2021年も開幕しました。J2第1節V·ファーレン長崎-ツエーゲン金沢戦@トランスコスモススタジアム長崎に行ってきました。
今回は観戦記と試合レビューを一緒にしてみます。いつも迷うんですよね。noteあたりに分けて書くかということと、時間かけてレビューと呼べそうなものを書くかということを。そしていつもレビューというよりは感想にして妥協したり…。でもレビューを書きたいという気持ちはあるので、今回は頑張ってみます。
そんな葛藤はさておき。
·観戦記
トラスタでの開幕戦は、新型コロナウイルス感染症対策のため、以下のルールでのチケット販売。
·上限50%
·ビジター席あり
·アルコール販売可
·座席間隔1席
これでなんだかんだで8000人程度がキャパになるとか。その他もちろん入場時の検温·消毒·マスク着用、観戦時の声出し応援不可などが義務付けられています。
この日の入場者数は6,436人で、まだ余裕ある感じでしょうか。私はC席北側で観戦しましたが、ざっと全体を見渡して人が多いと感じられたエリアはB席とC席の南側、V·ファーレンシートの2階でした。
さて、ヴィヴィくんの場内グリーティングには間に合わなかったので、グッズとスタグルを購入します。
通常のグッズ売場とは別に特設されていた新発売選手タオルマフラー売場では24番(江川選手)と34番(五月田選手)を。今年ももちろんアカデミー出身選手を応援します。
新名物“ヴィ·ビール”(800円)。長崎の柑橘“ゆうこう”を使ったクラフトビール。酸味がとても良いです。爽やかに飲めます。
お馴染み、本多蒲鉾店の“たこ野郎”(600円)。たこを蒲鉾で包んで揚げています。
初出店は長崎市の地鶏専門店·隠れ家嘉悦のおにぎりセット(860円)。甘辛い鶏肉をマヨネーズで。おにぎりが付いているのは嬉しいです。
先日このブログでもテイクアウトをご紹介しました。記事はこちら。
売場は昨年からキャッシュレス化しています(一部を除く)。nimocaなどの全国共通ICカード、NタスTカードなどでの購入となります。その他専用のプリペイドカード(写真)があり、会場内あちこちに設置されている機械で購入·チャージ·払い戻しが可能です。
ボールパーソン·担架要員は、V·ファーレン長崎U-18の選手たち。江川選手や五月田選手ももちろんこれをやっていました。この中からまたプロ選手が生まれるかもしれませんよね。
·試合レビュー
スタメン
長崎は3亀川選手が欠場。そこには23米田選手が入ります。25新里選手以外は昨年から在籍するメンバー。
金沢は7嶋田選手、9丹羽選手、10瀬沼選手と、アタッカー陣に新戦力が目立ちます。昨年終盤に長崎に在籍した39庄司選手は2017年から2018年にも金沢に在籍していた経緯が。
ポケット
16毎熊選手「タカさん(吉田 孝行監督)がポケットを取りにいくことは言っていたし、チームとしてその意識はあったので狙いとしてはありました。」
“ポケットを取りに行く”というのがこの試合のテーマだった様。
ポケットって何?
ペナルティエリアの両側のこの部分。ピッチを縦に外側、内側、中央と5分割して内側のレーンをハーフスペースと言いますが、そのペナルティエリア内の部分。
なぜポケットを取るのか?
こちらに詳しい解説があるのですが、抜粋すると
「ポケットは、相手ディフェンスラインの背後、相手GKから少し離れた場所にあり、相手ディフェンスラインの視野外になりやすい場所である」
「相手ディフェンスはディフェンスラインを守りながら、ボールと相手の両方を見なければならないのでマークが外れやすい」
要にするに、相手が最も守りにくいエリアとでも言うべきか、そういうエリアなんですね。
長崎は立ち上がりからボールを支配し、上手くそこを突くことが出来ていました。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) February 27, 2021
🏆 明治安田生命J2リーグ 第1節
🆚 長崎vs金沢
🔢 1-0
⌚️ 4分
⚽️ 毎熊 晟矢(長崎)#Jリーグ#V・ファーレン長崎vsツエーゲン金沢
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/xGijYxkr7B
まず4分の先制点の場面。このコーナーキックもデザインされたものでしょうね。9富樫選手がニアに走り、相手の視線を引き付けながら後ろにボールを反らすと、相手の背後から出てきた16毎熊選手がフリー。17秋野選手のキックも含めて素晴らしい得点でした。
ただ、コーナーを取るまでの流れにも見るべきポイントがあります。
Gk30徳重選手から25新里選手に渡ってから。
(DAZNの画面外だった選手は省略しています)
金沢はすでに4-4-2のブロックを作っています。2トップが6カイオ選手を消しながらサイドに追い込んで行くような守備。25新里選手は16毎熊選手に簡単に出すことも出来たわけですが、出すとすぐに30大谷選手がプレスをかけに行くでしょう。スペースがなくなってしまいます。が、それはせず自分で少し運び、14名倉選手に出すそぶりも見せることで30大谷選手も中に引き付けられ、サイドに流れていた10ルアン選手に出して一気に前へ。さらに10ルアン選手が寄せてきた相手サイドバック15渡邊選手をドリブルでかわし、ポケットを狙う9富樫選手がコーナーを取ったという一連の流れでした。
25新里選手を獲得したメリットはこういう部分にありそうです。まだ連携不足な部分も見受けられましたが、試合ごとに向上しビルドアップのクオリティが上がっていく期待があります。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) February 27, 2021
🏆 明治安田生命J2リーグ 第1節
🆚 長崎vs金沢
🔢 2-0
⌚️ 15分
⚽️ カイオ セザール(長崎)#Jリーグ#V・ファーレン長崎vsツエーゲン金沢
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/XoVw5PpEc7
続いて15分、追加点の部分。まあ動画のとおり10ルアン選手がポケットを取ってからのゴールですが、直前にプレっシングで高い位置でボールを奪えているというのが大きいように思います。長崎の選手が多く前におり、金沢の守備陣形が整っていないため、あれだけのスペースが出来てそこを使えたように思います。
この2得点は、
·強化···「25新里選手の獲得」
·プレーモデル(優先的にすべきこと)···「高い位置でボールを奪う」「ポケットを取る」
が身を結んだものだったのではないでしょうか。
「ポケットからきゅんです」ではなく、「ポケットからゴールです」てなもんでしょうか。(語呂が悪いので流行らないと思う)
得点の場面以外でも、12分に6カイオ選手が9富樫選手からのパスを受けてポケットに走り込んだ場面、34分にも左で10ルアン選手が1人抜いてポケットに侵入した場面など、前半はそういう局面を作っていたと思います。
長崎の攻撃が右偏重だった理由
これは現地で見ていても気になった点なのですが、右ばかりだなと。DAZNで見直してもその感想は変わりませんでした。
理由はシンプルで、「左から組み立てられないから」だと思いました。
右サイドの16毎熊選手·25新里選手と左サイドの23米田選手·26二見選手のキャラクターの違いというか。
特にサイドバックである16毎熊選手と23米田選手の違いは大きく、16毎熊選手は低い位置でパスを受けて前向いて1人抜いたり周りとのパス交換で前進出来るのに対し、23米田選手はそうしたプレーを得意としていないように感じます。2人共元々前の選手であるというのがあって、どうしてそういう違いが出来るのかは難しいですが、これは個人戦術の部分に関わると思うので何とも言えません。
トップ下の10ルアン選手はおそらく組み立てるサイドに流れてサポートする役割を担っていたと思いますが、右にいる時間が長かったように思います。
こちらのデータを参考にすると、23米田選手と周囲のパス成功が少ないことと、9富樫選手と10ルアン選手のヒートマップが右寄りなのがわかります。
これは気になる点です。
後半劣勢になった理由
私は明確に長崎のリズムでなくなったのは53分の失点からと思っています。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) February 27, 2021
🏆 明治安田生命J2リーグ 第1節
🆚 長崎vs金沢
🔢 2-1
⌚️ 53分
⚽️ 嶋田 慎太郎(金沢)#Jリーグ#V・ファーレン長崎vsツエーゲン金沢
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/v1b4F4gYwo
これが上で述べたように、16毎熊選手が組み立てられるがゆえのチャレンジからのボールロストになってしまったことは実に切ないところです。責められないですね、これは。
この失点からちょっとバタバタし始めたように思います。30徳重選手がボールを押さえても金沢2トップは下がらなくなったので大きく蹴るしかなく、セカンドボールが相手に渡り、押し込まれて大きくクリアするしかなくなり、またセカンドボールを回収されるの悪循環。
監督や選手はコンディションの部分を口にしていましたが、それだけではなく開幕戦は落とせないというプレッシャーと金沢の勢いと圧力も理由でしょうか。
吉田孝行監督の交代での手当ては現実的。
·27都倉選手を入れて前でキープ出来るようにした
·13加藤大選手を入れて前線と中盤に運動量を注入した
·4フレイレ選手を入れて3バックにして全体を押し上げた
本当は前半のサッカーを後半もやるのが理想なのでしょうが、勝ちに徹さざるをえなかったのでしょうね。
まとめ
金沢は普通に強かったです。長崎目線でポケットというワードを使いましたが、金沢もやりたいことは似ていて、4-2-2-2のような形でサイドハーフがハーフスペースに入り、サイドバックを押し上げてそこに縦パスを入れながらポケットを取ってマイナスのクロス、外側からアーリークロスを入れる場合は逆ポケットを狙う。そんな感じ。プレーモデルがしっかりあって、選手たちは忠実に遂行していた印象です。
ただ、後半押し込まれはしましたが、ミス絡み以外で長崎の守備が崩れたという印象もありません。
そこは長崎のルアン選手や毎熊選手のような、ドリブルで1人剥がせるような個の力を持った選手が金沢にいなかったことに結果的に救われたかなと思います。それが出来ると相手のマークがずれていってスペースと時間が出来るので。
長崎は次節からは後半落ちないような戦いが出来るかが課題でしょう。個人的に気がかりなのは上で述べたように、左からのビルドアップの部分です。3亀川選手の復帰はいつかという点も含めて。
最後に試合後のヴィヴィくんでお別れします。