パラオは、488平方キロメートル(屋久島とほぼ同じ)、人口221,097人(2014年、世界銀行)、太平洋上のミクロネシア地域の島々からなる国です。
首都はマルキョクで、最大の島、バベルダオブ島の東岸に位置します。2006年10月7日にコロール島にありパラオ国民の過半数が住む旧首都のコロールから遷都しました。
首都マルキョクやロマン・トメトゥチェル国際空港のあるバベルダオブ島と旧首都のあるコロール島とはKBブリッジ(Koror Babeldaob Bridge)と呼ばれる橋で結ばれています。
1977年に建設された旧KBブリッジは1996年に突然崩落、同時に電気、水道などのライフラインも失われたため旧首都のコロールの都市機能は麻痺し、パラオは非常事態宣言を発令しました。コロールからマルキョクに遷都した原因の一つです。
現在の橋はパラオからの求めに応じ、日本が無償援助にて建設、2002年に開通したもので「日本・パラオ友好の橋」と呼ばれています。
パラオは南北およそ640Kmに渡り200以上の島々が散在しますが、このうち人が住んでいるのは9島のみで残りの大多数は無人島です。地質はおもに火山島と隆起サンゴ礁による石灰岩島を含み、隆起サンゴの島々は長年の侵食によりマッシュルーム型の奇観を造りだし、ロックアイランドとして広く知られています。「ロックアイランド群と南ラグーン」は2012年に、ユネスコの世界遺産の複合遺産に登録されました。
複合遺産は、約1,000件ある全物件数のなかで30件程と、非常に少なく、自然環境と、そこでの人間の文化的営為が、ともに顕著に普遍的な価値を有するものと認定されることが必要なのだそうです。
マッシュルーム状の緑の島々や紺碧の海が織りなす自然美、さらにマリンレイクと呼ばれる汽水湖の一種を世界で最も多く擁する固有種の多い生態系や、絶滅危惧種を含む生物多様性などが評価されると共に、気候変動や人口増加による資源の枯渇に直面した人類の足跡をとどめる考古遺跡なども評価されました。
マカラカル島のジェリーフィッシュレイクは、タコクラゲの仲間などが多く棲息しています。結構有名ですので、ご存知の方も多いかも知れません。
また、ロックアイランド群を囲むラグーンには、多くの海洋生物が生きており、シュノーケリングやスキューバ・ダイビングの名所として知られています。
パラオは国内に多く残る遺跡などを研究した結果、約4000年前から人が住んでいたと推定されているそうです。
1500年代スペイン人がミクロネシアの島々に来航し、その後ポルトガル人、イギリス人等がやってきました。ヨーロッパ人による天然痘が流入したことと、現地人に対する搾取が原因でパラオの人口は90%程度減少したとされています。
パラオは1885年にスペインの植民地下に入ったのですが、1899年スペインがミクロネシアの島々を独に売却します。
1914年から始まる第一次世界大戦で日本はパラオを含む独領ミクロネシア(南洋群島)を占領し、1920年国際連盟から日本の(パラオを含む)ミクロネシア(南洋群島)委任統治が認められ、1922年南洋群島全体を管轄する南洋庁本庁がコロールに設置されました。
日本の統治が始まってからは、ドイツの統治下ではほとんど進んでいなかった学校や病院、道路など各種インフラストラクチャーの整備が行われました。これにより1920年代頃になるとコロールは近代的な町並みへとその姿を変貌させたのだそうです。
多くの日本人が住み着いたものの、彼らはパラオ人に対して極力差別がない扱いに努めました。
また、日本統治の開始にともない日本語による学校教育が現地人に対しても行われるようになりました。日本統治時代に教育を受けたパラオ人は、日本語で不自由無く意思疎通ができるレベルに達している者が多いのだそうです。
そんな経緯から、日本との関係は深く、日本に好意的な人が多い親日的な国です。
2015年の天皇皇后訪問の際には街中のいたるところに日の丸が掲揚され、インタビューに対し「日本人が大好き、日本が大好き」、「みんな日本が大好きです」と回答している様子が報道されていました。
因みに、1993年から2001年まで2期大統領を務めたクニオ・ナカムラ(中村 國雄)はペリリュー首長部族の娘アリール・ベトックと三重県伊勢市大湊町出身の船大工・中村善七との間に生まれた日系人だそうです。
第二次世界大戦(太平洋戦争)が始まると、コロールは海軍の重要な基地として北西太平洋方面の作戦拠点となりました。
そのため、西方のフィリピン戦線の状況と連動して連合軍の攻撃対象となり、1944年にはペリリューの戦いなどで両軍に多くの戦死者を出します。なお、ペリリュー島の戦いではパラオ民間人の死者はなかったとされていますが、日本国籍を持たない現地人であっても、パラオ挺身隊などに軍属として動員されることはあったそうです。
第二次世界大戦終結後の1947年に、国際連合の委託を受けアメリカ合衆国はパラオを信託統治下に置きました。
1965年にミクロネシア議会発足しパラオも代表を派遣するのですが、1978年には住民投票の結果、パラオはミクロネシア地域の統一国家からの離脱を決定、1981年には憲法発布し自治政府が発足します。
1982年には米国との間で自由連合盟約(コンパクト)案を合意します。
1983年2月、1984年9月、1986年2月、1986年12月、1987年6月及び8月、1990年2月の7回住民投票が実施されましたが、75%以上の賛成を得ることが出来ず不承認となりました。
1993年に第8回目の住民投票によりコンパクト案承認され、1994年10月1日コンパクトが発効し独立ました。
コンパクトとは米国の国連信託統治から独立する際に、米国との間で締結した自由連合盟約のことで、有効期間は50年間とされ、1994年から2009年までの15年間、米国から財政支援を受ける一方で、国防と安全保障の権限を米国に委ねることとなります。
尚、2010年9月改訂コンパクトに署名し、2010年から2025年までのさらに15年間、引き続き米国が財政支援を行うこととなりました。
IMFの統計によると、2013年のGDPは2億4,600万ドルです。一人当たりのGDPは14,022ドルで、世界平均を30%ほど上回ります。漁業とココナッツなどの農業、観光が主産業で、歳入のほとんどがアメリカ合衆国からの無償援助だそうです。
観光や軽工業の振興を奨励していますが、その多くはフィリピン人労働者で維持されているのだそうです。パラオ人の多くは公務員で、その他もホワイトカラー指向であり、教員や看護師などの専門技能を持つ人たちは、給与格差などの理由で1990年代にサイパンへ移住した人も多いのだとか。
アメリカ合衆国からの無償援助の弊害なのかも知れません。
台湾でも親日的な方が多いのだそうです。それは、戦前日本が台湾のインフラ整備や教育制度の充実に力を注いだからという人もいます。
また、ブルネイが親日的なのも占領時代にインフラ整備を行ったためだそうです。
日本の戦前・戦中の行いは、負の側面が伝えられているのではないかと思います。
負の側面は充分言い伝えられていく必要はあるのですが、現地の人々の役に立ったのは何なのか、理解する必要はあるのだと思います。
資金の支援はとても重要なことだと思います。
それは、病気の治療でいえば、病原菌に立ち向かう西洋医学的な治療のようなものなのでしょう。
一方、インフラ整備や教育制度の充実などは、病気になりにくい体を作る東洋医学的な治療のようなものだと思います。
今の日本が世界に対し、何ができるのか、何をすべきなのか、親日的な方が多いパラオ、台湾、ブルネイに戦前・戦中の日本がどう対応していたのかという点にも、ヒントが隠されている気がします。
もちろん、彼の地を支配することや、鉄道建設の見返りに鉄道沿線の権益を確保するというようなことではありません。「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬよう」という気持ちで、「日本・パラオ友好の橋」のように人々の役に立つインフラを整備したり、教育制度を充実させ、技術指導を行ったり、人材の育成に力を貸したりすることが重要なのだと思います。
ヨルダン川西岸地区では、スイカは主要な農産物のひとつでしたが、病害虫の発生により、一度はパレスチナ産のスイカは市場から消えました。
以来、イスラエル製の安価なスイカが市場に出回り、パレスチナではイスラエル産のスイカに依存するようになっていたのですが、JICAが行ったプロジェクトにより、スイカの接ぎ木技術が伝わり、病害虫に強く、苗を導入した農家はかつてのような品質の良いスイカを収穫できるようになり、パレスチナ産のおいしいスイカが復活しているそうです。
今は混乱のさなかにあるシリアやイラクの地でも、そんな支援が行える日が早く来ると良いのですが。
シリアやイラクの地はメロンの産地だったとか。子供たちがうれしそうにメロンの収穫を手伝っている、そんな姿を早く見てみたいと思います。
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