決断の時(今はまだ、出来ないけれど・・)

ずっと後悔していたこと。


さやがヒドイ状態の時からずっとそばにいてくれた人。
一番ヒドイ時を乗り越えさせてくれた人。

あまりに深く関わり過ぎて、
自身もウツになってしまった、かつての恋人。

無事、転職したはずだった。
それなのに年明け「会社に行かれない」とのメール。

襲ったのはどうしようもない後悔と罪悪感。
あの時、あの人の手を離したこと。
あの時、あの人の元を去ったこと。

友達なんてコトバで片付けてしまったこと。

償わなきゃいけないと思った。
出来る限りのことをしなきゃと。

それは自己満足。

後悔と罪悪感が少しでも薄まるように。
それを誤魔化すための償い。

それより自分のせいだと思うことさえ、
思い上がり？


彼に「忘れること」だと言われた。
それが「お前のため」だと。

もしさやがあの人の元へ行き何かをしたとしても
そこには自己満足さえないと、そう言われた。

お前がダメになるのが分かっていながら行かせられないと。

かつての恋人の元へ行き、何かをしたとして、
何かをしたいとして、今のさやに何が出来る？

お前が傷を舐め合いたいならそれでも構わない、
でもお前のためにならないことはさせられない。

ただ楽になりたかった。
心配することで、力になることで許されたかった。

だけどお前は楽にはなれない。
余計に苦しむことになる、と彼。

何よりもまず「自分のこと」を考えろ、と。

自ら自分を追い込みに行くことを黙って見ていられない。
どうしても行くと言うのなら、それならオレを捨てていけ。


誤魔化しながらここまできたのかも知れない。

さやの中で、まだ完結していなかった想い。

深い情がある。
切っても切れない。

切りたくない、つながり。

もう、そんなことを言っていちゃいけないのかも知れない。
いや、もう言っていちゃいけないんだ。

苦しんでいるあの人のトコロへ行って、彼を苦しめるのか。
苦しんでいるあの人のことは忘れて、彼と生きていくのか。


「全てを手にすることは出来ない」