パパはホームラン王 1-3
信二「御三田さん、俺です、篠田です」
万我郎「ははは、そろそろ電話がかかってくる頃だと思ってたよ」
信二「そうなんです、今日は活動なしの状態で打田がホームラン打っちゃったんで」
万我郎「テレビで見てたよ、もう手配はしてある、TSで10時にはスタンバイできる」
信二「恩にきます」
御三田万我郎(おみだばんがろう)は俺の親父、篠田忍(しのだしのぶ)の古くからの友人で、大手芸能プロダクションの社長、打田の活動ではお世話になることが多い、TSというのは暗号で帝人国際ホテルのTとスイートルームのS
信二「さて、そろそろかな」
インタビュアー「今日のヒーロー、一本木選手と打田選手でした」
俺は今自分の車の中、御三田社長との電話を終え、ラジオで野球中継をチェックした、ちなみに車は球場裏の道路に止めている
遠軌「篠田、悪い、やっと終わった」
信二「オッケー、早く乗れ」
打田は着替えもせずに上からコートを羽織り、サングラスをかけ、それが変装になっているのかどうか微妙な格好で俺の車に乗り込んだ
信二「今日はTS、帝人国際ホテルのスイートだ」
遠軌「ああ、俺のベンツ、置いてあるよ」
打田は同じベンツ、ナンバープレートの下一桁以外、色、形からシートカバーまで全く同じベンツを3台所有しており、活動用に配置している
さて、乗車中にちょっとはまともに変装し直した打田は、帝人国際ホテルの入り口に車を止めると走って出て行った
遠軌「篠田、ありがとう」
信二「おつかれ、気をつけてな」
そう言って、俺は自宅へと車を走らせた
スイートルームでは万我郎が頼んでくれた女が打田を待っていた
愛子「あら、ホントに打田選手が来ちゃった、感激」
その女は駒場愛子という名前で、もちろん、打田とは初対面だった
遠軌「申し訳ありません、今日はよろしくお願いします」
愛子「丁寧な人ね、テレビで見たまんま」
遠軌「あまり時間がないもので」
愛子「はいはい、急ぎましょう」
カキーン
遠軌「それでは、僕、帰ります」
愛子「大変ね、でもよかったわ、ウッチー」
遠軌「ありがとうございます」
愛子「ありがとうなんて言わないで、愛してるとでも言ってよ」
遠軌「そう言いたいのはやまやまなのですが、僕、女房と、子供もいるので」
愛子「冗談よ、冗談、こちらこそ素敵な瞬間をありがとう、おやすみ」
遠軌「おやすみなさい」
打田はそう言い残すと一目散に地下の駐車場へ向かった
遠軌「よし、車は予定通り、えーっと、キーは、2号車だから、これか」
車に乗り込んだ打田は自宅への道のりを急いだ
遠軌「えーっと、服はオッケー、朝と同じだ、時計、靴、バッグ、携帯電話、財布、よし、忘れ物もないな」
信号待ちで荷物チェックをする打田、まあいつものことだから手慣れたもんだ
遠軌「それで、時間は?そうだな、11時半には帰れるな」
打田の知られざるジンクス、それはホームランを打った日には女性と関係を持たないといけない、それも同じ女性ではダメ、毎回新しい女性と関係を持たなければならない、というとんでもないジンクスなんだ、そしてたかがジンクス、されどジンクス、このジンクスを守らないと、打田はしばらくホームランを打てなくなる、看板選手の打田がホームランを打たなければベアーズは勝てない、ファンは離れる、それは選手である俺の生活にも影響する、だから俺は活動に協力することは仕事だと思ってやっているんだ
信二「御三田さん、俺です、篠田です」
万我郎「ははは、そろそろ電話がかかってくる頃だと思ってたよ」
信二「そうなんです、今日は活動なしの状態で打田がホームラン打っちゃったんで」
万我郎「テレビで見てたよ、もう手配はしてある、TSで10時にはスタンバイできる」
信二「恩にきます」
御三田万我郎(おみだばんがろう)は俺の親父、篠田忍(しのだしのぶ)の古くからの友人で、大手芸能プロダクションの社長、打田の活動ではお世話になることが多い、TSというのは暗号で帝人国際ホテルのTとスイートルームのS
信二「さて、そろそろかな」
インタビュアー「今日のヒーロー、一本木選手と打田選手でした」
俺は今自分の車の中、御三田社長との電話を終え、ラジオで野球中継をチェックした、ちなみに車は球場裏の道路に止めている
遠軌「篠田、悪い、やっと終わった」
信二「オッケー、早く乗れ」
打田は着替えもせずに上からコートを羽織り、サングラスをかけ、それが変装になっているのかどうか微妙な格好で俺の車に乗り込んだ
信二「今日はTS、帝人国際ホテルのスイートだ」
遠軌「ああ、俺のベンツ、置いてあるよ」
打田は同じベンツ、ナンバープレートの下一桁以外、色、形からシートカバーまで全く同じベンツを3台所有しており、活動用に配置している
さて、乗車中にちょっとはまともに変装し直した打田は、帝人国際ホテルの入り口に車を止めると走って出て行った
遠軌「篠田、ありがとう」
信二「おつかれ、気をつけてな」
そう言って、俺は自宅へと車を走らせた
スイートルームでは万我郎が頼んでくれた女が打田を待っていた
愛子「あら、ホントに打田選手が来ちゃった、感激」
その女は駒場愛子という名前で、もちろん、打田とは初対面だった
遠軌「申し訳ありません、今日はよろしくお願いします」
愛子「丁寧な人ね、テレビで見たまんま」
遠軌「あまり時間がないもので」
愛子「はいはい、急ぎましょう」
カキーン
遠軌「それでは、僕、帰ります」
愛子「大変ね、でもよかったわ、ウッチー」
遠軌「ありがとうございます」
愛子「ありがとうなんて言わないで、愛してるとでも言ってよ」
遠軌「そう言いたいのはやまやまなのですが、僕、女房と、子供もいるので」
愛子「冗談よ、冗談、こちらこそ素敵な瞬間をありがとう、おやすみ」
遠軌「おやすみなさい」
打田はそう言い残すと一目散に地下の駐車場へ向かった
遠軌「よし、車は予定通り、えーっと、キーは、2号車だから、これか」
車に乗り込んだ打田は自宅への道のりを急いだ
遠軌「えーっと、服はオッケー、朝と同じだ、時計、靴、バッグ、携帯電話、財布、よし、忘れ物もないな」
信号待ちで荷物チェックをする打田、まあいつものことだから手慣れたもんだ
遠軌「それで、時間は?そうだな、11時半には帰れるな」
打田の知られざるジンクス、それはホームランを打った日には女性と関係を持たないといけない、それも同じ女性ではダメ、毎回新しい女性と関係を持たなければならない、というとんでもないジンクスなんだ、そしてたかがジンクス、されどジンクス、このジンクスを守らないと、打田はしばらくホームランを打てなくなる、看板選手の打田がホームランを打たなければベアーズは勝てない、ファンは離れる、それは選手である俺の生活にも影響する、だから俺は活動に協力することは仕事だと思ってやっているんだ