月刊オダサガ増刊号

2024年創刊予定の「月刊オダサガ」の増刊号です。
「月刊オダサガ」編集長が好き勝手に書いているブログです。

読み切り短編「恐怖の肉屋」

2014-02-05 18:37:02 | 読み切り短編小説
恐怖の肉屋


 その肉屋は相当に変わっていた。

 安売りの雑貨屋のように狭くて細長い通路の両側にこれでもかと言わんばかりに肉のパックがどっさり置いてある。

 そして、とにかく安い。

 正確にいえば、すべてが安いわけではなく、安い肉も高い肉も売っている。

 だから俺はよくそこに肉を買いに行くのであるが、ひとつ、困ったことがあった。

 その店には、万が一、床に肉のパックを落とした場合は、その肉を買わなければいけないという決まりがあった。

 先日などはコートの袖に引っかけて、100グラム1000円もする高級牛肉を500グラムも落としてしまった。会計は200円のはずが、5200円に跳ね上がってしまった。

 今日はこれ以上ないというくらいに慎重に通路を進んだ。国産豚肉100グラム50円という破格の安い肉を500グラムもカゴに入れた。安いけれど、品質はよい。

 とにかく通路の両側に注意を向けた。フッと吹いたら落ちるのではないかというくらいに、ほとんど宙に浮いたようなパックがあちらこちらにある。

 最後の難所を無事、突破してホッとした時だった。なにかが俺の頭に当たり、床にドサッと落ちた。

 それは肉のパックだった。上を見ると天井から細い紐がぶら下がっていて、先には金属のフックが付いている。ここまでいくと罠ではないか。

 俺は仕方なく、落ちたパックを拾ってみた。100グラム300円のアメリカ産豚肉が1000グラムも入っていた、3000円だ。しかもこれはよい肉ではない。食べられないわけではないがよくもない肉のパックには、ご丁寧にドクロのマークが記してある。滅多にないシロモノなのだが、100パックに1パックくらい、そういったハズレがある。
 
俺は仕方なくレジに向かい、3250円を支払った。

 完

フィクション「トチヂくんの椅子」 13 社員免許更新制

2014-02-05 16:01:23 | 小説「トチヂくんの椅子」
トチヂくんの椅子 13

「社長、どうでしたか?今日の定例会?」社長室に戻ると、康家人事課長が安波社長を待っていた。

「思い出したくもない。季瀬泉の独壇場だったよ」
「そうですか。大変でしたね」
「で、あの件は進んでいるのか?」
「はい、もちろん。これ、サンプルの社員証です」

 康家が安波に手渡したのは、期限付きの社員証であった。

「2年に1回、社員証を更新することで、社員に緊張感を持たせる、これが人事部の作戦です」
「なかなか上手にできたじゃないか、ありがとう、康家くん」

 とはいっても、社員証は誰でも更新できる方式なので、いつまで社員を騙し通せるかは甚だ疑問である。やらないよりはマシ、という程度の陳腐な手段であった。

「ねえ、康家くん。いっそ、組合を潰してしまおうよ」
「それはさすがに無理です。労働組合を潰すなんて公言したら、社長の座を追われることになりかねませんよ」

 それは重々、承知している。しかし、ジブン糖製菓では労働組合が無駄に権力を持ちすぎていて、事あるごとに、経営陣に刃向ってくる。そのおかげで、どれだけ、会社の利益が損なわれたことか。労働者の権利を守る団体であるはずの労働組合が経営方針にまで口を挟んでくる。季瀬泉や殿川とはまた違った意味で会社の足を引っ張る存在であった。

今日もママはいない 9

2014-02-05 11:39:18 | 小説「今日もママはいない」
今日もママはいない 9

 パスモは躊躇することなく、ガラス戸を横に引いて、その看板の掲げてある事務所らしきところに入っていった。

「なんだよ、ここはガキの来るところじゃねえぞ」

 事務所には賃貸物件の案内がそこらじゅうに貼ってあった。どうやら不動産屋のようだ。

「物語を作ってもらいたいんですけど」
「は?お前、大丈夫か?物語なんか家で読んでもらえ」
「ですよね」

 パスモはさっさと事務所を出た。

 看板は相変わらずだ。変だな。

「よ、お前、俺に用があるのかよ」

 不思議な帽子を被った男、いや、男かどうかもわからない、その風来坊が声をかけてきた。

「あなたが物語を作る人なんですね」
「そうだよ」
「じゃあ、この看板、なんで不動産屋の事務所にくっついているんですか?」
「そりゃあ、その方が目立つからだよ」
「ああ、無断ってことですね」
「人聞きが悪いじゃねえか。断ってから看板にチラシを貼れ、なんてどこにも書いてねえぞ。勝手に貼っていいってことだよ」
「独特の見解をお持ちのようで」
「で、物語、書いて欲しいのかよ?」
「物語より、そういった商売について興味があります」
「冷やかしならお断りだよ」
「じゃあ、作ってください」
「原稿料、高いぞ」
「いくらですか?」
「4百字、千円」
「それほど高くもないじゃないですか?」
「注文は4万字以上でないと受け付けない。4万字以下の場合でも基本料金として10万円は払ってもらう」
「いいですよ、10万円くらいなら」
「強気だねえ、つーか、金持ちのボンボンか」
「いえ、金は持ってるけど、ボンでも皿でもありません」
「ふん、とりあえず、場所を変えよう」
 
 物語屋の風来坊は駅に向かって歩き出した。

「看板、あのままでいいんですか?」
「知らねえ。いいんじゃないの」

 看板には名前も電話番号もかかれていないので大丈夫ということなのだろうか。

「そうやって、いつもあちこちに貼り紙していて、注意されたりしないんですか?」
「安心しろ、そんなヘマはしない。毎日、ショバは変えているから」
「ところで、お名前は?」
「名前聞いて、あの不動産屋に売ろうってえのか?」
「いえ、会話するのに不便だということです」
「そういう時はまず、自分から名乗れよ」
「そうですね、失礼しました、パスモと申します」
「パスモ?今流行りのドンキーネームね」
「DQNネーム?まあ、そんなもんです」
「じゃあ俺も、とびっきりのドンキーで。うーん、じゃあ、ドンキーでいいや」
「その程度の想像力でホントに物語が書けるんですか?」
「なんだと、俺の呼び名と物語は関係ねえだろ。金にならないところでアイディアなんて出してたまるか」
「とりあえず、信用しておきます」
「むかつくガキだな。書いてやらねえぞ」
「じゃあ、10万円、払いませんよ」
「それは困る。宿の支払い、たまってるんだ」
「宿?」
「ああ、ここ」

 ドンキーの指した先は、ネットカフェであった。

034 「学校大奥」長池小学校裏物語 3-4 七大将軍ウオウ見参

2014-02-05 09:53:52 | 脚本「ママは名探偵」~「学校大奥」
「学校大奥」長池小学校裏事情 3-4

季来子「それほど有名ってわけでもないわ。近藤光一くんは、そういうところ、よく気づく子だから、妹さんもそれを聞いただけだと思います」
弓菜「でも、まだ1年生ですよ、近藤真子ちゃん」

そう言われればそうよね、変な噂、立たないように気をつけなきゃ。

季来子「私が近藤くんにはきちんと説明して、噂にならないように気をつけます」

といってもね、近藤くんよりも、ママ友軍団の口封じの方が大変よね。

優季子「困った時はゆっこにお任せあれ」
季来子「1月の送別会の時には、ゆっこがけしかけて、華子先輩を酔っぱらわせたのよ。あなたが張本人なの、自覚しなさい」
優季子「ちょっとお酒をすすめただけじゃない」
季来子「グラスをカラにして飲ませようとした」
優季子「それは未遂じゃない」

季来子「あら、とうとう白状したわね、やっぱりグラスを擦りかえようとしてたんだ」
優季子「もう時効だわ」
季来子「3か月も経っていません、1月の事件です」
優季子「まあ、結果的にハッピーになれたんだからいいじゃない、ねえ、四郎くん、ハッピーでしょ?」
四郎「ハッピーって?」
優季子「お子様は魔女のレギュラーよ」
四郎「はい、その件についてはすごくハッピーです」
優季子「ハッピーラッキー、いい湯だな、調布温泉」
季来子「テレビのコマーシャルで誤魔化さないで。優季子!!!」

優季子「すみませんでした」
季来子「謝って済むなら警察いらないんだよ」
優季子「由井先生、助けて。この姉、私を警察に突き出すつもりなんです」
弓菜「なにがあったのか知らないけれど、新垣さん、落ち着いて」

季来子「は?私は落ち着いています」
優季子「こら、新垣季来子、先輩である由井先生に向かってその態度はなんだ」

あ、いけない。私としたことが。それもこれもゆっこのせいよ。

季来子「ごめんなさい、由井先生。由井先生に怒ってるわけじゃないんです」
弓菜「私のことはどうでもいいから。むやみに警察なんて言葉、口にしちゃダメよ」

ありがとうございます。由井弓菜先生、立派な方だわ。私、新垣季来子、見習わせていただきます。

季来子「ところで、由井先生はお子様は魔女、見ていますか?」
弓菜「由井先生なんて堅苦しい呼び方はやめてよ、そうね、弓菜先輩、くらいで手を打たない?」
季来子「はい、そうさせていただきます。弓菜先輩」
優季子「融通が利かない姉で申し訳ありません」

家に帰ったら、ただじゃ済まさないわよ、ゆっこ。

弓菜「お子様は魔女って、アニメでしょ?普通の家庭の子供が実は悪の組織サタンのヘソの緒の首領だっていう、ホラーアクション」
季来子「そのアニメに出ているんです、紅四郎さん」
弓菜「アニメに出ている?ああ、声の出演ね」
優季子「なんの役だっけ?四郎くん、役の名前、なんだっけ?」

四郎「悪の組織サタンのヘソの緒の7大将軍のひとり、魚将軍、ウオウです」

優季子「長すぎる、そんなの誰も憶えてくれないわよ」
四郎「設定は脚本家さんが書いているので、僕に文句言われても困ります」
弓菜「え?ウオウってあの、顔だけ魚な人?」
四郎「はい、そうなんです。ひどいキャラクターですみません」
弓菜「そんなことないわよ。ウオウが出てくる時のいつものギャグ、面白いもの」

四郎「うおう、俺はウオウ、お前らみんな切り身にしてやる」
優季子「ぎゃはは、本物だ」

ふう、なんとか、場をなごませることはできたわ。あれ?華子先輩は?

優季子「華子先輩、居酒屋で寝ちゃダメですよ。起きてください」

2月4日(火)のつぶやき

2014-02-05 07:56:32 | ツイートのまとめ

【書店で衝撃】本屋のレジで言い間違えたお客さん、夏目そうしき、それだけは勘弁してくれ!


きっこ徹底追及、ゆっこピンチ! 「学校大奥」長池小学校裏物語 3-3 きっこゆっこの鬩ぎ合い goo.gl/bSHTfi


いよいよ迫ってまいりました! フィクション「トチヂくんの椅子」 12 blog.goo.ne.jp/sekineryusi/e/…


【灯台下暗し】東京から高田馬場までたった6駅だった、東西線。東西線って大学から遠かったせいか無意識のうちに避けるようになっていたけれど、中央線より便利かもしれない。


【いかすぜ風力カザミーマン】風が吹くどころか吹雪なんだけど。カザミーマンこと風見光太郎くんの舞台が間も無く始まります、さみーよ。

1 件 リツイートされました

【山手線の団結力】お、誰も原宿では降りない。混雑の中、素晴らしい出来事だ。


【ハチ公とはえらい差】モアイ像は無視? pic.twitter.com/UqYLTel8tX


【新たなに判明した事実】20年前以上の話になるが、従姉妹の結婚式披露宴の最中に仮眠をとってしまったらしい。


【しまった】下北沢で井之頭線から小田急線に乗り換えようと渋谷から電車に乗ってしまった、地底人になってしまう!


【ワル】昔のワルはバカなふりをしていたものだが、今はバカがワルになっているからこわい


【日刊スポーツオレの女神だら】くだらなすぎる、勇気をもらえた、この程度で金になるなら商売は楽勝だ。そんなものなのかな?