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デジタルプリディストーションの実験(その3)

2013-07-13 02:18:20 | ソフトウェアラジオ
引き続きDPD(デジタルプリディストーション)の実験をやっています。
先のエントリでかなり端折って書いているので、数名の方から「2-toneのグラフはシミレーション結果ですか」という質問をいただきましたが、あれは実データです。実際にプリディストーションをかけた場合と素の状態で送信して、それをモニタした結果です。
もう一つ、「100分割だと40dBの範囲になるが、それで大丈夫なのか」という質問もいただきました。特性を取ってLUTに反映したのは40dBの範囲になるのですが、それ以下のレベルの場合にはゲイン/位相はほとんど変化しないということにして扱っています(大雑把に言うと補正しない)。実際、前のPAの特性のグラフを見ていただくと、特にANAN-100の場合にはレベルが低いところでは変化が少なくなっているのがわかると思います。本当はもうちょっと低いところまで一度厳密にデータを取ってみるべきだとは思いますが。

さて、2-toneだけでテストしていてもつまらないので、実際に音声信号にプリディストーションをかけてみたらどうなるかやってみました。GNURadioで簡単なSSBジェネレータのプログラムを作成し、そこにプリディストーションをかけた音声信号を入力してみました。

本当は動画でも投稿すればいいのでしょうが、数十秒の音声信号を入れてモニターしてピークホールドしたものを下に貼っておきます。青い線がリアルタイムの信号で緑の線がピークホールドしたものです。青い線の方もなるべくレベルの高いところをキャプチャしたかったのですが、なかなかタイミングがうまく合わず適当なところになっています。出力はピークで25Wから30W程度です。

14MHz USB 音声信号 25W DPD無し


14MHz USB 音声信号 25W DPD有り


近接のIMDはなかなかいい感じに抑えられてますよね。一方で2-toneの時と同じように裾は若干広がってしまいます。実際にオンエアしたらどちらがいいのでしょうね。モニター音を聞いている限りは帯域内の音はDPD有りの方がすっきりしているように感じますが、周囲の局への妨害は…。
というわけで、音声信号を入れてSSB変調した時もそれなりに効果はあるということはわかりました。
実は最初やってみたらDPDをかけたときに、モニターするとひどい音で「これはダメなのか」と思ったのですが、次の日の夜に電車に乗っている時にバグに気づいて直したら何とかまともな信号になったようです。

本当は実験の構成とかを先にもう少し詳しく書くべきだと思ったのですが、それは週末中にでもぼちぼち書くと思います(多分)。

あと、最近まったく更新していなかった手書きHTMLのホームページの方にDPD実験の記事の英語版を作ってみました(恥ずかしいけど)。そちらの方にはsetupの図なんかも載せてます。
コメント
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