充電日記     

オフな話で一息を。

思いをくむ解体ショウ

2012年04月20日 | Weblog
・江戸時代の本は袋綴が普通です。本本体(ちとしつこい)最初の紙は表紙に貼り付けるので、片面しか見えません。で、その、見えない方の片面をみるべく、強引に(​汗)切り開いていきます。幸い、両刃の、といってもペーパーナイフを新調したばかり(100均品ですが、使えそう)。ひひひひ。

・本当は、高性能の霧吹きなどで要所要所を湿らせて糊付け部分をゆるめながらするのですが、湿らせるとかえって紙質が弱まるかもしれず。特に表紙の厚手な紙は粗製のように見えました。本体の美濃紙も、実は虫食いなどでちぎれそうな部分もあります。そこに水がまわってはどうしようもありません。やむなく……



・隠れていた文字が見えるようになりました。
此字彙節用集ハ亡父浄因老編集せる所也。然るに存望(命?)之中八十有
余にして筆を取り、故に老衰心に任せず、今一二におよんで遺言して世を
去れり。よつて其欠たるを補ひ■、これを板行す。今年十七回の忌にあたれ
り。則、為追善、牌前に備へ、亡霊を慰し、且は世上に流布するものなり。

・この本にこんな仕掛けがあることは、Y谷氏(K県立大)から知らされていましたが、首尾よく入手できたのでやってみました。どんな本にもあるものではないのでご注意。

・『字彙節用悉皆蔵』の宝暦版ですが、こんな思いが込められての出版だったのですね。辞書本文からもその執念が伝わってくるのですが、それだけに変な本だなと思ったことでした。この隠れた出版記が分かったことで、「変な本」感はかなり和らいだことでした。

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