月刊オダサガ増刊号

2024年創刊予定の「月刊オダサガ」の増刊号です。
「月刊オダサガ」編集長が好き勝手に書いているブログです。

大井の女王

2014-02-24 19:04:23 | 読み切り短編小説
大井の女王


俺、篠田信二は年末、ひとりで大井競馬場に来ていた。

東京大賞典、今日のメインレースだ。

今年の東京大賞典は牝馬に人気が集中しているのが特徴。

中央から参戦したヨナサン、マオチャンが1番人気、2番人気だ。

地方馬も負けてはおらず、ユリアンが3番人気、アデリナサマが4番人気である。

ユリアンはまだ3歳で、大井競馬場、期待の新星で、大井の女王、4歳、アデリナサマとは初の直接対決だ。

ヨナサンとマオチャンは5歳馬で、このレースを最後に引退することが決まっている。

先月に行われた中央のジャパンカップダートでは、ヨナサンが1着、マオチャンが2着。

今日のレースは、中央と地方の対決があり、新旧の対決もある。

ジャパンカップで勝たせてもらった俺の馬券はヨナサンとマオチャンの馬連1点に絞った。

展開はいつものようにマオチャンが逃げて、ヨナサンが追い込むと確信している。

最後の直線では二頭の一騎打ちになるというのが俺の予想だ。

レースが始まった。

「おっと、マオチャン、大きく出遅れました」

なんてこった!

まさか逃げ馬のマオチャンが出遅れるなんて、信じられない展開だ。

おかげで2番手につけるはずだったユリアンが先頭になってしまった。

「ヨナサンは中団、アデリナサマは後方集団に位置しています。マオチャンはまさかの最後方です」

馬券ははずしたな。せめて、レースを楽しむか。

「さあ、最後の直線、先頭はユリアンです、逃げ切れるか」

いや、ヨナサンは絶好の位置につけているぞ。

「やっぱり外からやってきた。ヨナサンだ、ユリアンを捉えたか?」

お、ユリアン、粘るではないか。さすが、次期女王候補だ。

「内にユリアン、外にヨナサン、二頭で競り合っております。マオチャンはいまだ後方だが5頭をごぼう抜きした」

さすがにその位置からは届かないだろう。

「さあ、ユリアンか、ヨナサンか。おっと、大外から一頭、とんできたのは、なんと、アデリナサマだ」

これはすごい戦いになってきたぞ。

「ヨナサンがユリアンをかわしたが、今度は外からアデリナサマ、ものすごい末脚だ」

「さあ、ヨナサンとアデリナサマの一騎打ちか」

「粘るヨナサン、迫るアデリナサマ」

「中央の女王ヨナサンか、大井の女王アデリナサマか」

「後ろからはマオチャンがものすごいスピードであがってきた」

え?マオチャン、あの位置から届くのか。

「さあ、ここで先頭はアデリナサマだ、くらいつくヨナサン」

「アデリナサマ、1着でゴールイン」

「2着はヨナサン。3着以下は混戦です」

うーん、あともう少しゴールが先だったなら、勢いとしてはマオチャンだった。やはり最初の出遅れが痛かった。

それにしても、アデリナサマ、大井のファンの歓声に支えられたのか、執念の走りだったな、ものすごい集中力だった。

さて、着順は。

アデリナサマ1着、ヨナサン2着か。残念、俺の馬連1点買いは失敗に終わった。

マオチャンは6着、ユリアンは5着か。

マオチャンはラストランで出遅れたのが残念だが、最後の追い込みの脚は素晴らしかった。

そして、期待の星、ユリアンもいい走りを見せてくれた。

見ごたえのある東京大賞典だった。

さあて、次のレースで挽回するかな。



今日もママはいない 16 作家と相談屋

2014-02-24 13:08:39 | 小説「今日もママはいない」
今日もママはいない 16

 5日後に10万円を手渡すとドンキーはあっさり引き揚げていった。

「あいつさあ」パワーゴングは壁を睨みつけた。「金持ってトンズラってこと、ないだろうな」

「ないね」パスモはあっさりと否定した。「ヤツはプライドが高い。自尊心の塊みたいな男だ。一度でもバックレたら自分が終わっちまうことをちゃんとわかってる。必ず、物語をもってくる」

 カラーマンが笑った。「パスモって、そんなにお人好しだったっけ?」

「いや、冷静に判断しただけだ」

「なるほどね」

 ペンチはまたゲームに没頭していた。「あーあ、あいつがいなくなって清々した」

 ウータンが頷いた。「うん、あの人を見下した感じ、イヤなヤツだよね」

 パスモが珍しく肩を持った。「仕方ない。モノを書いてると断定的にならざるを得ないんだ」

 パーマが走ってきた。「パスモ、お風呂、全員終わったよ」

「よし、寝るか」

 それから数日後、午後2時にパスモがひとり、家でPCを操作していると、男がひとり、訪ねてきた。

「あの、こちらに相談に乗ってくれる方がいると聞いて、やってきました」

 歳は40過ぎ、冴えない風貌の中年男であった。

「相談?」

「はい、作家の先生に聞きました」

 パスモは天を仰いだ。「ドンキーのヤツ、余計なことを言いやがって」

「あの、よろしいですか?」

「よろしくない」

「でも、手付金、もう払ったし。相談に乗ってもらったら、残りの半額、払います」

 パスモは舌打ちした。これでは断れないではないか。

「じゃあ、手短に」

「はい、私、隣りの駅でバーを営んでおりまして、最近、めっきりお客が減って、困っております」

「バー?飲み屋ってことね。どんなバー」

「普通のバーです」

「それじゃ話が先に進まない。なんかさあ、特徴、あるでしょ?」

「週末にライブをやっております」

「ライブ?生演奏ね」

「はい、ライブを始めた当初は人がたくさん来てくれたんですが」

「ライブを始めた当初って、いつ?」

「5年前です」

「ああ、5年も経てばね、人の興味は変わっていくから。逆に5年もよくもったんじゃない」

「そうなんですか?」

「じゃあさ、ライブはもう、やめちゃいなよ」

「やめたら、もっと人が来なくなります」

「新規開拓」

「は?」

「お客が減っても我慢して、ライブより人を呼べる手段を考えるんだよ」

「考えてください」

「もう、他人任せな人だな。だからお客が来ないんだよ。あなた、楽器は弾ける?」

「私は聴く方が専門でして」

「出演者任せにしてたっけことだね。ダメだなあ。なんか、特技とか、ないの?」

「学生時代に演劇をやっておりました」

「演劇ねえ。店のキャパは?」

「20人も入ると一杯です」

「じゃあバーで演劇やるのは無理だね。そうだ、劇団、作りなよ」

「劇団?」

「そう、劇団を主宰して、稽古が終わったら店で打ち上げすんの、毎週日曜日とか」

「はあ」

「それなら人任せじゃないでしょ。主体的にやるものなんだよ、商売って」

「わかりました」

「もういい?」

「はい、では残金を」

 ゲッ、2万5千円も?

「お金、たくさん、持ってるんだね」

「いえ、ないです。なけなしの金です」

「あ、そう。じゃあ、さよなら」

「ありがとうございました」

 男は玄関から外に出ていった。パスモは扉を閉めた。

 そういうムダ金を平気で使うような感覚でいるから、商売がうまくいかないんだよ、と言いそうになったのをパスモは我慢した。

 金持ちは金を使わないから金持ちなのであって、そこらで豪勢に金を使っている人間の方が貧乏だったりする。

 たったそれだけのことなんだけどな、経済なんて。なんで大人は気付かないんだろう?

 パスモはすっかりシラケてしまい、PCを閉じて散歩に出かけることにした。

083 「学校大奥」長池小学校裏物語 8-3 きっこゆっこの小手先勝負

2014-02-24 10:22:28 | 脚本「ママは名探偵」~「学校大奥」
「学校大奥」長池小学校裏物語 8-3

乃子「あーあ、懐かしい、このグラウンド」

私、清須乃子は久しぶりに見る長池小学校の校庭に感激しています。

美香「あの、どなたですか?」
乃子「はい、5月に教育実習で長池小学校でお世話になります、清須乃子と申します」
美香「わあ、先生なんですね」
乃子「実習生です」

美香「ノッコ先生は大学生なんですか?」
乃子「はい、一応」
美香「大学って面白いですか?」
乃子「うーん、私はそれほど面白いとは思っていませんが、人によるんじゃないかな」
美香「そうなんだ」

乃子「ひとりで練習ですか?」
美香「はい、夏休みの陸上の市大会に出場したいんです」
乃子「あ、それ、私も出たわ」
美香「ホントに?すごいですね、何位でしたか?」

乃子「1位でした」
美香「え?優勝したんですか?すごい、今度、私に走りを教えてください」
乃子「私なんか、全然ダメです。陸上は中学までしかやってないし」

季来子「あら、清須さんと烏田さん、さっそく仲良しになったみたいね」
美香「きっこ先生、清須さん、市大会で優勝したんですよ」
季来子「あ、そうなんですか。では実習にいらしたら、是非、児童に陸上の指導もなさってください」
乃子「やってみますが、期待なさらないでください」

季来子「烏田さん、朝倉先生はもうしばらく研修でグラウンドに来れないので、私が代わりに来ました」
美香「え?もしかして、きっこ先生に教えてもらえるの?」
季来子「さすがに陸上は教えられないから、烏田さんの練習を見学させてもらいます」
美香「わかりました、頑張っちゃうね」

優季子「ああ、麗しき師弟愛ですね」
季来子「あら、西野さん、今度は校庭で油を売ろうというのね」

優季子「私も新人なもので、事務の仕事が一段落着いたら、学校をよく見て回るようにと、事務長から指示されているのです。新垣先生と違って、遊んでいるわけではありません」
季来子「私は、児童に事故がないよう、見ているのです。遊んでいるわけではありませんよ。そういう当たり前のことが、新人なので分かっていないようですね」
優季子「それはそれは、事情も分からず口を挟み、申し訳ありませんでした」

乃子「あの、新垣先生、もしできるならば、私も烏田さんと一緒に走りたいのですが、よろしいでしょうか?」
季来子「もちろん、構いませんよ。血が騒ぐんですね?」
乃子「はあ、そんな感じです」

優季子「あの、新垣先生、もしできるならば、私も烏田さんと一緒に走りたいのですが、よろしいでしょうか?」
季来子「好きにすれば」
優季子「随分と返答が違いますね」
季来子「返事は相手を見て決めるもので」
優季子「そうやって児童をえこひいきするのは教育上、問題があるのでは?」
季来子「あなたは児童じゃないでしょ」
優季子「普段から人に平等に接する気持ちを持っていないと、いざ、教室に行っても児童に平等に接することができないのでは」

季来子「じゃあ、言い直しましょう。あんただけよ、平等に扱わないのは」
優季子「これはこれは、手厳しいお言葉」

季来子「出勤簿の次は給与明細書ときたわけね、ホント、小狡いんだから」
優季子「さあ、仰っている意味がわかりませんわ」

2月23日(日)のつぶやき

2014-02-24 07:43:02 | ツイートのまとめ

【マナーがアシカセ】マナーというものは非常時には無視した方がいいことも多い。ルールですら役に立たないのが非常時だ。難しいのは今が非常時かどうかという判断だ。


今日の戦場は職員室! 「学校大奥」長池小学校裏物語 8-2 大奥の油売り goo.gl/EKp9Ku


【危機一髪】昨日は40代最後の夜だというのに22時までノーゲスト。ひとりぼっちを覚悟したら、そこから5人も来てくれて、また帰りが3時になった。幸不幸はいうも紙一重だ。


【ギガ、テラ】その上、なんだっけ?マロ?先日ジェイコムで買った新しい外付けハードディスクの容量は1マロ?


【店】店世の果ての、線路際の、傾斜のない坂の前の、駅ビルがふたつも見える、日本一利益率の高いスーパーの裏の、1階なのにくだり階段がある、小田急相模原駅から徒歩3分と不動産屋が主張する、滅多にお客の来ない、レンガ作り風の、夜にならないと開かない、昼間から店主が入り浸る小さな店。


【ハウスレス】レスという接尾語は形容詞につくのか名詞につくのか?ソウルフルなどというのだから名詞でもよさそうだ。そもそもホームレスって和製英語なのか?ルンペンは英語ですらなかったような。古事記に乞食は出てくるのか?それだけの理由で古事記までは読めない。


【自動投稿しました】ビッチーズのできた理由をちょっとだけ書いてみました! blog.goo.ne.jp/sekineryusi


【気が付いたら】正午を軽く越えていて、いつの間にか50歳になっていた。50年前の晴天の昼あたりに生まれたと聞いた。50年経って、浅くて馬鹿なアサバカな大人になって驚いている。アサバカ日誌という漫画でも描きたいが案の定、絵は苦手だ。映画の絵コンテも若者に任せた。立ってる者はってヤツ


【映画ビッチーズ】来週日曜日のロケハン pic.twitter.com/d6REmGAXvu


いよいよ主役登場、七條春道、夕陽のライブ、夢のかけら pic.twitter.com/5A1LqnbRdh


七條春道、夕陽のイルージョン、カホーン進藤ショウではなく梅谷英之、曲はスローライフ pic.twitter.com/1FxwVwRwvb