フィンランドは、面積が33.8万平方キロメートル、人口約549万人(2016年4月末時点)、名目GDPが2,996億ドル(2015年、IMF)ですから、日本よりやや小さいくらいの地域に北海道と同じぐらいの人が住み、経済規模も北海道とほぼ同じと考えるとわかりやすいかもしれません。
首都はヘルシンキで、西はスウェーデン、北はノルウェー、東はロシアと国境を接しています。
フィンランドは北欧の高福祉国です。教育制度がしっかりしており、学力世界一ともいわれています。Linux開発者のリーナス・トーバルズの出身国だというのもうなずけます。また、携帯電話で一時期は世界シェアトップであったノキア(NOKIA)もこの国の企業です。
フィンランドの航空会社であるフィン・エアの宣伝では、「日本に一番近いヨーロッパへのゲートウェイ」と宣伝していますが、中継地としてでなく実際に訪れてみたい国です。
政府観光局公式サイトでは「ムーミンとサンタさんの故郷へ行こう。」などと書かれています。ムーミンシリーズの作者トーベ・ヤンソンは1914年8月9日生まれで、2014年に生誕100周年を迎えています。
ムーミンワールドはひとつの島(カイロ島)がまるまるムーミンのテーマパークとなっている場所で、サンタクロース村はいつでもサンタクロースに会える村、いずれも人気の観光地です。
フィンランドを描いた絵画では東山魁夷の「白夜光」が有名です。美術の教科書に載っていることが多いですし、国立近代美術館に所蔵されていますから、ご覧になったことの有る方も多いと思います。
東山魁夷は1962年の4月から7月までに北欧を旅行し、そのときの思い出をいくつかの絵にしています。
その中の一枚が「白夜光」です。沈まぬ太陽の中で、光り輝く湖水と吸い込まれてしまうような深い森が見事に描かれています。
フィンランドを題材としたもう一枚の絵が「二つの月」ですが、こちらは個人所蔵ということで、実際に見る機会は余りありません。
また、北部のラップランドではオーロラ見ることができます。
フィンランドの伝説によれば、「キツネが北極圏の丘を走るとき、尻尾が雪原に触れ、それが火花となって巻き上がり、夜空に光となって表れる。」と伝えられており、フィンランド語のレヴォントゥレット(revontulet)は、この伝説から生まれた言葉で「狐火」という意味だそうです。
クラッシック音楽が好きな人はジャン・シベリウスを思い出す人もいるかもしれません。
代表曲の交響詩フィンランディアは3部構成で、フィンランドの深い森を表現したような荘厳な序奏で始まり、中間部では闘争がイメージされ「フィンランディア賛歌」とも名づけられた旋律を中心に展開されます。最後には勝利を思い起こさせるように曲が終わります。
演奏時間が7分から8分弱というところから、アマチュア・オーケストラの定番曲となっています。
フィンランディアは愛国的な感情を呼び覚ますとされ、当時支配を受けていたロシア当局の弾圧を受け、別名で演奏されたこともあるそうです。
フィンランドはスウェーデン・ロシアという2つの大国に翻弄された歴史です。
1世紀頃フィンランド人がこの地に定住します。
1323年にはスウェーデン・ロシア間の国境確定しフィンランドは、スウェーデンの一部となりました。この時代のフィンランドはスウェーデン=フィンランドと呼称されており、スウェーデンによる大国時代を形成していました。
その後、1700年~1721年の大北方戦争の結果、フィンランドの一部がロシア帝国に割譲されます。
1803年~1815年のナポレオン戦争では一時期敗戦国となりかけたスウェーデンは1809年にフィンランドの地をロシアへ割譲し、フィンランドの地はロシア領となります。
1917年にはロシア革命の混乱に乗じてロシアより独立、フィンランド共和国成立するのですが、1939年対ソ戦争(冬戦争)、1941年~1944年対ソ戦争(継続戦争)、1944年~1945年対独戦争(ラップランド戦争)と国土防衛のための戦争が続きました。
フィンランドを含む北欧諸国が高福祉国家であり、平和国家であるのは、大北方戦争以降の混乱に対する反省なのだと思います。
今、フィンランドでも中東からの難民が増加し問題となっています。
フィンランドの若者たちの一部が「オーディンの戦士たち」という団体を立ち上げました。
そのグループのフェイスブックには「白人種のフィンランドのために戦う愛国団体である。」と書かれており、「イスラム主義の侵入者」が犯罪を招いているとして、「移民お断り」などのスローガンを手にデモを行っているそうです。
大半のフィンランド人はこのグループに否定的なのだそうです。
ヘルシンキでは、反移民デモに唾を吐いた28歳の男性が暴行を加えられ、一週間後に死亡する事件が発生しました。これに対し、人種差別や暴力的な極右過激派に抗議するデモが行われ、約1万5千人が参加したそうです。
彼らはシリアを含む中東の紛争地域の凄惨な状況を理解しているのだと思います。それは、大北方戦争から始まったフィンランドの戦乱と抑圧の歴史と二重写しになっているのかも知れません。
ムーミンの国ですから、フィンランドの人々は本当はやさしい心を持った人々なのだと思います。
きっとラップランドの寒い暗い冬を過ごす中で、そんな性格が育まれていったような気がします。
私も、中東の紛争地域で何が起きているのか、関心を持って行こうと思います。
シリアを含む中東の紛争地域の凄惨な状況が、インターネットのニュースで報道されない日は無いのですから。
シリアの子供たちに笑顔が戻った時に、「本当に良かったね。」って思えるために。
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