JI3GAB/blog

ラジオに関する話題を中心につらつらと

DWM誌 2007年7月号のSDRを製作

2009-11-29 22:30:07 | ソフトウェアラジオ
ここのところAPB-1などを製作をするきっかけになったのが、このFPGAを使ったソフトウェアラジオです。DWM(デザインウェーブマガジン)誌の2007年7月号はFPGAを使った回路設計の特集で、FPGA基板が付録として付いていました。

その特集記事の中にJA2SVZ 林氏による、付録基板を使ったSDRの記事が掲載されていたのです。林さんはその年のハムフェアで実際にそのラジオのデモをされていて、その場で色々と話を伺ったのがきっかけで、基板を譲っていただくことになりました。

このSDR基板の内容は、SDR-14/SDR-IQやPerseusと原理的には同じで、アンテナで拾った電波を直接ADコンバータによりサンプリングし、デジタル信号処理によってベースバンドへの周波数変換とデシメーション(サンプリング周波数を下げていく)を行い、PCで受け取れるような形式で出力するというものです。また、USBシリアルポートにより、NCOの周波数の設定を行うことが出来るようになっています。

11月初めのある土曜日の夜に組み立てを終わり、JTAGケーブルでFPGAの設定ファイルをダウンロードしましたが周波数の設定方法等がわからず、結局朝まで色々試したものの動作の確認が出来ませんでした。日曜のお昼に起きて作者の林さんにヘルプのメールを書いたところ、久しぶりのメールを出したにもかかわらず丁寧な返事をいただき、周波数の設定方法と動作確認方法、最新のVHDLコードを送って下さいました。日曜の夜に、そのアドバイスに従って新しいコードをFPGAにロードし、Ham Radio Deluxeから周波数を設定したところ、LCDの表示も出て、実際に80mのアマチュア局の声を聞くことが出来ました。

基板をいただいてから2年、ようやくの完成です。今後はFPGAのプログラミングを勉強して自分なりに色々実験したいと思っています。作者の林さんには色々と助けていただいて感謝しています。また、この基板にはQFNパッケージのADCが使われているのですが、その半田付けに挑戦したおかげでAPB-1の製作もそれほど怖がらず進めることが出来ました。QFNの半田付けの話等はまた書くかも知れません。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フラットパッケージICの取り外し

2009-11-18 22:52:23 | ラジオ(その他)
APB-1製作の中での一番の失敗は、FPGAのチップの方向を間違えて付けてしまったことです。その前にATMELのマイコン(AT91SAM7S)をうまく取り付けて気が緩んだのか、自分では一応方向も確かめたつもりでした。半田付け自体はうまく行って、「よしよし」とテストに入ったのですが、なんと電源ラインがアースに落ちてしまっています。一生懸命ブリッジなど探すのですが、見つかりません。考えること1時間、もう一度組み立てマニュアルを見ると、見事に方向を間違っているではありませんか。夜中だったんですが、もう脱力です。

さて、どうしたものか。最初はQFPのICを取り外すなんて無理に決まっているという思い込みがあって、キットをもう1セット分けてもらおうかとか考えたりしたのですが、今までかけた時間も部品ももったいないですから、やはり取り外すしかありません。当初はカッターでQFPの足を切ってICを外し、残った足をコテではがそうと考えたのですが、今回は別の方法でやってみました。

Webで調べているとサンハヤトなどから、融点の低い特殊な半田を使ってフラットパッケージのICを取り外すキットが販売されています。さらに調べているとChip Quikというメーカからも同等のものが出ていて、海外から買うとそちらの方がお得そうです。そこで、digikeyからそのキットと、念のため失敗したFPGAのチップに加えて、いくつか部品を一緒に注文したところ1週間と経たずに到着しました。

このキットには特殊半田、注射器状の容器に入った専用のフラックスと最後の洗浄用の布(アルコールが染込ませてある)が入っています。
使い方はYouTubeにビデオがあるのでそれを見ていただくのが早いですが、まず注射器を押してフラックスを半田付けしたピンの上に塗布していきます。次に半田ごてで特殊半田を溶かしながらその上に盛って行きます。この半田は融点が低いので、こてを当ててチップのまわりを何周かさせていると、半田が融けているうちにICを取り外すことが出来るようになります。

と、まあ確かに外すことは可能になるんですが、私はその瞬間にうまくICを掴めず、少しずれただけでまた基板にくっついてしまいました。もう一度熱を加えて今度は完全に外れたのはいいのですが、やはりうまく掴めず(不器用かつ準備が悪いですHi)、ICが基板上を転がり、低温半田をあちこちに残してしまう有様です。

この残った低温で融ける半田を取り除くのに意外と苦労しました。半田ごてを当ててうまくこて先に集まってくれる分はいいのですが、どうもビデオのようには要領よく取れません(そもそも融かした半田の量が多過ぎたのかも知れませんが)。吸い取り線でもうまく吸い取れませんし、結構やっかいです。キットについてきた説明書によれば、「残った半田を温め、フラックスに浸した綿棒でふき取れ」とか「最後はキットについてくる洗浄用の布でふき取れ」とありますので、それを何度かトライしてなんとかそこそこ基板上をきれいにすることが出来ました。

教訓としては、該当の場所のまわりをマスキングテープなどを使って覆っておくのがいいように思います。また、半田が融けてICを外せるようになったときに、すばやくつかめるように適当な道具(竹のピンセットとかですかね)を用意しておくということです。上で紹介したビデオでは指でつかんでいますが、あまり出来そうな気がしません。

さて、外したチップはピンをきれいにすれば再利用も可能だと思いますが、今回は失敗したくなかったので、新たに購入したFPGAのチップを付けました。もちろん今度は向きをしっかり確認しました。向きを間違えたまま電源を投入してしまっていたので、他の部品を壊していないか不安だったのですが、大丈夫だったようです。

何より、ICを半田付けするときには向きをちゃんと確認しましょう。当たり前ですね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表面実装部品の半田付け

2009-11-16 00:21:44 | ラジオ(その他)
Web上には面実装パーツの半田付けについて、色々な情報があります(「チップ部品 半田付け」とか「QFP 半田付け」などで検索してみてください)。また、YouTubeでも「QFP 半田付け」や「QFP soldering」などで検索すると実際に半田付けする様子を見ることが出来ます。英語の解説が多いのがちょっと厳しいですが、日本語のサイトである程度情報を得てから映像を見れば大体わかるのではないでしょうか。また、APB-1の組み立てマニュアルの中の解説も参考になります。

私自身は、まだ始めたばかりなので大したことは言えませんが、今のところのどのようにやっているのかを少し。

チップ抵抗やコンデンサは、まず片方のパッドにあらかじめ少し半田を盛ります。その後、コテでその半田を溶かしながら、もう一方の手を使ってピンセットでチップ部品を掴み、スライドさせて所定の位置に持って行き、片方の端子を半田付けします。位置を確め、問題なければもう片方の端子を半田付けすれば完了です。

QFPやSOICなどのIC、それに集合抵抗等の場合は、まずは「位置決め」、これが何より大切です。焦らずにしっかり位置を合わせます。その際、マスキングテープなどで仮止めをする方法もあるようですが、私はやったことがありません。位置が決まったら一箇所どこかの角に近いピンを半田付け(ちょん付け)します。そのときに位置が確かにあっているかもう一度確認します。この段階なら位置をずらすことは十分可能です。

大丈夫であれば、対角にあたる位置のピンをひとつ同じように半田付けします。これらの半田付けの際はブリッジなどしても特に気にしません。

こうやって位置が決まれば、あとは一辺ずつまとめて半田付けしていきますが、まずは半田付けの前にフラックスをピンとパターンに塗布しておきます(位置決めの前にパターンに塗布しておくのもアリだと思います)。そして少し半田をコテに乗せ、コテをパターンの方からピンに向かって滑らせます。ここもそんなに焦らずにやります。熱でICを壊すことはほとんどないはずです。ピンまで行ったらまたすーっとコテを元の方向に戻します。そうするとたいていは3,4ピンを同時に半田付け出来ていると思います。これを何回か繰り返して、その辺のピンをすべて半田付けしてしまいます。ブリッジしているところや、綺麗に半田が流れていないように見えるところは、もう一度コテを当てて往復させてやるとうまく行くことが多いですし、それでもダメな場合は、フラックスを再度塗布してからやり直すとか、一旦吸い取り線で吸い取ってやり直すとかしてみてください。

位置決めしたあとで、もう一つの方法も試してみました。フラックスを塗布したあと、半田を適量ずつ供給しながらICの辺に沿ってコテ先を移動させて一気に全部つけてしまうのです。このときも、一方向に動かしたあと、今度は辺に沿って逆方向に(半田は供給せずに)コテを戻して滑らせて行くとほとんどブリッジすることなく完了させることが出来ました。というか、出来ることもありました、が正確です。

いずれにせよ、だいたいうまく付いたらルーペで確認してみます。残念ながらブリッジが残っていたりすることがあると思いますが、上にも書いたようにフラックスや吸い取り線をうまく使って対処します。

言葉で説明してもなかなか解りづらいですが、やってみると意外と簡単に出来ると感じるんじゃないかと思います。

私も色々試行錯誤している段階です。位置決めがなかなか決まらずイライラすることもありますが、そこさえうまく行けばあとは何とかなると思えるようになって来ました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

半田付けの道具など

2009-11-10 23:31:43 | ラジオ(その他)
私がチップ部品やフラットパッケージのICを半田付けするために使っている道具を紹介します。と言っても特に変わったものを使っているわけではありません。

半田は0.6mmと0.8mmの太さのもので、秋葉原などで普通に売っているものです。チューブに入ったタイプを使っています。

半田ゴテは、HAKKO DASHの25Wタイプ(N454)と、HOZANのHS-11という小ぶりのものです。APB-1の半田付けには、ほとんどHS-11の方を使いました。ペンシルタイプというのでしょうか、手と半田付けのポイントが近くて私には使いやすく感じます。また、コテ先の形状が、HAKKO DASHの方は円錐なのに対してHS-11は先が斜めにカットされたような形で、そのせいもあるかも知れません。ただし、それは買ったときについているのがそれだというだけで、どちらのコテも色々なコテ先がオプションとして用意されています。そのうちHAKKOの方にも先が斜めになったタイプ(N454-T-2Cなど)をつけて試してみたいと考えています。なお、HS-11でパワー不足ということは、今回はほとんど無かったように思います。

半田吸い取り線も必須です。ピンの間でブリッジした時など、不要な半田を除去するために無くてはならないものです。手持ちの関係で2mm幅のものを使っていますが、1mm幅とか、もっと細いものの方がいいかも知れません。

それから、フラットパッケージのICを半田付けするのに特に必要なのがフラックスです。小さいボトルに入ったものがポピュラーですが、私はサンハヤトの「フラックスペン」も使っています。フラックスは「無洗浄タイプ」と書かれているものがありますが、やはりフラックスの跡は残るので、組みあがったあとにアルコールや専用の洗浄液で除去した方がいいと思います。

ルーペも必須だと思います。とりあえず100円ショップで買った5倍のものを使っていますが、あると無いとでは大違いです。ブリッジの確認などに活躍します。

ピンセットは選んだ方がいいです。挟むのにどのくらいの力が必要かが割と重要な気がします。私は少ない力で押さえられるものを使っています。

1608などの細かいサイズのチップ部品をはさむために、竹串(これも100円ショップで入手)の先にカッターで切り欠きを入れたものを使いました。しばらく前にトランジスタ技術誌で紹介されていたものです。うまい具合に出来ると、チップ抵抗などを上から押さえるだけで部品を挟み込んでくれます。うまく行かないと、どこかに飛ばしてしまったりしますがHi。

とりあえずこんなところでしょうか。「チップ部品 半田付け」等で検索してみると色々と参考になる情報が見つかります。また、ある程度は実際にやってみて自分の工作対象や技術に合わせて適当なものを選択して行くことになると思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おじさん工房 APB-1

2009-11-03 23:52:33 | ラジオ(その他)
 最近、キット等を組み立てているというエントリを書きましたが、何を作っているかという具体的な話を少し書きたいと思います。
 この一月ほどは、おじさん工房の汎用実験基板APB-1という、測定器の基板を組み立てていました(勘の良い方には分かってしまったようなんですが Hi)。
他のブログ等でも紹介されている方が何人もいらっしゃるのでご存知の方も多いと思いますが、ADC,DAC,FPGA,ARM CPU等を組み合わせてスペアナ、ネットアナ、ロジアナ、SG、さらにはソフトウェアラジオのフロントエンドとしても使える測定器のキットです。基板とパーツのセットくらいの感覚で注文したのですが、パーツは種類、値ごとに丁寧に袋に分けて入れられていますし、半田や線材までついてくる親切なものです。
また、製作マニュアル(上記サイトからダウンロード)にはチップ部品の半田付けの仕方から始まって、段階を踏んだ組み立ての工程が示されています。また主要なステップでは、その時点での不具合を確認することが出来るので、安心して製作を進めることができます(私もロジアナのテストのところで、一箇所ブリッジを発見しました)。
 製作は、時間の空いている日に1,2時間ずつ使ってゆっくり組み立てました。途中FPGAの半田付けの方向を間違えるという大失敗をやらかしましたが、そのリカバーを含めても約一月足らずで組み上げることができました。
ロジアナ機能以外は一通り実際に使用してみましたが、本格的な利用はこれからです。また、SDRのフロントエンドとしての機能も確認しました。RFアンプが無い状態でも、3.5MHzでのQSOをそれなりの強さで聞くことが出来ます。
 自分でソフトウェアをいじれば、さらに何か面白いことが出来そうな気にさせてくれますし、とても素晴らしいキットだと思います。興味のある方は是非「おじさん工房」のサイトを訪れてみてください。掲示板での議論、サポートも興味深いです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする