充電日記     

オフな話で一息を。

昨日、百道浜(ももちはま)で

2013年05月22日 | 



・福岡市総合図書館からバス停に向かう。猫耳図書館も大好きだが(だって、トイレまでデザインに気をつかっているのだ)、海の香りがただよってくるロケーションもたまらない。しかも、見るマンションどれもがオシャレ、きちんとデザインされた水路の走る遊歩道も心がはずむ…… 柄にもない気分で歩けばバス停も近い。目当ては高速道路経由の路線バス。福岡タワー前からすぐ高速に入る便があるはずだが、まだ余裕がありそう。せっかくだから、少し浜を見よう。



・タワーの後ろ、少し高いところから海が見える。と、自転車に乗った、一人の少女が声をかけてきた。
「あのぅ、迷い子になっちゃったんですけど」
「え? 一人で帰れる?」
「はい。でも、迷い子になった四人の子が心配で……」
クスリ(^^; それはね、君がね…… いやいや、責任感が強いんだ。

・こういう場面てあるんですね。ヒッピーもどき主演しみじみ系日本映画みたい。仕方なく迷い子の四人を探しに出かけるんだけど、どうもうまくいかない。泣きそうになるのをアイスクリームでなだめたり、たこ焼きまで買って気をもんだり…… 挙げ句の果ては、やっと女の子の両親のもとに届けたら、最近流行りの(大抵、小悪事が流行っているものさ)連れ去り魔に間違われてしまう。そこを女の子が言い放つのだ、「違うわ。オジサン、そんな人じゃないもん!」

・ここまでの展開が、一瞬のうちに脳裏に浮かんだ私も陳腐な人間だが、いや、陳腐だからこそ帰りの電車を気にするのだ。女子高生二人をつかまえてみる。
「私たちもあと6分でバスが出ちゃうんです!」。おやそうでしたか。健全な高校生ならそうだよね。帰らないとね。遠ざかりながらも、
「タワーの係の人に頼んではどうでしょうっ!?」
「ありがとうっっ!」

・もちろん、その案は少女に紹介済みだ。
「少し探す?」
「はい……」
「砂浜の方は? ビーチバレーとかしてるあたり」
「でも、自転車だと降りられないし……」
「……?……」
ん? んん? そかそか。君が降りて探せないんじゃなくて、自転車の四人が降りられないってことか。だから、そっちには行ってないはずだと。おお、なんだか賢いぞ、この子。そういえば、話し方はしっかりしている。小学校3・4年くらいだろうが、敬語も使えてます。何より「オジサン」と呼ばないところが気に入った。福岡の配慮表現教育は完璧である。(もちろん「お兄さん」とも言ってくれてはいないが)。

・そう気づいて(もちろん、賢さに、である)、情が移る。自分が迷い子じゃない、四人が迷い子なんだ、というのも、自然の情なのか、幼いプライドなのか。いずれにしても結末を見届けたくなった。あああ、どうしてもう一泊予定を組まなかったかなぁ。

・結局、浜からあがってきた7人ほどの大学生に託すことにした。
「すみません、お時間ありますか(セールスマンか! いや、咄嗟のときに出てくる言葉は、えてしてそんなものなんだろう)。
 この子、迷い子になっちゃったらしくて(すまん。君のプライドは承知だが、大人同士はこうした方が通じるんだ)。
 でも、私、19時半の新幹線で帰らないといけないもんだから……」

・みんなやさしい子たちなんだろう。早速、「一人で帰れる?」などと声をかけている。時は18時30分に近い。バスで30分の距離らしいが、高速道路を使う路線もあるのは、渋滞を避ける意味があるんだろうし。間に合うか。
「あ、私たちが引き受けますので、オジサンは行ってください」。人称詞風につかう名詞の選択に難があるが、ゆずろう。髪の色や服装・話しぶりから君たちにかける! ありがとう!

・予定のバスは5分前に行ってしまった。残念。そう、ここのバス停では実際の通過時刻も知らせてくれるのだ。情緒がない気もするが、大変クレバリー。次の行動に移りやすい。同じ路線のバスは10分ちょっと後。それを待つか…… と、すぐに別のバスが到着した。経由案内には「高速」とある。高速利用が短い路線なんだろう。乗ってしまえ!

・結局、ほぼ19時に博多駅に到着。玄界灘に沈む夕陽を浴びながら高速を快走する路線バスツアー搭乗計画はふいになったが、感謝の気持ちと少し後ろ髪引かれる思いは残っている。


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