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ワンセグチューナーでSDR (Windows用ソフトウェアインストール編)

2012-05-21 22:16:56 | ソフトウェアラジオ
コメント欄でインストールの方法について質問がありましたので、Windows上でRTL2832U使用のワンセグチューナーをSDRとして利用するためのソフトウェアのインストールについて、ひと通り流れを説明したいと思います。基本的には元のページの内容をよく読んで理解した上で行なわれることをお薦めします。
また、私はWindows7 64bit版で動作させていますが、他の環境についても同じように行くかはわかりませんし、ここで記述する通りにやってみてうまく行かなくても責任は負えません。

今回インストールするのは、Balint Seeber氏がwiki.spench.netで配布されているものです。これはインストーラーパッケージになっていて、必要なドライバ、HDSDRなどのSDRソフトウェア、ドライバとHDSDR等を橋渡しするExtIOライブラリなど必要なソフトをすべてインストールできるようになっています。
ただ、私の感想では先にHDSDRなり、Winradなりをインストールしておいた方が間違いが少ないかなと思います(後で出てくるフォルダの指定さえ間違えなければ全部やってもらった方が楽なんですが)。

このソフトウェアに関する説明、ダウンロードのリンクは、http://wiki.spench.net/wiki/USRP_Interfaces のページにあります。最初のところにページ内の目次がありますが、そこの"7.3.2 Installer"と書かれているところにインストーラー(ExtIO_USRP+FCD+RTL2832+BorIP-BETA_Setup.zip)へのリンクがあります。ミラーとオリジナルのリンクがありますが、「ミラーを使ってくれ」と書かれているので出来るだけミラーサイトの方からダウンロードしましょう。

ダウンロードして展開すると中身は実行ファイルが1つですので、それを実行します。あとは流れに従って進めるのですが、いくつかのポイントだけ以下で説明します。チューナー自体はこの段階で接続しておけばいいと思います(通常の環境であればWindowsが新しいデバイスを検出するもののドライバーのインストールに失敗するはずで、それでOK)。このとき、デバイスマネージャで該当デバイスのところをダブルクリック、詳細->ハードウェアIDでIDをメモっておきます)。

インストーラを実行して進んでいくと最初の方でインストールするコンポーネントを選択するところがあります。ここは基本的にいじる必要はないのですが、前に書いたように先にHDSDR等をインストールしているのであれば、下の方の"Download an SDR receiver application"のところはチェックを外しておきます。



"next"を押して進むと、今度はHDSDR等のインストールされている(あるいはこれからされる)フォルダを指定するように言われます。インストーラはここで指示されたフォルダに必要なライブラリ等をインストールします。



私の場合は"E:hdsdr"という場所にHDSDRをインストールしてあるので、そこを指定しています。ご自分の環境に合わせて設定してください。

次にドライバのインストールの選択画面が出ます。ここで対象となるワンセグチューナーに対応するDeviceを選択します。何も出なければOptionsから"List all devices(だったと思う)"を選ぶとデバイスを選択できるようになるはずです。VIDとPIDを確認しましょう。また、ここに紹介する画面ではDevice名がRTL2832Uになっていますが、必ずそう表示されるのかどうかは判りません。それと、最初にインストールしたときにはVID, PIDの右にMIという欄もあった気がするのですが、そこは"00"を入力すればOKでした。そしてこれが一番重要なのですが、右のTargetのところで必ずWinUSBを選択してください。デバイスとターゲットのドライバの選択を確認したら下のInstall Driverをクリックします。



ドライバのインストールが終わるとダイアログが出ますが、closeして大丈夫なはずです。その後さらにインストールが進んで下のような画面になるとインストールは終了です。



ここでNextをクリックするとBorIP起動とドキュメント表示のチェックボックスがありますが、いずれも外して終了して結構です。ドキュメントは元々のページです。

インストールは以上で終了です。HDSDRをインストールしたディレクトリの中に、ExtIO_USRP.dllなどがインストールされていることを確認してください。もう一点、デバイスマネージャで、libusb(WinUSB)devicesの下にRTL2832Uがぶら下がっていることを確認できれば、まず間違いないと思います。

実際の使用については端折って書きます。HDSDRでしたらOptions->Select InputでUSRPを選択します。そうするとExtIOの画面が出ますので、Device HintのところにRTLと記入してCreateボタンを押してエラーが出なければ成功です。これでHDSDRをスタートさせればワンセグチューナーをHDSDRから操作し受信できるようになります。

一応ひと通り説明したつもりですが、不十分な点、間違い等もあるかも知れません。その場合はご容赦ください。お気づきの点があればご指摘いただければ幸いです。

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1500円のワンセグチューナーでソフトウェアラジオ(2)

2012-05-13 00:26:21 | ソフトウェアラジオ
なぜ、ワンセグチューナーが汎用のSDRのフロントエンドとして使えるのでしょうか。

今回対象となっているワンセグチューナーは、大きく分けて2つのチップ(モジュール)で構成されています。1つは、クワドラチャミキサーと発振器を用いて、入力信号をベースバンド(あるいは適当なIF)に変換する「チューナーチップ」で、もうひとつはIF信号をADCで取り込んでデジタル信号に変換し、映像の復調を行う「復調チップ」です。復調されたデータをUSB経由でPCに渡すインタフェースも復調チップに含まれているようです。

通常は復調された映像データが出力されるのですが、RTL2832Uという復調用チップには映像の復調を行わず、ADCで変換したベースバンドのI/Q信号をそのまま出力するモードがあることがわかったのです。生のI/Q信号を取り込むことが出来れば、PCの側でソフトウェアを用いて色々なモードの信号を復調することができることになります。なぜこういうモードがあるかというと、ワンセグチューナーにFM放送の受信機能を追加する際に、その復調をPC側のソフトウェアで行うためのようです。

これを最初に発見したのは、Linuxのドライバ開発者のAntti Palosaari氏だそうで、そこから色々な人がhackしてrtl-sdrやそれを活用したBalint Seeber氏のソフトウェアなどが生まれたようです。

一方チューナーチップの方も多くの種類があるようですが、今のところElonicsのE4000、FitipowerのFC0012,FC0013,FC2580が上記のソフトウェアでサポートされていて、カバー範囲もチップによって違うのですが、E4000がもっとも広い範囲を受信できるという情報があります(64-1700MHz)。ですから、これらのチューナーチップとRTL2832Uの組み合わせで構成されているワンセグチューナーであれば汎用のSDRとして利用できる可能性が高いということになりますね。今回私が試したDS-DT305はFC0012を使用しています。
下はE4000のブロック図です。


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1500円のワンセグチューナーでソフトウェアラジオ

2012-05-12 01:21:04 | ソフトウェアラジオ


お久しぶりです。相変わらず無線のアクティビティは低いのですが、JA5FNX氏に刺激を受けて、連休中から安価なUSBスティックタイプのワンセグチューナーを使ったSDRで遊んでいます。詳細はまた別エントリで書ければいいと思うのですが、"RTL2832U sdr"のようなキーワードで検索すれば色々情報は得られます。


簡単に言いますと、RealtekのRTL2832Uというチップを採用している安価なワンセグチューナーをPCに接続し、適当なドライバやライブラリをPCにインストールすれば、60MHz-1700MHzの範囲(チューナーによって異なります)で3.2MHz/8bitのI/Q信号データをPCに取り込むことができるようになり、その後はPC上でFFTや復調といった処理が可能になるということです。ユーザの使用するソフトウェアとしては、WinradやHDSDRといったおなじみのSDRソフトを利用することができます。他にもGNU Radioを使ったり自分でプログラムを書くことによって色々な信号の復調が可能になります。
CQ誌でも紹介されたFUNCube Dongleをご存知でしたら、似たようなものだと思ってもらっても構いません。ただし、FCDが96ksps/16bitのADCを用いているのに対して、こちらのADCはサンプリングレートは3.2Mspsとそこそこ高いですが、解像度は8bitしかありません。一度に広い範囲を扱える反面ダイナミックレンジはせいぜい4~50dB程度だと思われます。


具体的にどのチューナーを使えばいいのかということですが、eBayなどで、上記と同じようなキーワードで検索すればいくつもヒットして、すでに実績のあるものが$20から$40くらいで見つかります。それを購入してもいいのですが(私も1つ注文を入れていますHi)、FNX氏の情報やWeb検索などから、日本で売られているモノのなかにも、ZOXのDS-DT305やレッドスパイスのLT-DT306という型番のチューナーがこのチップを使っているらしいということがわかりました。いずれも1500円程度で入手できます。SDRとしての利用の報告はありませんが、動くかどうか試してみようじゃないかということになりました。


今回は、チューナーはDS-DT305を使い、ソフトウェアとしては、Balint Seeber氏によるWindows用のインストールパッケージを利用しました。http://wiki.spench.net/wiki/USRP_Interfaces 内のDownloadリンクからダウンロードし、実行すればひと通り必要なソフトウェアがインストールされます。ページの説明とインストーラーの指示通りインストールしてHDSDRを起動すると…ちゃんとこのチューナーが認識されて使えました!SGを接続して簡単に調べてみると、DS-DT305では42MHzから940MHzくらいの範囲で信号を受信できるようです。上限の方は手持ちのSGの上限に近いですし、もうちょっと上まで受信できるかも知れませんが正確にはわかりません。
感度の方ですが、シングルトーンを500Hz帯域のCWモードで聞くと-130dBmくらいから聞こえます。一方で上は-80dBmあたりでサチるというか、AGCがかかってしまうのか出力のレベルというかS/Nは変わらなくなります。


実際のアンテナを繋げての受信はそれほど時間を取れていないのですが、50MHz帯のアマチュアの信号やFM放送、エアバンドのAMの通信などは確認しました。ただ、FM放送の周波数帯では、私のロケではFM横浜が強すぎて抑圧を受けているのか他の放送局の信号がうまく復調できなかったりお化けが聞こえたりしています。
どなたか追試してみませんか? また、他にもこんなチューナーで使えるよ、みたいな情報も出てくると面白いと思います。


参考となるページのURLを最後にいくつか掲載しておきます。他にもたくさんあります。


  • http://wiki.spench.net/wiki/USRP_Interfaces 今回試したソフトウェアとその説明

  • http://wiki.spench.net/wiki/RTL2832 このチップ利用に関する追加情報

  • http://www.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=FUQd9HOVTk8 (上記URLの解説ビデオ。いくつかあります。)

  • http://thenewtech.tv/it/dongular-deviation 上記ソフトウェアのインストールの手順についてスクリーンショットを交えた説明がある

  • http://sdr.osmocom.org/trac/wiki/rtl-sdr (ハードウェアのリストや、上記とは別のソフトウェアがある)


これらの情報、ソフトウェアを提供されている方たちに感謝します。また、きっかけをいただいたJA5FNX氏に感謝します。


ご自分で試される場合は、紹介したページの内容をある程度理解してからトライされることをお薦めします。間違ってもハードウェアを壊すことはまずないと思いますが、ソフトウェア上のトラブルにハマる可能性はあります。日本語の解説ページはなさそうなので、もう少し詳しい内容を別エントリででも書ければいいとは思うのですが…

ご質問等ありましたらコメント欄かtwitterで@sdrfun 宛に連絡いただければ、可能な範囲でお答えします。

コメント (2)
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