今日の伝統塾は、自主練習でした。参加者はいつも通り二人だけ…(´・ω・`)オーディションあるのにみんな大丈夫なのかなぁ…??(・ω・)
私は授業以外でも練習する時間作って頑張ります(`・ω・´)
オーディション合格するぞー(*`・д・)ノ オー!!
白石
前回の研修に引き続いて今回も黒田さんご夫妻にお世話になりました。今回は束帯の着付けの際に横が醜く膨らんでしまう事などをはじめとした問題についての対策も教えていただき、たいへん勉強になりました。しかし教えていただいた事もまだ技術として身に付いた訳では無いので練習をこなして身に付けて行きたいと思います(安田)
今回、職人芸を見たいために参加し、京蒔絵が一番印象に残りました。手に取り間近で眺めるのは初めてで、金箔やアワビの螺鈿の隆起に感動しました。また、蒔絵と聞いてイメージするような古典柄以外に、現代風もありました。ただ伝統に忠実に従うだけでなく、現代に適応して技術・作品を残しているのだと思いました。いかに持ち味を残しつつアレンジを加えるかが肝心だとより感じました(関根)。
今回の研修は毎日が充実したものとなりました。装束班として着付けを行っている私としては黒田装束店のご夫妻に教えて頂いた十二単や文官束帯のきちんとした着付けの仕方を目学びや自分自身でやらせて頂いた事が1番印象に残っています。
これから学んだ事を生かして、より美しく、着ている方に負担にならないような着付けを毎回出来るようにしたいです。そして職方の方々が作って下さっている装束を好きになってもらえるようにもしたいです。(三田)
今回の京都での経験を通して、感じたのは「伝える」という事について理解が深まったように思う。
かつてからある技術をそのまま、同じ仕組みで伝えるのが正解であるように思える。自分もそう思っていた。しかしながら、今回井筒さんを見学したことで、正解は一つではないのではないかと思えた。
パリコレの衣装やライダージャケットという、現代ファッションに協力する行動と技術。完全分業化していた西陣織りのいくつかの工程をまとめて一つの場所で行う。これらは、井筒さんの所で行われている。また、新たな試みであるといえる。しかしながら、これは根底に若い世代に仕事に参加して欲しいという願いと、後継者不足で、分業の歯車が欠けてしまうのではないかという実状に対する懸念を解消したいということがある。
結果、新たな仕組みや技術を開拓することが、「伝える」という結果を生むことがあるのではないかと考えを変えるのに至った。
これからは、伝統的な技術や文化の概念のみならず、どのように、それらを「伝える」為の試みがなされているのかにも注目していきたい(長谷川)。
今回、多くの場所を見学させていただいた中でも「井筒織工房大根屋」は非常に印象深かったです。大きな機械が何台も並び大きな音を立てて動いてるからというだけでなく、工程のデジタル化や社員の皆さんの若さから「次世代へと繋がる伝統」というのを感じた気がします。後継者不足で困窮している所が多いと聞く中、この大根屋さんのような明るく開かれた伝統を感じる方針は1つの答えたりえるのではないかと考えました。(幸島)
今回、私が一番印象に残ったことは久世張さんのところで見学をしたことです。
糊づけがされているかいないかで、装束を着付けるときのやり易さも完成したときにピシッと綺麗にできるかも変わってきます。
久世張さんは、なんと糊から自分のところで作っているのだとか。
米を炊いてつくる姫糊の完成には3年の月日を必要としていて、3年かけてできても質が悪いと処分してしまうそうです。
1階にズラリと並んでいる樽の中は全て姫糊でした。姫糊にも個性があるそうで、少しずつやり方が変わるのだと伺いました。
そこまで手をかけた姫糊だからこそ、私たちは自信を持って作業をするのだと仰る社長からは、姫糊に対する愛情と誇りを感じました(白石)。
いよいよ研修最終日。本日は生地に糊づけをする張り加工、ならびに、蒔絵、組紐製作のお仕事場を見学します。有職の世界の奥深さを堪能する一日になりそうです。まずは「御装束法衣染張」を名乗られる「久世張」さんをお尋ねしました。奥行のある工場の二階に、生地の糊づけをする作業場があり、いくつもの生地がかけられています。
社長の久世隆雄さんのご解説で、作業の工程や温湿度管理のご苦労など、事細かに伺うことができました。学生からもたくさん質問させていただきましたが、大変丁寧にお答えをいただきました。
ふつうの衣類と違い、装束・法衣などは糊付けによって張りを持たせることが必須になります(強装束)。そのために、素材や用途にあわせた糊を用意し、手早く糊を塗っていきます。
生地の張りを持たせるために、裏がわに竹ひご(伸子)を多数横にわたしています。竹ひごの先には針があり、生地の端に等間隔で刺してあります。布の幅は、例えば装束の場合は「尺五」(1尺5寸=約45センチ)ですが、いろいろな幅に対応できるように、竹ひごも多種類用意されています。
糊をかけ終わったら、上の方にあげて乾燥させます。こちらは「潤色」、すなわち染め直しのためのものですが、新品とはまた異なったご苦労があるそうです。
一階は、久世社長が「生命線」と言い切る、「姫糊」の保管場です。米を炊いてつくる「姫糊」は、酒やみそと同じく発酵するもので、仕込んだ段階では不純物が多く、やわで使えない由、糊がかたく締まり、手で割れるようになって、はじめて使えるようになりますが、それまでに少なくとも三年はかかるそうです。一樽50キロの糊が、35キロに減る由、どの樽もそれぞれ個性があり、よい糊になるもの、使えないもの、さまざまだそうです。まるで我が子をいつくしむように、丁寧に管理されていることが伝わりました。
これが、三年経った姫糊の樽。ここまでになれば、自信をもって使えるといいます。多種多様な布に対応しなければならない以上、出来合いの糊を使ってトラブルが起きてはどうにもなりません。そこで「自分で糊を作る」ことによって、そうしたリスクを最小限にし、何か起きてもすぐに対応できるようにする、それがこの仕事をする上で一番大切なことだとおっしゃいます。頭の下がる思いです。
続いて、「下出蒔絵司所」にお邪魔しました。まず、実際の作品をサンプルに、研ぎ出しなどの技法について説明をしていただきました。
道具で目を惹くのは、まずは筆の材質です。「ネズミの毛」「ネコの毛」(色漆を塗る際に用いる)「ムササビの毛」(金粉を掃き集めるのに用いる)など、通常なかなか聞かない名前が次々出てきます。ムササビの毛の手触りは繊細きわまりなく、これ以外ではできない、というのがよくわかります。
蒔絵用の金は純金、銀はプラチナを用いている由、金粉は大きさにより一号から十七号まであります。螺鈿には鮑が用いられます
職人さんは男性1名、女性6名、京都工芸繊維大学で2年間の勉強ののち、こちらの作業場で、5年を目途に働くとのことです。皆さん熱心に仕事をされていました。
漆はこの乾燥室で一晩乾燥させて、また、研ぎ出しなど次の作業にかかります。
こうした多くの作品が展示されています。
こちらは、京都迎賓館に収められたお品の意匠。
後は、紐の製作の現場へ「西田糸店」は、絹糸を紐にしてゆく機械作業をしています。大正期からあるという、こうした機械を稼働してゆきます。
四代目はまだ26歳、お父上が目を細めてみておられました。こうやって伝統が受け継がれていくのですね。
見学研修を終えて、装束の殿堂「風俗博物館」へ。学芸員の宮井さんにとても詳しくご説明をいただきました。
井筒さんが再現に取り組んでいる、鶴岡八幡宮のご神宝装束、これらは、東京国立博物館の「大神社展」に出ていましたね。
ふたたび大根屋の山本社長登場、実は、5月の「大神社展ツアー」の際、たまたま、この御神宝を見学にいらしていた山本社長と、八條先生一行(成徳組もいました)が偶然出会ったという奇跡がありました。「表着 白地小葵鳳凰模様二陪織物」の鳳凰模様に、一か所違式のところがあり、それはなぜなのか、ということで現物を見にいらした由、研究熱心さに頭が下がります。
偶然、といえば、早稲田大学在学中の学生作家、阿部智里さんが来合せておられてびっくり。松本清張賞『烏に単は似合わない』に続く第二作『烏は主を選ばない』(文芸春秋)も好評発売中です。八條先生に御紹介申し上げました。
こちらにも装束体験コーナーが。早速体験。そして着付けも。お騒がせをいたしました。
むかし源氏に今源氏、お品よくあらしゃいますなぁ。
3日間、とても濃い体験をいたしました。八條先生、そして快く見学をお許し下さった皆様方に、あらためて深く感謝申し上げます。
(或日の昼つ方の事である。一人の貴人が御所ちかくのガストで、雨やみを待つてゐた)。
そのゆふべ、行き行きて、鴨川のほとりに至りて、先斗町にて、人々酒のみさかな食ひけり。
をりしも、重陽のころにてありければ、貴人ののたまはく、
「きくのはなといふ五文字を、句の上に据ゑて、恋の心をよめ」
といひければ、或る人のよめる。
君がため 苦しきおもひ のこりなく はらさんとして 生麩田楽
とよめりければ、みな人、あきれたるさまにて、しづまりにけり。
これは、あづまの人には、生麩はめづらしきものなればとて、貴人の、品書きにはあらざりしを、ことさら田楽にあつらへたまひければ、かくいふなり。
お昼時の京都は大雨でしたが、午後からは持ち直しました。こちらは油小路通、井筒装束店のショールーム、装束娘たちはルンルンです。
淺田社長じきじきに、最新作の狩衣のご説明をくださいました。ありがたいことでございます。
本日は、装束仕立の張田紘史さんにお越しをいただき、狩衣(顕文紗)の生地を裁断し、捻り仕立てをするところまでを見せていただきました。裁断はまさに一気呵成、迷いなく鋏が進みます。ほとんど切れ端が出ず、おくみ部分を取った余りから、あげくび、蜻蛉、当て帯などのパーツが出来上がってゆきます。貫頭部分は二枚重ねの布を半円形の型紙をあてて切り抜き、楕円形をつくる、など、実際に見なければわからないことがたくさんありました。
捻り仕立ては、四枚の布の長辺を少しずつ一気に捻っていきますが、そのスピードは圧巻というべきものでした。途中一部捻らない場所があり、それが縫い合わせの位置だということも、いちいち納得がいきました。学生も息をつめて凝視していました。
井筒の社員の皆さんも、ご覧になっておられました。こちらは、名高き井筒企画のお姉さま方です。
続いて、井筒さんが展示協力しておられる、嵯峨野の「時雨殿」へ参りました。御手洗川の御禊、天徳内裏歌合の場面が再現されておりました。ここでも、もちろん装束のお勉強であります。
二階では「平安装束体験」も。普段着付けを担当しているので、着る側に回るの大事な勉強です。
せっかくですので、雨上がりの嵯峨野を少し散策。竹林の道が涼しかったです。
常寂光寺にてさわやかに!(実は結構足にキてる)
渡月橋越しの山の風情が美しゅうございました。
昨日の着装研修に続いて、装束を支える職方の皆様のお仕事を実際に拝見することになります。八條先生と、井筒装束店の淺井茂樹社長のお計らいによるもので、貴重この上ない機会を与えていただきましたことに深く感謝申し上げます。
最初は装束の織りを見学します。西陣にある井筒織工房 大根屋(だいこんや)は、伝統的な分業を旨とする西陣にあって、企画から織り上げまでを一貫して行うことのできる新たな形の工房です。山本弘社長の創意工夫により、天井からの採光そのほか、全体的に明るい環境が整えられ、24台の織機を稼動させています。
まず、社長おん自ら、どのよう手順で織物が出来上がるか、というレクチャーをしていただきました。
トピックスとして、近年取り組んでおられる「ぬれ緯(ぬき)」の技法についての説明もありました。
「ぬれ緯」は、ぬきいと(横糸)を水で濡らした状態で織り上げる技法で、狩衣における「襲色目」は、単なる表地と裏地とのセットではなく、表地から裏地が透けて見えることによる配色の美しさである、という八條先生のお説が、この技法によってより説得力を増します。特に、動いたときにその配色が微妙に変化するという点においても、美しさが際立ちます。
実際に織機で「ぬれ緯」を用いて織っています。
水に漬けてある「ぬれ緯」、ロットも木ではなく樹脂です。
装束文様の実際のデザインはコンピュータ上で行われています。安田くんが挑戦してみましたが、なかなかそう上手にはできません。
素材として、生絹と練絹の手触り、質感の違いを実感してもらいます。こういうことは、現場で使われている実物でなければ到底わからないことです。
手前が「茜染め」(ニホンアカネによる)、向こうが「紅花染め」、こうした古来の染色が、現在ほとんど省みられないことは残念です。これも、写真で見てはダメ、織糸でないと。
また、見本帳や図案集など、伝統的な技法を伝えるものも多く備わっています。幕末期の宮廷装束の裂見本など、貴重なお品も拝見できました。
工房は、二棟の別棟にもあり、二階回廊から見られるようにもなっています。織機は中古品をメンテナンスしながら使用しているとのことで、そういった方面の知識も必要になります。
新しい試みとして、革で作った織物や、パリ・コレクションの衣装への挑戦など、伝統のわくをこえたチャレンジも積極的に進めておられます。こうしたことを通じて、若い方もベテランの方も、高いモティベーションで働くことができるというわけです。とても勉強になりました。
夜は四条烏丸の町屋ふう居酒屋(「清水家 錦」オススメシマス!)にてご苦労様会、「たいたん」とか、薄口のうどんとか、鱧のおとしとか、佳肴美味、清談風発、まことに結構な一夜でありました。
宿泊先には、黒田装束店調進の「花車」が飾られております。実際にお二人で乗車できるそうです。