月刊オダサガ増刊号

2024年創刊予定の「月刊オダサガ」の増刊号です。
「月刊オダサガ」編集長が好き勝手に書いているブログです。

6月29日(金)のつぶやき

2018-06-30 05:39:35 | ツイートのまとめ

6月25日(月)のつぶやき

2018-06-26 05:30:51 | ツイートのまとめ

8 僕と彼女とご主人のクレープ

2018-06-12 05:46:18 | 不思議の国の住人


ご主人がナイフをちっちゃい男に突きつけられていたので、僕は言われた通りに叫んだ。「入りますよ」

「ダメです、今はダメ」中からトゥルーさんが叫んだ。

その瞬間、おっきい男がドアを蹴破った。

「見ないで」トゥルーさんの大声が響いた。

僕は見てしまった。

トゥルーさんの目から涙がこぼれ出て、それがクレープの生地に流れていくのを。

武装したマフィアの一団が、小さなお菓子工場に押し入り、そこで働いていた調理ロボットを強奪した。マフィアのボスの考えはおいしいお菓子を餌に、美女を片っ端から手に入れることだった。

盗んだロボットを使えば、おいしいお菓子ができると踏んでいたのだが、ロボットは最新式で感情があり、ボスの下で働くことを拒んだ。

それがトゥルーさんだった。

マフィアのアジトから逃げ出したものの、お菓子工場は燃やされていて、行き場のなくなったトゥルーさんはご主人の家に転がり込んだ。

新聞にはそんな風に書かれていた。

警察の刑事から聞いて知ったのは、ご主人も人型のロボットだったことだ。旧式なので、感情機能は搭載されていない。

僕は人型ではない、全長120センチの円筒型なので見ればすぐにロボットだとわかる。

そんな僕に、自分がロボットだと知られたくなかったトゥルーさんの気持ちはどういうものだったのだろうか。

最近、知恵と感情が芽生えたばかりの僕には、よくわからない。

7 僕と彼女とご主人のクレープ

2018-06-11 05:57:44 | 不思議の国の住人


トゥルーさんが僕とご主人の家に来て、一週間が経った。部屋はたくさん、余っていたので、トゥルーさんは厨房の隣りの洋室で生活することになった。

僕とご主人は相変わらず、いつもの暮らしを続けているが、なにかが違う。白かったご主人の顔は赤くなり、僕の心もウキウキしている。

心というのは、いつからそこにあったのだろうか?

環境の変化で感情が身につく、というのは聞いたことがある。

「小僧さん、クレープ、焼けたよ」厨房から出てきたトゥルーさんは軒先で店番をしている僕のところにやってきた。毎朝、9時ピッタリに来てくれる。

それから10時まで、僕は読書もせずに、トゥルーさんと世間話をするのが日課だ。僕は毎日、2時間の読書をしなければいけないのだが、それは就寝時間を減らすことで調整している。そのせいか、体が少し重く感じるが、全く苦にならない。

6時に家に戻ったあと、僕は相変わらず屋根裏部屋にすぐ引き上げるが、トゥルーさんはご主人と一緒に7時までテレビを見ている。

トゥルーさんが言うには、ただ黙って並んでテレビを見るだけだという。ご主人は耳が遠いので、会話は難しいのかもしれないけれど、ふたりで見るテレビは楽しいらしい。僕はテレビを見ないのでよくわからない。

味が変わったあとのクレープは大人気で、今では午前に30枚、午後に30枚、売れている。売り上げ金で袋はいっぱいになるのだが、相変わらず、ご主人は中身を見ずにポケットに突っ込むだけで、そのたびにズボンのポケットがこぶみたいに大きく膨らむ。

その日もクレープは完売で、夏至でなかなか沈まない西日を見ながら、家路に着いた。屋台を引くのがトゥルーさんで、僕が押していた。トゥルーさんが気分転換も必要というので、前後は適当に入れ替えることにしたのだ。僕には気分転換という気持ちがよくわからないのだけれど、人はそういうものらしい。

でも、もしもトゥルーさんが後ろにいれば、跡などつけられなかったかと思う。例の黒い二人組が、こっそり家までついてきたのだ。

家に帰って片づけをしていると、ご主人が言った。「クレープをあと、10個作ってくれないか。7時に取りにくるとたった今、電話があった」

この電話はどうにも怪しいが、僕らはすっかり騙されてしまった。

厨房にトゥルーさんが籠ったすきに、二人組は軒先で僕を、居間でご主人を縛り上げた。情けない話だが、悪党らしい、手慣れた仕事だ、と僕は思った。

喧嘩ではトゥルーさんにかなわないと思ったらしい二人は、僕とご主人を人質にして厨房に向かった。

6月10日(日)のつぶやき

2018-06-11 05:39:38 | ツイートのまとめ