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HPSDR ワークショップ in Friedrichshafen の映像が公開されました

2014-07-15 22:39:07 | ソフトウェアラジオ
Apache Labs.のANANシリーズの元となったHermes(DDC/DUC方式のSDRトランシーバボード)や、それらのハードウェアを用いてプリディストーションを実現するOpenHPSDR版PowerSDR(FlexRadioのオリジナルから派生したバージョン)を開発しているのは、アマチュア無線家たちによるHPSDR(High Performance Software Defined Radio)というプロジェクトです。6月の末にドイツの Friedrichshafen で開催されるハムの祭典は、ヨーロッパでも最大規模のものだそうですが、そこで今年、HPSDRのワークショップが開かれました。

"HPSDR Workshop - Highlights and Perspectives in Advanced SDR-Technology" と題されたワークショップのプログラムはこちらにありますが、そのうちのほとんどの講演のビデオが公開されています。

プログラムのタイトル(内容のわかるものは日本語のごく短い記述を加えました)と動画へのリンクをここに書きますが、詳しい内容は上記のリンク先の説明を読んでください。発表はすべて英語で行われています。

なお、下にリンクを張った動画は、hamsdr.comにアップロードされたもので、容量の関係からかなり圧縮されていて画質はそれほど良くありません。ただ、いくつか見た限りはそれほど支障はないと思います。現在は高画質のものもOpenHPSDRのサイトで提供されています(その分ファイルサイズは大きいです)。

1. WDSP -- a new DSP - core for SDRs by Dr. Warren C. Pratt, NR0V
現在のOpenHPSDR版PowerSDRのコアとなっている信号処理ライブラリ (動画)

2. Android HPSDR by John Melton, G0ORX/N6LYT
Android上で動くHPSDR用アプリ (動画)

3. Chirp -- an advanced beacon project using weak signal detection by Phil Harman, VK6PH (動画)

4. Digital Predistortion linearizes RF amplifiers by Dr. Warren C. Pratt, NR0V
デジタルプリディストーションの概要と課題 (動画)

5. CuSDR-- Synopsis and new Developments by Dr. Hermann von Hasseln, DL3HVH
GPU(ビデオカード用のプロセッサ)を使って信号処理を行うHPSDR用ソフトウェア (動画)

6. ORION -- a new DDC/DUC board by Abhi Abhiarunoday
ANAN-200DのコアとなるSDRプラットフォーム"ORION"について

7. Future prospectives of HPSDR by Phil Harman, VK6PH
HPSDRプロジェクトの今後(動画1動画2)

私がこれまで見たのは主に 1.WDSP、4.プリディストーション、と7.HPSDRプロジェクトの今後、のビデオです。WDSPは、最近のHPSDR版PowerSDRのコアになっている信号処理ライブラリで、従来用いられてきたDttSPライブラリを置き換えるものになっています。

最近話題を集め始めたプリディストーションの説明は、かなり分かりやすいものだと思いますし、memory effectの問題など残された課題にも触れています。また、最後のところで聴衆(恐らくLeif Asbrink氏?)から、「高次の歪はむしろ増えているようだが…」という質問が出て来るのも興味深いところです(残念ながら圧縮版ではPratt氏の回答の部分が切れてしまっています。気になる方は高解像度版をどうぞ)。余談ですが、Pratt氏の話は意識的にか、少しゆっくりめの速度で話されていてありがたいですHi

また、HPSDRプロジェクトの今後に関する講演では、前半では主に通信プロトコルとハードウェアの話、後半で将来的なアーキテクチャについて話しています。後半の内容はざっくり言うと、例えば受信であればADCで取り込んだデータをほぼそのまま(FPGAによるデシメーション等を行わずに)高速なインタフェースでサーバに送り、サーバ上ではGPUによる並列処理で高速な信号処理を行い、クライアントからの要求に応じて結果を送信するというようなものです(多少とり違えているところもあるかも知れませんが、なかなか刺激的な内容でした)。

こういう講演を生で聞いてみたいものだなあと思ったりしました。なかなか付いて行くのが大変そうですけれど。
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