Une petite esquisse

日々の雑事の中で考えたこと、感じたことを徒然に書き綴ります。

村上春樹のルアンパバーン、ガイドツアー(4)逆説的旅行案内

2020年08月05日 | 社会学/社会批評
朝の托鉢


僧侶に喜捨する人

 今日のガイドツアーの参加者はたったの一人だけ。おばあさんが一人だけネ。
やっぱり早朝は起きづらいのか、それとも旅エッセーのウソがばれて来たのか。ノーメル文学賞候補の僕がする
ガイドツアーだからもっと沢山の人が参加すると思っていたのに。だって参加費はタダだヨ~。
老婆心ながら言っておくが、朝の托鉢を見学しない人は鮨屋でウニやイクラを食べないようなものだ。人生の半
分を損していると思う。
 知っている人しか知らないが、サッカリン通りとシーサワンワッタナー通りが交差する北東方向20mがベスト
ポジションだ。まだ薄暗い朝の5時30分ごろお寺の鐘が軽ロス・ゴンーと鳴って托鉢が始まる。
昔は1時間以上オレンジ色の袈裟を纏った僧侶が街を交差するように練り歩いたものだが、近ごろは6時に始ま
り15分ぐらいで終わってしまう。今は新型コロナ禍の対策なのか5分ぐらいで終わってしまう。
 「僧侶たちが寺院単位で列をなし裸足でひたひたとやってくる」文学的で人の心に滲み入る、我ながら素晴ら
しい表現だと思っている、松尾芭匠もきっと褒めてくれる、こう言うのを自画自賛と言うのかな。
 「列の先頭に位の高い僧侶が立ち、最後尾には小学校低学年ぐらいのちびっこ見習い僧侶たちが続く。
話を盛って、・・・たまに賢い犬が列を先導している」とウソを書いたのが悪かった。わざわざ、日本からルアンパバ
ーンにまで来て、4日間にわたり、朝の托鉢時の行列の様子をデジカメに撮影した「輩」がいて、ブログにアップしている。
困ったものだ。このような金があって暇がある人間が僕にとつて最も危険なのだ。


ぼくチャンたち、行列の先頭だヨ~ん

 実際は朝の托鉢をそんなに見てないし、テキトーに思いついた事を書いているだけなので、行列の先頭に位の高
い僧侶が立ち、小学校低学年ぐらいのちびっこ見習い僧が続くなんて本当は分からない。でも考えてみたら、托鉢の
列を犬が先導するなんてありえないし、犬が賢いかバカかなんて、普通の人が見てわかりっこないだろ~。
 常識にもとづいて、一般の人だったら、こんな風に考えるだろうと思って、話を盛って、盛って、盛りまくって書いてい
るだけだ。本当の事を真面目に書いても、逆にウソ臭くて、ちっとも面白くない。面白おかしく書くのが創作のコツだろ。
 今日のガイドツアーの参加者の小池黒百合サンなら、ここのところよくわかってくれると思う。
兎に角、IOCがオリンピック中止を発表するまでコロナの「コ」の字も言わなかったからな~。朝鮮人犠牲者追悼式典
だって、会場を使わせないと言って、散々イジワルの限りを尽くしてきたのに、みんなに猛反対されるとアッサリと取り
下げた。一般の人が常識的にこんな風に考えるだろうと先取りして行動すれば一般の人の共感を得られる。
もちろん噓八百でも。
常識は人類の進歩の敵と言うけれど、常識をうまく使うのが処世術と言うものだ。


※村上春樹の旅エッセー「ラオスにいったい何があるというんですか?」をもとに、ルアンパバーンのガイドツアーを構想して書いたものです。

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