Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

無策な政治が招く悲劇 (1)

2020年05月18日 | 社会学/社会批評
アイルランドの大飢饉




ジーニー・ジョンストン号の近くに設置されている、大飢餓モニュメント



















 19世紀にアイルランドは悲劇に見舞われた。ジャガイモの疫病に端を発する大飢饉である。
アイルランドは鉱物資源がほとんど産出されず産業が発達しなかった。
痩せ細った農地でジャガイモ生産だけに依存し、いわばイギリスの植民地として、
イギリスへの食料供給地となっていた。
 その主要食物のジャガイモが疫病により枯れ死、1845年から52年に大飢饉となり、
少なくとも100万人から150万人(全人口の20%)が餓死、100万人(全人口の10~20%)が
アメリカ、カナダ、オーストラリアへ移住した。
 イギリス連合政府は緊急に救済食料を調達して、飢餓に苦しんでいる人々に配給すべきなのに
予算の問題などから「貧民救済」という有効な政策をとらなかった。
アイルランドの貴族や地主は自らの地代収入を心配するだけで、
飢餓でアイルランド人が餓死していく時にも大量の食料をイギリスに輸出していた。
小作農は地代支払いの為、わずかの農地を二束三文で売らざるを得なかった。
その結果、食料生産供給のシステムが崩壊し、飢餓はより深刻なものとなった。
疫病の発生がわかった時点でイギリスへの食料輸出を止めて、
この食料を地元消費にまわしていたら飢饉は回避できたはずである。

大飢餓モニュメント:
ルアスLUAS(路面電車) George’s Dock駅下車すぐ。
ジーニー・ジョンストン号近くに設置されている。

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