未来のサッカーはバスケットボール選手さながらの巨人が集まるスポーツになっているに違いない。こんな予測に少し綻びが生じ始めている。EURO2008を制したスペイン、北京オリンピックで金メダルを獲得したアルゼンチンはいずれも小柄なチームで、170センチに満たない選手さえ見受けられる。両チームが頂点に立ったという事実は、日本サッカー界にとっては明るい兆しといえるかもしれない。 . . . 本文を読む
北京五輪の男子サッカーで最も印象的な活躍をみせた日本人は、NHKで解説を担当した山本昌邦アテネ五輪代表監督だった。元々、解説のように補佐的な役割でこそ持ち味を発揮することは、西野明監督やフィリップ・トルシエ監督をコーチとしてサポートしたアトランタ五輪や日韓ワールドカップでも実証済みだ。 . . . 本文を読む
燃えるようなアグレッシヴネスと野沢拓也の煌きにより、鹿島アントラーズが浦和レッズを降すのを見届けたあと、僕は興奮そのままにセブン-イレブンへと駆け込んだ。
息を切らせてマルチコピー機のスクリーンと向き合うと、Jリーグのチケットを探した。目当ては、すでにJ2降格が決定している横浜FCのシーズン最終戦だ。 . . . 本文を読む
クラーゲンフルトで行われたオーストリアとの試合は、スコアレスドローの末にPK戦で敗れた。
欧州のチームを相手に、レベルの違いをみせていただけに残念な結果だけど、試合内容に関してはアジアカップと比べると、ずいぶんサッカーらしくなっていたと思う。
アジアカップでプレーしなかった稲本潤一や、田中マルクス闘莉王、田中達也、そして松井大輔といった、アグレッシヴに前へと進む意識を持った選手がメンバーに加わったからだろう。 . . . 本文を読む
日本U-22代表の北京五輪アジア地区最終予選初戦の試合内容を受け、チームを率いる反町康治監督の進退に影響がでてくるのではないかと予想していたが、現在のところ「解任」を伝えるニュースは聞こえてこない。 . . . 本文を読む
「サウジアラビアには、日本やヨーロッパなど、世界中のどのクラブでも活躍できる選手がふたりいる」
サウジアラビアを率いたブラジル人のエリオ・サセル・ドス・アンホス監督は、アジアカップ期間中にこう語ったことがある。アンホス監督のいうふたりとは、2トップを組むヤセル・アル・カフタニとマレク・アルハウサウィのことを指している。ふたりが所属するのは他のチームメイトたちと同様に、サウジアラビアの国内リーグだ。アンホス監督はこう続けた。「他にも可能性のある選手がチームには何人もいる。わたしは近い将来、彼らの海外移籍が現実になることを望んでいる」 . . . 本文を読む
「バンコクに来る4日前に、妻の兄弟が亡くなった。チームメイトのハワル・モハメッドも義理の母親を亡くしたばかりだ」韓国とのPK戦でヒーローとなったGKノア・サブリは試合後にこう語った。「イラク人は、いまだ混迷のなかで懸命に毎日を生きている。だから私たちもピッチで懸命に戦う。それが私たちにできる唯一のことだからだ」 . . . 本文を読む
後半の5分40秒、明らかに日本ボールであるはずのスローインが、どういうわけか韓国側に与えられる。
今大会の全体を通してみても、審判の不可解なジャッジというのは数多く見受けられた。しかしそれにしても、3位決定戦を裁いたUEAのアリ・ハマド主審のそれは度が過ぎていた。 . . . 本文を読む
ハノイ滞在中の僕の交通手段はもっぱら原動機付自転車だった。
原付はハノイでもっともポピュラーな乗り物で、排気ガスを撒き散らしながら、文字通り道路を埋め尽くす。観光客を乗せるドライバーも多く、2人乗り、3人乗りは当たり前だ。ある日、僕はミー・ディーン競技場からホテルに戻る際、近くでくつろいでいた地元のおじさんにホテルまで連れて行ってくれと頼んだことがあった。すると彼は息子を連れており、離れたところで遊んでいたふたりを呼び寄せると、僕らは4人乗りでホテルまで移動した。 . . . 本文を読む
以前の原稿でも触れたけれど、僕は今大会のウズベキスタンチームに好感を持った。
例えば、洗練されたプレイをするディナモ・キエフ(ウクライナ)のマキシム・シャツキフは、日本の高原直泰、オーストラリアのマーク・ヴィドゥカと並んで、大会最高のストライカーのひとりだった。 . . . 本文を読む
国際Aマッチのゴール数世界記録を誇る偉大な元イラン代表ストライカーのアリ・ダエイ。しかし代表としてのキャリアの晩年を迎えるころには、あまり動けなくなっており、ともするとチームの足を引っ張る重荷のように考えられがちだった。
実際、ドイツワールドカップ・アジア地区予選で日本と対戦した際には、多くの日本メディアがそのように報じている . . . 本文を読む
敵将と抱き合ったあとPK戦を見届けずにロッカールームに引き上げたイヴィツァ・オシム監督は、試合後に「PK戦は運に左右される。ゲンを担いで見ないようにしている」とのコメントを残した。でも僕はこの意見に同意しない。
PK戦の勝敗は運で決まるわけではない。
PK戦で勝つのは、精神的にタフなチームの方だ。集中力に余裕を残しているチームの方だ。勝利に対する確信が強いチームの方だ。PK戦はほとんどの場合、強いチームの方が勝利を収める。 . . . 本文を読む
オーストラリアのゴールの真裏に陣取ってパス回しを眺めていると、体格のよいスキンヘッドのスタッフが近づいてきた。
「ソーリー・マン。これは非公開練習なんだ」
言われてみれば、周りには警備員しかいない。僕はあまりに堂々とみていたから、しばらく誰も注意しに来なかったというわけだ。「そうなの?まだウォーミングアップだから、それくらい構わないかな?」と、僕は訊いてみた。 . . . 本文を読む
昨年のドイツワールドカップの試合内容を覚えている人には改めて説明するまでもないかもしれないけれど、オーストラリアはサイド攻撃に脆さをみせる。炎天下のカイザースラウテルンで行われたワールドカップ初戦では、日本の右サイドバックを務めた駒野友一の前に驚くほどのスペースがあった。 . . . 本文を読む
想像していたとおりハノイは暑かった。バンコクよりも暑いんじゃないだろうか。だとすれば日本にとっては都合がいい。準々決勝で対戦するオーストラリアは後半になるといつも疲労困憊といった感じだから、アジアで百戦錬磨の経験を誇る日本は主導権を握れそうだ。
ちょうど僕がホテルに着いたころにグループリーグ最終戦が始まり、韓国とウズベキスタンが勝ち残る瞬間を見届けることができた。出揃った8強はほとんど予想通りだと言えるが、展開は想像以上に劇的なものとなった。
今回は、そんなグループリーグを改めて振り返ってみようと思う。 . . . 本文を読む