前田真三

2012-10-20 | 撮影のこと
、、という写真家がいた。すでに故人。1998年に亡くなっている。没後に前田真三賞という風景写真の写真賞が設けられた(実際には旧来行われていた別の写真賞が改名されたようだ)ことでも知られる。
氏が撮影した写真はWeb上で一部見たことはあるものの、写真集などは見たことがなかった。先日本屋に寄った際、氏の写真集が2冊並んでいたのでそのひとつ「四季彩歳」を衝動的に購入した。

見てみると、、、すべてHasselblad c/mというカメラで撮影されている。大判、中判といったカメラには疎いので詳しくないが、6X6のフィルムらしい。
氏の写真の中でもっとも有名かつインパクトのある写真は麦秋鮮烈。このような写真が含まれていることを少し期待していたが、そういう写真は無かった。
全体を通して見た、率直な感想は、、、
構図は比較的シンプル。いわゆる日の丸構図のようなものもいくつか見られる。その一方で、余計なものがフレームの中に入らないように細心の注意を払って撮影されている。「おお!すごい!」というものは無い一方で、誰にでもすぐ撮れそう、、というものも無い。そういう意味でプロらしい写真集、という印象。

写真一枚一枚にコメントか添えられているが、何度か登場するコメントに「最近ではどこに行っても風景に色々な邪魔者が入ってしまう」というものがある。邪魔者とは電柱/電線、看板など、風景にそぐわない人工物のこと。氏が本格的に写真に取り組み始めたのが1960年代。この写真集の写真が撮影されたのが1990年頃。経済発展が無ければ、カメラに関する技術も進まなかっただろうとは言え、その一方で、風景写真家にとってはある意味「不倶戴天の敵」的存在の人工物は経済発展による産物といってよいわけで、、。痛し痒しの側面を氏もよく感じておられたようだ。

そのコメントやあとがきの中から、ノウハウ的なものをいくつか。
・風景の基本は広角レンズにあると思う
・大きな風景、小さな風景、より難しいのが大きな風景
・露出やレンズで迷うようであれば、あえて「撮らない」
・下から見上げて撮る場合、露出不足になりやすいので、思い切って明るめに


最新の画像もっと見る

コメントを投稿