SAKURA ふるきよきうつくしきもの 

包む 結ぶ 遊ぶ いにしえに学ぶ

結び文の箸袋

2009-07-28 00:00:00 | 






土潤って蒸し暑しの候となりました

炎暑も続かぬままもう赤蜻蛉が飛んでいます。風や光、空の色も雲にも秋の気配を感じます。今年の夏は短そうです。

月末の「手作りで和のコナーを飾りましょう」結び文の箸袋です。上の五角形は千代紙で、下の白い袋は半紙を使いました。半紙には山椒の葉を挿してみましたが文字が書ける方は涼しそうな言葉など、折々の言葉や絵を描くとおもてなし用になるでしょう。

作り方
写真はB4サイズの紙を縦長に半分にしました。
それを三等分したのが幅になります。五角形は結びの長さが多くいるので口の部分は三角に折っただけです。下の結びは口の部分を折り返してから両脇を三角に折ったので口が二重になって入れ易いと思います。
半紙を使う時は半分で切らないで一枚で折るとしっかりします。奉書など適宜応用して下さい。
もう少し大きくなる画像を掲示板に貼っておきますので綺麗な五角や結び文になるように角度を試作してから折って下さい。



立文・捻文

2009-07-23 00:00:00 | 






大暑となり桐始めて花を結ぶ 候となりました

今日は2・3日でふ・み(文)の日です。ちょうど暑中お見舞いを書く頃ですが郵便局は毎年この日に記念切手を発売します。
こんなのを見つけましたのでよろしければご覧下さい。http://fukuoka.cool.ne.jp/a-kumamoto/page008.html  30年間の記念切手が見られます。

この画像は立て文です。堅文(たてぶみ=立文)とも捻文(ひねりぶみ)とも言う書状で、左側が裏面になります。
重要な文書、儀礼用に用いたようで、紙縒りで封をして結べ直せないぎりぎりでカットしてありますので開封不能です。
密書の時はさらに捻った三角のところを糊付けしたようです。
立文は武家社会の書状のようですが枕草子や源氏物語にも登場するとありましたから古い形体のようです。

これは杉原紙や奉書を用いたのでずっと以前に母から頂いた古い杉原紙で包んでみました。紙縒りは本来同じ紙を使いますが写真は目立つように違う紙で縒りました。

今回立文の実物が見たくて国立大学のデーターベースの画像をいろいろ見てみました。私が知りたい立文、腰文などはあまり出てきませんでしたが古事類縁画像検索システムが参考になりました。

左は国会図書館の「女訓百人一首」の頁をコピーしたものですがコピーやプリントも容易に出来ます。
ちょうどこの本の手紙部分の古書を持っていましたので照らして読んで、いくつかの手紙特有の崩し字が分かったのは嬉しいことでした。
PCを始めた10年前、「図書館の蔵書が見られる」と言うのは嘘のようでしたが現実になりました。

余談ですが国立国会図書館の開館60周年記念でこんな楽しい画像が見られます。
奈良絵の熊野、小袖曽我や豪華な彩色の甲陽軍艦など素晴らしいものですよ。こちらです。
http://www.ndl.go.jp/exhibit60/copy3/2naraehon.html

このように簡単に画像が見られるネットには教育上良くないこともあると実感しました。検索するとなんでも出てきてすぐに分かったような気分になるのも戒めたいことです。
ネット依存は弊害も多く気を付けないといけませんね。



腰文・小文

2009-07-17 00:00:00 | 







鷹技を習う 候となりました。 

梅雨明けになった途端猛暑が続きましたが今日は梅雨の戻りとか。ほっとする涼しさになりました。

この画像は昔の書状の封じ方です。こうした手紙を腰文と言います。帯封を腰のあたりに巻くからでしょう。この封が高い位置にあるほど敬意も高まるとか。
腰文は紙の端を細く切って左へ巻いて後ろで留めます。右側の隣がそれぞれ裏面です。裏の留め方もいろいろあるので示しておきました。
これは主に武家社会の書状ですが手紙をもう一度包んでその紙でこのように帯封をするものもあるようです。本には〆がタの字になっていましたので倣いました。

小文と言うのもあります。小文は「笈の小文」のように簡単な小い文をさしますが手紙の形体にも小文があって、薄紙や杉原を半分に折って書く書状を言います。
軸装した手紙で真ん中に折り目があり上下の文が逆さまになったものを見かけます。よく折紙と言いますがこれも小文と言えるでしょう。

こうした正式な文書には礼紙が付きます。
礼紙と言うのは書状に添える白紙のことで、これに返信を書くこともあったようです。
本(古事類縁)には鳥の子と杉原の紙一枚から本文と礼紙と包紙を取る割り出し図が出ていましたのでかならず礼紙は付いたようです。
今でも便箋せん1枚で書き終わると白紙の便箋を添えて2枚にします。「便箋1枚では失礼になる」と教わりましたがずいぶん古くからの儀礼の名残であったわけです。


結び文

2009-07-12 00:00:00 | 






蓮始めて開く 候となりました

九州では梅雨明けもまじかなようです。お盆が明ける頃にはこちらも梅雨が明けるでしょうか。

頂いた下野草が可愛かったので結び文を付けてみました。水引につけたのは五角形の結び文です。お近い方の便りにはこんな遊びも楽しそうです。

古来手紙は一般的なものではなく教育を受けた人にしか書けませんでした。
読み書きが出来ない巷間では三下り半のように文字に見立てた線を三行半書けばそれが離縁状になったほどです。
いとしと書いて藤の花」と藤娘の歌詞にありますがこれは『い.十.し』つまり『いの字を縦に10書いて真ん中にしの字を通すと藤の花の絵になり、絵文字によっていとしい 思いを伝えたものです。
結び文はこんな庶民のごく一般的な手紙でしたでしょう。 

お芝居でも文売りと言う恋文の代筆屋さんが出てきますがこれも結び文です。
結び文は『艶書を言う』とも本にあります。
遊女の手紙は巻紙の上を口紅で赤く染めた天紅で艶めかしい演出です。

左の画像は結文のいろいろで明治に書かれた本にあった表書と裏の封じです。3つ目の裏が4つ目で、裏にも封じがあります。

以前同窓の友人から「おみもとに」と書かれたお手紙を頂いてゆかしく思いました。
今は書かなくなりましたが相手に敬意を表して名前の横に小さく書くのが脇付けです。
堅いのは 机下 侍史 尊前 などありますが女性なら
おみもとに みもとに(御許に) 御前 御前に 参る まいらす でしょうか。一般には○□さま まいる でこれはお芝居によく出てきますね。

追記(7/16)
風花さんのコメントにクイズを出しました。
「二つ文字うしのつの文字すぐな文字」ってなんて文字になるでしょう?です。
お答は「こ・い・し」。いは牛の角みたいでしょ。しはまっすぐなもじです。
こうやって文字を覚えて恋文を書いたのでしょうか~



短冊包

2009-07-07 00:30:00 | 










小暑となり 温風至る候となりました

今日は七夕です。梅雨のさなかの晴れ間ですが今夜はお星さまは見られるでしょうか。気になりますね。
文月の名は、七夕にお歌や文を供えることからきているので今月は文関連を取りあげたいと思います。

写真は短冊と短冊包です。包みの紙には七夕と言う名前があります。小さな色紙が散らしてあるからでしょう。

七夕は短冊に願いを書いて笹に付けますが見立ての折り紙ばかりで本物の短冊を見なくなりました。
短冊には箔を使ったものや打雲のものなど紙の美しさの上に和歌と書が加わってまさにふるきよきうつくしきものだと思います。

短冊に和歌を書く書き様はもう学校で教えてくれなくなりましたが私の頃は教わりました。今回はそんなこんなことを残しておくことにいたします。

短冊の書き様は三つ折り半字がかりとかで長さを三等分して見当をつけます。上の空間に題を書き、三等分の線上あたりから一文字目を書き出します。(実際には折り目はつけないので下書きではかっておきます)
下句から二行目になり自分の歌は一文字下げて書き名前を歌の下に入れます。(昔は女性は控え目に裏が多かったようです) 
自分で詠んだ歌でない時は二行目の頭を揃えて、○□かくと名前の下にかく(書く)をいれると習いました。

短冊に色がある時は青が上、紫が下など決まり事も多いですが、せっかく古来からある美しい短冊をもっと身近なものとして便箋代わりに見直して使ってみるのもいいのではないでしょうか。
練習用の短冊は封筒にも入るので自由な書き方で楽しんでみては如何でしょう。