goo blog サービス終了のお知らせ 

伝統文化★資料室

東京成徳大学・日本伝統文化学科の学生と教員が「伝統文化資料室」から、情報発信します!

柳筥と歌会

2012-05-16 18:56:12 | 日本文化

歌会を行う場合、事前にその案内状や料紙(短冊)を送りますが、その際、包紙にくるみ、水引をかけ、柳筥(やなぎばこ・やないば)の蓋に載せて届けるという作法が『歌会の作法』(大原重明)に記されています。実際その手順通りに再現してみました。百聞は一見にしかず、やってみると細かいところまでよくわかります。

指図(下)の通りにつくります。紅白の水引は一本だけ裂いて使います。

 

参考:『幕末の宮廷』下橋敬長(東洋文庫)<御法楽の歌の使>

それから、使番は宮様始め、お公卿(公家)様へ御法楽の歌を持って行かなければなりませぬ。伊勢、八幡、賀茂、稲荷、春日、北野諸神社への御、それは、御短冊を三つに折って奉書で包んで、北野の天神さんでございますと、奉書の上に「聖廟御法楽」、伊勢ならば、「神宮御法楽」、春日なら「春日御法楽」と書いてあります。それを柳筥というものへ入れて、台へ載せて水引が掛かっております。それは、お公卿(公家)様残らずではありませぬ。大臣一方、宮様一方、摂家一方、あとは大・中納言、五位のお公卿(公家)様で、二十人か二十五人、其処へ向けて持って参ります。それは、お歌の奉行が清閑寺とか、冷泉家(上下二家あり、歌道の家)とか、飛鳥井(歌道の家)とか、職事とか、蔵人とか、都合五人の中から、一人がお歌の奉行になりまして、その奉行から執次に渡し、執次が使番の番頭を呼んで、此処へ持って行けと渡します。使番の番頭が受け取って下席の使番に、「これは有栖川様へ持って行け」、「これは一条さんへ持って行け」、「これは藤波さんへ持って行け」、「これは河鰭さんへ持って行け」と指図をして、文庫に入れて持って行かせる。そうして、「来たる何日までに(お歌を)お出しになるように」と言う。それを受け取りますと、中に題が書いてありますから、その短冊に歌を書いて奉行へお届けになります。奉行が職事の清閑寺さんなら清閑寺さん、飛鳥井さんなら飛鳥井さん、冷泉さんなら冷泉さんへ持って来るのでございます。前日か当日に全部揃います。揃いました上で、小御所で奉行が読み上げます。そうしてその御短冊は一緒にして、朝廷の御蔵に入っております(寺社へ寄進されたものもある)。それが毎月あらせられます。伊勢と北野は毎月ですが、あとは正、五、九月です。伊勢の大廟と、北野の聖廟天神様は、それほどに御尊敬遊ばされたのでございます(大原稔氏ご教示)。


最新の画像もっと見る