検討していきます。ここで重要な考え方は「もう時代は単独建替えではない」ということでした縦割りと言われる行政をいかに横串をさし情報を共有し、今後求められる施設を集中化していくことが小金井市においても喫緊の課題であると認識しました。★ここで大切なことは、縦割り組織に横串をさし、今後求められる施設を把握していかなければなりません。そのためには各課からヒアリングをしなければなりませんし、そのためには情報をキャッチしていかなければなりません。私は質問し、縦割りで中々情報が集まらない状況下で努力していることをお聞きしました。ご担当者からは、情報共有のために「受け身ではなく積極的に情報を取りに行く」というお答えでした。普段からの他課の職員さんと関係を密にし、「手伝えることはちゃんと手伝っていく」という姿勢を前面に出し、関係を構築していくというものでした。小金井市においても強固な縦割りが目立ち情報共有ができているとは思えないところが散見されます。学校は教育委員会、公民館は市民部といった縦割りはもう捨てて、担当課がしっかり情報をキャッチして情報共有していくことから始めていかなければなりません。そして、職員さんがアンテナを常に高くしていくことが求められます。
【視察2日目】大阪府豊中市
(オンライン)
「豊中市包括施設管理業務委託」について
豊中市では令和3年10月より市内の小中学校、こども園、市役所本庁舎、集会施設等の153施設(開始時は149施設)の保守点検、清掃警備の保守管理業務及び建物付帯設備等の修繕管理業務の包括施設管理業務委託を開始しました。
わかりやすく説明すると、豊中市ホームページの言葉を借りれば「たくさんある豊中市の施設の管理をぜんぶまとめてプロにお任せ」ということです。このことにより、施設管理水準の平準化や向上が見込まれると説明がありました。
そして、豊中市での取組みの特徴としては、153施設が対象という規模の大きさと市内事業者の活用です。予めプロポーザルの段階で仕様書の中に市内事業者の活用を盛り込むことで、市内事業者の仕事を減らさないことが大前提とされ、そのことで市民雇用の促進を図るという内容でした。
そして、実際にスタートしてからのメリットとして重複していた業務を見直すことができました。従来は各担当課で行われていた契約事務や支払事務が財務部資産管理課が一括して委託業者へ行うため業務の軽減にも寄与しています。
4年半の長期契約でおよそ57億円で契約をしていますが、財政的効果としては職員の業務負担軽減における時間外労働の減少が見込まれるとのことでした。
懸念される課題ではないかと思い私も質問しましたが、各所管課(各担当課)が行ってきた契約事務や支払事務が一括して行われることでの各担当への技術継承については、今後の契約書や発注者の見直しの中でフォローしていくということでした。
★小金井市でも大きく参考になると感じたことは、市から委託業者へ発注者が変わったとしても「市内事業者の仕事を減らさない」ということです。
これは今検討が進められている市立公園の一括業務委託も同じことが言え、私も何度も公園担当には伝えてまいりました。
このことは大前提でなければならず、予め仕様書に盛り込んでおくことで、市内業者の力を借りながら市内施設の管理を行なっていかなければなりません。
最後に、今回はオンラインという形式で視察させていただきましたが、やはり時間とお金がかかってはしまいますが、実際に現地へ行き、直接担当者から話を聞くことで担当者の熱量や思いを感じることができますし、その思いが人や組織を動かす大きな原動力であり、また、現地の役所や施設、まちを見ることで、小金井をさらに住みやすくする大きなヒントを得ることもあると考えます。
現地に赴く視察の大切さも痛感しました。