思い出したこと。
仕事をしていた頃、
毎日通勤時に見る富士山。
車の中から見るその景色。
雨で富士が見えないと言っては泣き、
富士がキレイに見えると言っては泣く。
毎朝、泣きながら通勤していたこと。 . . . 本文を読む
一年半の休職、そして退職に至るまでの間
それどころかさやが仕事を始めてからずっと、支えてくれていた人がいる。
それは会社の保健婦さんだ。
さやはずっと彼女のことを頼りにしていた。
新入社員として会社に入って、日々行われていくオリエンテーション。
彼女と会ったのはそのオリエンテーションの中の一日だった。
「心と身体の健康」と言ったような名目で、私達新人に話をしてくれた。
その後、個別に相談したい人 . . . 本文を読む
「ちょっと自律神経がおかしくて」
休職の理由を尋ねられる度に、
さやはそう答えていたんです。
ココロの病気です、とは言えなかった。
言う必要もなかったと思ってます。
自律神経がおかしくて、夜眠れない。
それに低血圧でめまいや立ちくらみがひどい。
聞かれる度にさやはそう言って説明しました。
さやの職場はイナカでした。
ココロの病気なんてモノが
素直に受けとめて貰えるような環境ではありませ . . . 本文を読む
両親に会い、少し落ち着けた私は
両親とも話し合い、退職するのは尚早すぎると、
しばらく休んでから仕事に復帰すればいいと説得されました。
別に私はその時の仕事が嫌いだった訳ではなく、
むしろ、好きな仕事として働いていましたし、
自分に合っているとさえ感じていました。
問題は、就業時間と職場環境にあったのです。
職場が変われば、もう少しゆっくりと働ければ、
こんなに大変ではないだろうと両親も . . . 本文を読む
そして二週間を過ぎたある日、
実家の父が簡単な手術をすることになり
それを口実に、有休を取りました。
入社して、初めての有休です。
木・金の二日間を土日とつなげて取ったので、
実質四日間の連休を使い実家に帰りました。
父の手術は言うほど大袈裟なモノではなかったので、
父の方は特に心配もなく
ただ両親を安心させるために帰ったような休暇です。
「大丈夫。まだ生きてるよ」と。
今思えば、こ . . . 本文を読む
主任さんの一件から一週間ほど過ぎた四月の初日に、
私は退職願を提出しました。
みんなは、大人でした。
そして社会人でした。
何事もなかったかのように、
変わらぬ毎日を過ごし、仕事をこなしていく。
私はガキで甘ったれでした。
気持ちを切り替えることが出来ませんでした。
ただでさえ心身ともに疲れていた私は、
この一件が決め手となり
「仕事を続けられない」と、判断したのです。
その結果の . . . 本文を読む
主任さんには
長くお付き合いしていた女性がいました。
会社公認の職場恋愛です。
結婚ももうそろそろ、と言う段階で
同棲生活も数年という関係です。
私が主任さんと仕事をしていた時、
彼女さんは別の事務所でしたが
彼女さんにも面識があり、
一緒にご飯をしたり旅行に行ったりしていた私は
両方からその話を聞いていました。
彼女さんが
「結婚しても今の仕事を続けたいから
子どもはしばらくは要らないんだ . . . 本文を読む
さて、全体職員会で主任さんの死を告げられたさやですが
しばらくはその事実を飲み込むことが出来ないでいました。
それでも、翌日が告別式なので
集合時間と会場を伝えられ・・
周りは私のコトなど関係なく話が進んでいきます。
時間も過ぎていきます。
喪服を実家に置いてあるので
「あぁ、黒い服を買いに行かなきゃ」
そんなことを考えていたことだけは覚えています。
そして告別式。
私は、あの光景を一生 . . . 本文を読む
その日、
彼は仕事に来なかった。
マネージャーは、
何度も彼の携帯に電話を入れる。
呼び出し音さえ鳴らない電話。
次の日の全体職員会。
彼はそこにも姿を現わさない。
同棲している彼女は、
「昨日は普通に出掛けたが、
夜になっても帰らなかった」と。
お昼過ぎ、彼女が席を立つ。
所長と一緒に。
お昼前、彼は近所の人の通報で発見された。
某樹海へ向かう林道で。
彼の愛車の . . . 本文を読む
とても良くしてくれた主任さんだった。
半年前に「主任」に昇任した彼。
その昇格は、彼にとって喜ばしいことではなかった。
どちらかというと飄々としている彼は
帰宅の時間もわりと早く、
あくまで自分のペースを守り通す人だった。
主任になりたいとは、思ってもいなかった。
業種変更の希望をずっと出し続けていた人。
主任になると、仕事量が増える。
帰宅時間が遅くなる。
そして貰える役職手当は微々たるも . . . 本文を読む
毎年、上期と下期の頭に行われるこの全体職員会。
これは全県の職員が一堂に会し、
その期の反省と成果の発表に表彰、
そうして次の期に向けての意思統一をする。
と言った旨のもの。
この日、私達は終了間際に別室に呼び出された。
私の事業所と、もうひとつの事業所の職員がその部屋にはいた。
しばらくすると、
重々しい顔をして、理事長が入ってきた。
私達の前に立つ理事長。
そしてその隣には、うちの所長。 . . . 本文を読む
所長と話をしてから1ヶ月近く。
私の日常もなんの変化もないまま
時間だけが過ぎて行きました。
2月になり冬休み。
1週間の休暇は学生時代の友人達と
3泊4日の伊豆一周旅行。
そして実家へ。
その頃の私の顔色は
もう誰が見ても異常だったようです。
遅い帰宅後、
疲労のためそのままベッドへ。
動くことも億劫で
着替えることさえせずに。
日付が変わっても、
明日の仕事が気になって眠 . . . 本文を読む
その時飲んでいた薬は
確かに効いていたようです。
初めて飲んだ睡眠剤は、
飲んで30分くらい経つと
無理矢理眠りに引き込まれるような感じが
とても嫌だったことを覚えています。
気持ちが上向きになったのも事実でした。
落ち込むことが減りました。
仕事中に泣き出すようなことも。
その代り、
とても攻撃的になりました。
ちょっとしたことでイライラして、
相手に対して
好戦的な態度を取るようにな . . . 本文を読む
年末の一番忙しい時を乗り越えて
年も明け、
お正月気分の抜けた頃。
仕事がやっと一段落した時に
事業所長と面接をしました。
「このままでは仕事を続けられません」
これはチームの主任さんにも言った言葉です。
そう言って、
現在の状況(同じ事務所にいるのですから
私の様子がおかしいのは傍目にも明らかでしたが)
精神科に通院し始めたこと
薬を飲んで眠っていること
などをお話しました。
「わか . . . 本文を読む
私の職場は女子社員が私だけでした。
私以外は男性社員。
あとはパートのおばちゃま達。
定時は5時45分。
でも私は、
その時間に帰路についたことがなかった。
仕事を終えて事務所に戻ると
すでに6時をとうに過ぎている。
事務所に残っているのは
電話がけパート二人とパートリーダー。
そして男性社員のみ。
自分の仕事を片付けていると
ぽつぽつと戻ってくる先輩社員。
全員が揃ったところで反省会。
. . . 本文を読む