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電力設備に関する技術:機械

2016-10-29 22:03:13 | データセンター、施設建設、クラウド

1   電気機器

1-1 直流機

(0)直流機の種類

① 直流電動機・・・優れた速度制御特性があり、精密かつ高度な運転を行う場合に利用。一般的に高価で、直流電源を必要とし、整流子の保守などが難
② 直流発電機

(1) 直流機の構造
直流機の原理はフレミングの法則による。左手の法則は直流電動機、右手の法則は直流発電機
界磁を固定しておき、電機子と整流子を一体として回転させる
ブラシレス直流電動機・・・回転子に永久磁石を組み入れることで効率を向上させ保守が容易になったもの
① 界磁・・・磁束をつくる
② 電機子・・・起電力を生じ主電流を流す
③ 整流子・・・電機子の巻線に生じる交流を直流に変える部分

(2)直流電動機の種類と用途
界磁電流Ifの取り方によって分類させる
① 他励式
界磁巻線の電流Ifを電機子とは別々の直流電源から接続して取り、両方の電流を制御する
例)大型クレーン、圧延機、高速エレベータ
② 自励式
界磁電流Ifを電機子自身から取り、その電流を制御する
(ア) 分巻電動機・・・例)エレベータ、圧延機
(イ) 直巻電動機・・・例)起重機、電車用電動機
(ウ) 複巻電動機・・・例)ポンプ、粉砕機

(3) 直流機の電機子反作用と対策
電機子反作用・・・負荷がかかって電機子巻線に電流が流れると、これによう磁界が主磁極(界磁極)の磁束分布に悪影響を与える
① 主磁束の減少 →電圧降下などの原因
② 電気的中性軸の移動 →整流不良の原因
③ 整流子片間電圧の不均一(最大値の増加) →フラッシングオーバの原因
<対策> 
① 補極・・・主磁極N,Sの中間の位置に設け、幾何学的中性軸に生じる電機子起磁力を打ち消し、電気的中性軸の移動を防止する
② 補償巻線・・・主磁極N,Sの磁極片のスロット内に設け、電機子起磁力と大きさが等しく方向反対の起磁力を発生して交差磁束を打ち消し、主磁束の減少や整流子間の電圧不均一などを補償する

(4) 直流電動機の(電機子巻線に発生する)誘導起電力、回転速度、トルク、出力、
① 電機子巻線に発生する誘導起電力(逆起電力)E[V]
E=(pZ/a)・(N/60)・φ=kφN  [V]・・・界磁磁束φと回転速度Nの積に比例する
φ:界磁磁束[Wb]、N:回転速度[min-1]、p:磁極数、Z:電機子導線の総数、a:並列回路数(重ね巻の場合a=p、波巻の場合a=2)
他励式または自励分巻式の場合
E=V-Ia・Ra [V」
V:端子電圧[V]、Ia:電機子電流[A]、Ra:電機子抵抗
P=E・Ia
P:定格出力[W]
② (電機子の、すなわち電動機の)回転速度N[min-1]
N=(V-IaRa)/kφ=k'E/φ [min-1]・・・回転速度Nは電動機で発生する逆起電力Eに比例し、界磁磁束φに反比例する(電動機で発生する逆起電力Eは回転速度Nに比例する)(電動機で発生する逆起電力Eは回転速度Nと界磁磁束φの積に比例する)
V:端子電圧[V]、Ia:電機子電流[A]、Ra:電機子の巻線抵抗[Ω]、E:電機子巻線に発生する起電力(逆起電力)[V]
③ トルクT[N・m]
T=Bl・(Ia/a)・(D/2)・Z=(PZ/2πa)・φIa=k''・φIa [N・m]・・・界磁磁束φと電機子電流Iaの積に比例する
B:極間の平均磁束密度[T]、l:電機子巻線1本の有効長[m]、D:電機子の直径[m]、Z:電機子導線の総数、a:並列回路数(重ね巻の場合a=p、波巻の場合a=2)
④ 出力P[W]
P=Tω=T・2π(N/60)=k'''・TN [W]・・・トルクTと回転速度Nの積に比例する
T:トルク[N・m]、N:回転速度[min-1]、ω:角速度[rad/sec]

(5) 直流電動機の始動、逆転、速度制御
① 始動・・・電機子と直列に抵抗を入れて(始動抵抗)、始動電流をできるだけ抑える
② 逆転・・・界磁か電機子の電源の極性を入れ換える
③ 速度制御
回転速度N=(V-IaRa)/kφ  [min-1]
→電機子の電圧を変える(V) 
 ワードレオナード方式、静止レオナード方式、直流チョッパ方式
→電機子回路に直列に抵抗を入れ、これを変える(I)
→磁束、すなわち界磁電流を変える(φ)

1-2 誘導機

(0)誘導機の種類

交流機(電磁誘導によって動作するもので、3相誘導電動機として広く利用されている)
① 誘導電動機・・・安価。中小容量で一般的。ただし速度制御は困難。電圧・周波数の変動による影響あり
② 誘導発電機

(1)誘導電動機の構造
誘導機の原理は、固定子で回転磁界をつくり、回転子に渦電流を発生させて回転力(トルク)を得るもの
すなわち固定子にて磁極を回転→導体(回転子)中に誘導電流が発生(フレミングの右手の法則)→導体(回転子)中にフレミングの左手の法則に従う電磁力(回転力、トルク)が発生
導体(回転子)は磁極の回転速度よりいくらか遅い速度で回転する
① 固定子
固定子鉄心にはヒステリシス損の少ないケイ素鋼板を用い積層した構成とする
② 回転子
導体には「フレミングの左手の法則」による電磁力が発生して回転する
(ア)かご形
回転子導体が両端にある端子環に接続される。堅固で構造も簡単。トルク制御と励磁制御を分離して制御可能なベクトル制御が可能になり、直流電動機と変わりない速度制御が可能となった
(イ)巻線形
回転子導体がスリップリング、ブラシを通じて外部の可変抵抗(2次抵抗)などからなる回路に接続される
巻線形回転子に使用される絶縁電線
小出力用 →E種絶縁の丸線(ホルマール線、ポリエステル線)
大出力用 →B種絶縁の平角線(ポリエステルガラス線)

(2)誘導電動機の種類と用途
① 3相誘導電動機
(ア)かご形・・・例)送風機、ポンプ
(イ)巻線形・・・例)圧延機、ポンプ、巻上機、コンベヤー
② 単相誘導電動機・・・家庭用扇風機、換気扇、洗濯機、冷蔵庫

(3) 誘導電動機の回転速度と滑り
① 同期速度
磁極の回転速度のことである
Ns=120f/p  [min-1]
f:周波数[Hz]、p:磁極数
② 回転子の回転速度
電動機の回転速度のことである。同期速度Ns[min-1]より少し遅れて回転する
N=Ns(1-s)=120f(1-s)/p [min-1]
s:滑り、Ns:同期速度[min-1]、f:周波数[Hz]、p:磁極数
③ 滑り
s=(Ns-N)/Ns
Ns:同期速度(磁極の回転速度)[min-1]、N:回転子の回転速度[min-1]
滑りsを%表示すると
(ア)0<s<100%(誘導電動機として動作)
全負荷時の大きさは小容量のもので5~10%、中容量以上のもので2.5~5%程度である
滑りが100%の時は電動機は停止状態、0%の時は同期速度で回転することを意味する
滑りを生じて初めてトルクを発生する(すなわち、回転子が同期速度よりやや遅い速度で回転する)
(イ)s<0(誘導発電機と動作)
④ 回転子巻線に流れる電流に流れる電流の周波数f0[Hz]
f0=s*f [Hz]
f=60Hz:電源周波数

(4) 誘導電動機の機械的出力Pm
① 1次入力P1i[W]
P1i=P1c+Pi+P1o [W]
P1c:1次銅損(固定子の銅損)[W]、Pi:1次鉄損(固定子の鉄損)[W]、P1o:1次出力[W]
② 1次出力P1o[W]と2次入力P2i[W]
P1o=P2i [W]
③ 機械的出力Pm[W]
P2i=P2c+Pm [W]
P2i:2次入力[W]、P2c:2次銅損[W]
④ 滑りsとの関係
P2:Pc2:Po=1:s:(1-s)

(5) 誘導電動機のトルクT[N・m]
Po=Tω=T・2π(N/60)  [W]
T=60Po/2πN [N・m]
Po:出力[W]、N:回転速度[min-1]

(6) 誘導電動機のトルク特性曲線とトルク比例推移
巻線形(2次回路の抵抗が自由に変えられる)にだけ利用可
① トルク特性曲線
1次電圧を一定にした時、回転速度(すなわち滑りs)とトルクTの関係を表したもの
横軸:滑りs=1→s=0、縦軸:トルクT
(ア)s=1の時
トルクT=Ts(始動トルク)・・・比較的小さな値
(イ)1>s>s
トルクTは滑りsに反比例して上昇
s=smの時に最大トルク(停動トルク)Tmをもたらす
(ウ)sm>s>0
トルクTは滑りsに比例して減少・・・安定運転範囲
s=0の時、トルクT=0
② トルクの比例推移
トルク一定のもとで、2次抵抗r2を大きくすると、滑りsが大きくなる

(7) V/f一定制御
電動機の鉄心の磁気飽和を防ぐため交流基本波の電圧と周波数の比がほぼ一定になるように制御を行う
VVVF(可変電圧可変周波数)インバータ制御とも言われる

(8) 3相誘導電動機の始動法
始動電流が小さく、トルクが大きいことが望まれる
① かご形
(ア)定格出力5kW以下の小容量のもの →全電圧(直入れ)始動方式
(イ)5~15kWの中容量のもの、    →Y-Δ(スター・デルタ)始動方式
電源電圧を低くして始動電流を小さく抑えて始動する。始動電流と始動トルクは全電圧で始動した場合の1/3に抑制できる
(ウ)15kW以上の大容量のもの     →補償器始動方式
始動時には3相単巻変圧器のタップによって定格電圧を下げて始動電流を制御(り40~80%程度の電源を供給)。回転速度が定格速度近くに達した時に全電圧供給に切り換える
② 巻線形
外部の抵抗器によって2次回路の抵抗を変化させ、比例推移の原理を利用して始動電流を抑え始動トルクを大きくして始動することが可

(9) 誘導電動機の運転特性
普通かご形
高抵抗かご形
特殊かご形(2重かご形、深溝形)

(10) 誘導電動機の速度制御
N=Ns(1-s)=120f(1-s)/p
N:電動機の回転速度[min-1]、Ns:同期速度(磁極の回転速度)[min-1]、s:滑り、f:電源周波数[Hz]、p:磁極数
① 電動機の極数pを変える・・・速度の調整が段階的になる(連続的でない)
② 電源周波数fを変える
③ 滑りsを変える
(ア) 1次電圧を変える
(イ) 2次抵抗を変える・・・運転中には抵抗器による銅損が大きいため効率が悪い
(ウ) 2次励磁による(2次抵抗を挿入する代わりにその電圧降下に等しい起電力を外部から加える)

(11) 円線図
以下の試験結果から1次電流のベクトルに関する半円を描いて、電動機の特性を求める
① 1次抵抗測定
② 無負荷試験
③ 拘束試験

(12) 単相誘導電動機
始動法
① くま取りコイル法・・・くま取りコイルの方向に移動磁界を生じるのでこれによって始動する
② 分相法・・・抵抗分相方式(高抵抗の補助巻線を始動時のみに使う)とコンデンサ方式(補助巻線と直列にコンデンサを入れる)

1-3 同期機

(0)同期機の種類

交流機(回転磁界と同期して回転し、力率を調整できる)
① 同期電動機・・・一般的には誘導電動機が使用され、同期電動機の使用は限定的。大容量機では誘導機よりも安価になる場合あり
② 同期発電機・・・データセンターに用いられる非常用発電機はコレ

(1) 同期機の構造
界磁には直流電流が供給される界磁巻線を施し、電機子には3相あるいは単相の交流起電力が誘導される電機子巻線を施している
同期機の原理は、電機子(固定子)の中で界磁を回転させると、フレミングの右手の法則によって電機子コイルに起電力が誘導される
① 界磁・・・磁束をつくる
② 電機子・・・交流起電力を誘導する

(2) 同期機の分類
① 回転界磁形・・・一般的。界磁が回転子、電機子が固定子
② 回転電機子形・・・小容量機で低電圧のものに限られる

(3) 同期機の特性(誘導機に比べて)
<利点>
① 常に回転速度が一定である
② 力率の調整ができる
③ 低速度のものは特に効率が良い

<欠点>
① 始動トルクが小さく励磁のための直流電源が必要である
② 乱調が起きる

(4) 同期機の回転速度と誘導起電力
電機子の中で界磁を回転させると「フレミングの左手の法則」によって電機子コイルには交流起電力が誘導される
① 同期速度Ns[min-1]
Ns=120f/p [min-1]
f:周波数[Hz]、p:極数
同期角速度ω=2π(Ns/60) [rad/sec]
② 同期発電機の誘導起電力(1相分)E[V]
E=4.44knfφ [V]
k:巻線係数、n:1相の巻数、f:周波数[Hz]、φ:1極当たりの磁束[Wb]
無負荷誘導起電力(線間電圧)Vg=√3・E

(5) 同期機の電機子反作用
3相同期機の電機子巻線に3相交流電流が流れると回転磁界を生じ直接界磁をつくる磁束に影響を与えて電機子巻線に誘導する起電力を変化させようとする
電機子電流の位相 [発電機] [電動機]
同相電流(力率100%) 交差磁化作用 交差磁化作用
90%遅れ電流(力率ゼロ) 減磁作用 磁化(増磁)作用
90%進み電流(力率ゼロ) 磁化(増磁)作用 減磁作用

(6) 3相同期発電機の特性曲線
① 無負荷飽和曲線
同期発電機を定格速度で無負荷運転した時の<横軸>界磁電流Ifと<縦軸>端子電圧Vの関係を表したもの
端子電圧Vは界磁電流Ifが小さい範囲では界磁電流Ifにほぼ比例するが界磁電流Ifがさらに増加すると飽和する
② 3相短絡曲線
同期発電機の電機子巻線の3相出力端子を短絡し定格速度で運転した時の<横軸>界磁電流Ifと<縦軸>短絡電流(電機子電流)Isの関係を表したもの
この曲線はほぼ直線となり、比例関係となる
③ 外部特性曲線
同期発電機を定格速度で運転し界磁電流Ifと負荷効率cosθを一定とした時の<横軸>負荷電流Iと<縦軸>端子電圧Vの関係を表したもの
この曲線は負荷力率consθによって形が変わる

(7) 短絡比と同期インピーダンス
① 短絡比Ks
Ks=Is/In
Is:短絡電流[A]、In:定格電流[A]
In=Pn/(√3・Vn)
Pn:定格出力[VA]、Vn:定格電圧[V]
機械の体格や性能を表す目安。同期インピーダンスの逆数。ディーゼル発電機の場合0.8~1.2。短絡比大(鉄機械)。短絡比小(銅機械)
短絡比Ksが小さい・・・同期インピーダンスZsが大きい →電圧変動率が大きい、安定度が低下する
界磁電流と短絡電流の比(すなわち短絡比)は、短絡試験時でも無負荷時でも同じ
② 同期インピーダンスZs[Ω]
Zs=Vn/(√3・Is)  [Ω]
Vn:定格電圧[V]、Is:短絡電流[A]

(8) 同期発電機の並行運転条件
① 電圧の大きさが等しいこと
② 電圧の周波数が等しいこと
③ 電圧の位相が等しいこと
④ 電圧の波形が同じであること
→周波数と位相の調整:調速装置(ガバナ)
→電圧の大きさの調整:電圧調整装置(AVR)

(9) 同期発電機の出力Po[W]
Po=(VE/Xs)sinδ [W]
V:端子電圧[V]、E:誘導起電力[V]、Xs:電機子巻線1相の同期リアクタンス[Ω]
δ:負荷角(内部相差角)[°]・・・負荷の程度を表す

(10)同期電動機の出力とトルク
① 出力Po[W]
Po=(VE/Xs)sinδ [W]
V:端子電圧[V]、E:誘導起電力[V]、Xs:電機子巻線1相の同期リアクタンス[Ω]
δ:負荷角(内部相差角)[°]・・・負荷の程度を表す
② トルクT[N・m]
Po=Tω=T・2π(Ns/60) [W]
T=Po/ω=60Po/2πNs [N・m]
Po:出力[W]、ω:同期角速度[rad/sec]、Ns:同期速度[min-1]

(11) 同期電動機の位相特性曲線(通称、V曲線)
<横軸>界磁電流Ifと<縦軸>電機子電流Iaの関係を表したもの
無負荷時(0%負荷)、50%負荷、100%負荷時でそれぞれV曲線を示す
各曲線の最低点は力率1を表す
その右側(界磁電流Ifを増加させる)は、電機子電流Iaは進み力率
その左側(界磁電流Ifを減少させる)は、電機子電流Iaは遅れ力率

(12) 同期電動機の乱調・同期はずれとその対策
負荷の急変などにより内部相差角の動揺が起き、内部相差角がある値以上になると乱調、同期はずれが起こる
<対策>
① はずみ車効果を大きくする
② 制動巻線を設ける
③ 自動電圧調整装置の即応性を高める
④ 同期化力を大きくする

1-4 変圧器(トランス)

(1) 変圧器の構造
油入変圧器、乾式変圧器、ガス入変圧器(ガス絶縁変圧器)がある中で、油入変圧器(冷却媒体が油)が最も一般的
① 巻線(1次巻線、2次巻線)
② 鉄心・・鉄損を少なくするため、厚さの薄い(0.23~0.35mm)ケイ素鋼板(ケイ素含有量3.5%程度)が用いられる。大容量形では積層鉄心、柱上変圧器などの中小容量形では巻鉄心
③ 絶縁油・・変圧器の絶縁を確保し巻線の冷却を兼ねて良質の鉱油を使用。
その性能として
(ア) 絶縁耐力が大きいこと(絶縁破壊電圧30kV/標準ギャップ2.5mm以上)
(イ) 引火点が高いこと(130℃以上)
(ウ) 化学的に安定であること
(エ) 流動性に富み、比熱が大きく、冷却作用が良いこと
絶縁油は長期間使用するとその呼吸作用により絶縁能力が低下する(劣化する)。参加してスラッジ(有害な赤褐色の不溶解性の沈殿物)ができないようにしている
それを防止するためにコンサベータを設ける。変圧器に呼吸作用が生じても、コンサベータ内の油面が上下するだけで、本体の外箱内の絶縁油が直接外気に触れる部分を限定的に抑える仕組みである。さらにコンサベータお入口にブリーザ(吸湿呼吸器)を設けている
④ ブッシング(巻線からリードを引き出す絶縁端子)

(2) 巻数比、変圧比、変流比
① 巻数比=変圧比
a=N1/N2=E1/E2
② 変流比
1/a=I1/I2

(3) 変圧器の電圧変動率
2次電圧が定格負荷時と無負荷時でどれだけ変動するのかをその割合で示したもので、負荷の力率や電源周波数などによって変化する
ε=(V20-V2n)/V2n×100 [%]
 =psinθ+qcosθ [%]
V2n:変圧器の2次側の定格負荷時の電圧[V]、V20=2次側の変圧器無負荷時の電圧
p:パーセント抵抗[%]、q:パーセントリアクタンス[%]、cosθ:負荷力率(遅れ力率)
電圧変動率εは、通常1.5~4%程度で、変圧器の容量の大きいものほど小さくなる
パーセントリアクタンスは電源の周波数で変わる要素であり、結局のところ電源変動率εは
ε=psinθ+(f'/f)qcosθ   ε, p, qはいずれも百分率表示

(4) 変圧器の損失
負荷力率や電源の周波数によっても変化する
Pl:全損失、R2:2次側の負荷抵抗、I2n:2次電流
Pl=Pi+I2n2R2
① 無負荷損
主として鉄損(ヒステリシス損、うず電流損)。負荷電流に無関係で一定。磁束の交番によって鉄心に生じる損失
② 負荷損
主として銅損。負荷電流の2乗に比例。1次巻線と2次巻線を流れる電流によって生じる巻線のジュール熱(抵抗損)
③ α負荷時の鉄損と銅損の関係
Pi=α2Pc    Pi:鉄損、Pc:銅損、全負荷(定格負荷)のα倍の負荷に対して

(5) 変圧器の効率
効率=出力/入力×100
   =出力/(出力+全損失)×100=出力/(出力+鉄損+銅損)×100
「鉄損=銅損」の時、効率は最大となる

(6) 変圧器の3相結線方式
① 各結線方式
Δ-Δ結線が一般的。1次か2次にΔ結線を含んでいれば外部に第3高調波は出ない
Y-Y結線は第3高調波を発生するので一般的に使用さえず、3次巻線を設けてY-Y-Δ結線として使用される
② V結線とΔ結線の比較(変圧器の銅損)
V結線 2RI2
Δ結線 3R(I/√3)2=RI2

(7) 変圧器の並行運転
並行運転の条件
① 極性が同じである
② 定格電圧と変圧比(すなわち巻線比)が等しい
③ パーセント短絡インピーダンス(%Z)が等しい
④ 巻線抵抗と漏れリアクタンスの比が等しい
⑤ 相回転と角変位が等しい

(8) 特殊変圧器
モールド変圧器・・・巻線を合成樹脂などで覆った構造の変圧器で、難燃性に優れていることから、屋内用の変圧器として多く使用されている

(9) 単巻変圧器
1次巻線と2次巻線の一部が共通になっている変圧器
分路巻線(共通部分)、直列巻線(共通でない部分)
① 用途
小容量の滑り電圧調整器(ボルトスライダ)、交流モータの始動補償器、配電線の電圧降下を補償するための昇圧器
② 特徴
<利点>
損失が少ない、小型で安価
<欠点>
低圧側と高圧側とで同様の対地絶縁要、短絡電流が大きい
③ 容量Ps[W]
Ps=(V2-V1)I2 [VA]
V1:1次電圧[V]、V2:2次電圧[V]、I2:負荷電流[A]
I2=P2/(V2cosθ) [A]
P2:消費電力[W]、cosθ:負荷力率

(10) 油入変圧器の保護監視装置
① 電気的保護装置 →比率差動継電器
変圧器の1次巻線側と2次巻線側に設置された各変流器の2次側の差電流で動作させる
② 機械的保護装置 →継電器
変圧器内部の油圧、ガス圧、油流によって動作し、内部圧力の過大な上昇を緩和するための法圧装置が取り付けられている
③ 熱的保護監視装置 →ダイヤル温度計、巻線温度指示装置
油温度や巻線温度を監視・測定する
④ その他
雷や遮断器など開閉時に発生する異常に高い電圧の対策として
(ア) サージ吸収用コンデンサ
(イ) 避雷器
(ウ) 真空遮断器

1-5 その他

(1) 電力用半導体素子
① 整流ダイオード・・・オンオフ動作は制御できない
② サイリスタ(SCR)
(ア) 逆阻止3端子サイリスタ・・・オン動作だけが制御できる
pnpnの4層構造、アノード/カソード/ゲート、ブレークオーバ電圧でターンオン状態
ターンオフ状態にするには、主電流を保持電流以下にするか、アノードとカソード間に逆電圧をかける必要がある
(イ) 光トリガサイリスタ
光の照射によってトリガ(点弧)のみを行う機能を備えた逆素子2端子サイリスタ
大電力用で直流送電や電力系統などに採用される
(ウ) トライアック
3端子交流スイッチ(Triode AC Switch)
一般のサイリスタを逆並列にして、1つのゲートで制御できるようにしたもの
交流電力を直接制御するのに適している
(エ) GTO(ゲートターンオフトランジスタ)・・・オンオフ動作が共に制御できる
ゲート信号によってターンオンおよびターンオフできる。ゲートに正の電圧を加えてターンオン、ゲートに負の電圧を加えてターンオフ
高速のターンオフが可能であり、インバータにおけるスイッチングとして利用される
③ パワートランジスタ・・・オンオフ動作が共に制御できる
(ア) バイポーラパワートランジスタ
(イ) パワーMOSFET
(ウ) IGBT(Insulted Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)
バイポーラトランジスタとMOSFETを複合化したスイッチングデバイス
<特徴>
① 駆動電力が小さくて良い(低オン電圧)
② 大電力化しやすい
③ 高速動作性を有する
④ 入力インピーダンスが高い

(2) 静止電力変換装置
① 交流を直流に変換 ⇒整流装置
② 直流を交流い変換 ⇒インバータ
IGBTを用いた単相ブリッジ接続の電圧型インバータ
③ 直流を電圧の異なる直流に直接変換 ⇒直流チョッパ
電力用半導体素子のオンオフ制御(デューティファクタ)を変えて出力電圧を制御する
(ア) 直流降圧チョッパ
(イ) 直流昇圧チョッパ

(3) 単相整流回路
出力の直流電圧を制御する場合、サイリスタを用いる
① 半波整流(サイリスタによる)
負荷電圧Vd=0.45V(1+cosα)/2
α:制御角
α=0の時、Vdは最大
② 全波整流(サイリスタによるブリッジ整流)
負荷電圧Vd=2√2Vcosα/π=0.9Vcosα

(4) 3相ブリッジ整流回路

2   自動制御

(1) フィードバック制御
外乱によって制御量に変動が生じればそれを検出して目標値との差をなくすような修正動作を行う(閉ループを構成)

(2) フィードフォワード制御
外乱が生じた時、制御両が変化する前に外乱を検知しそれを打ち消すように調節部に信号を加えて制御量が目標値から離れにように調節する

(3) サーボ機構、プロセス制御、プログラム処理
サーボ機構・・・目標値の変化に対する追従制御
プロセス制御・・・目標値が一定の定値制御が一般的であり、外乱に対する抑制効果を重視する場合が多い
プログラム制御・・・目標値を予めプログラムしておく制御

(4) PID制御
① P (Propotional)動作・・・比例動作
② I (Integral)動作・・・積分動作
③ D (Differential)・・・微分動作

(5) ブロック線図と伝達関数
閉ループ周波数伝達関数
G(jω)=X(jω)/Y(jω)=K/{1+KG(jω)}

(6) 1次遅れ要素、2次遅れ要素
① 1次遅れ要素のステップ応答
制御量C(t)=K[1-exp(-t/T)]
K:ゲイン、T:時定数
t=Tの時、C=0.632K (定常値の63.2%)
② 開路伝達関数(開ループ伝達関数、一巡伝達関数)
加え合わせ点を開いた前向き伝達関数とフィードバック伝達関数の積
W(s)=G(s)/[1+G(s)]*H(s)
G(s):前向き伝達関数、H(s):フィードバック伝達関数

(7)フィードバック制御系の安定判別
ボード線図
ナイキスト線図

3   電気エネルギー利用

(1) ポンプと送風機の所要動力
① ポンプ用電動機の所要電力
P=9.8QH/η [kW]
Q:ポンプの揚水量[m3/sec]、H:全揚程[m]、η:ポンプの効率
H=H1+H2
H1:実揚程[m]、H2:損失水頭[m]
② エレベータ用電動機の所要電力
P=9.8Mv/η [kW]
M:電動機に実質的にかかる荷重(=エレベータにかかる荷重-つりあい荷重)[kg]
v:昇降速度[m/sec]
η:機械効率
③ V/f一定制御
誘導電動機をVVVF(可変電圧可変周波数)インバータで駆動する時の一般的な制御方式
鉄心の磁気飽和を避けるため。
電動機の発生トルクは入力電圧の2乗に比例する。
④ 送風機の風量、トルク、所要動力
風量:回転速度に比例。誘導電動機の回転速度はトルクの変動に相当する滑り周波数分だけ変動する
トルク:回転速度の2乗に比例
所要動力:回転速度の3乗に比例
⑤ 電動機と減速機の組み合わせ
減速比aの時、負荷の回転速度nl=nm/a [min-1]
nm:電動機の回転速度 [min-1]

(2) 慣性モーメントとはずみ車効果
回転体の運動エネルギー
慣性モーメントに比例し、角速度の2乗に比例する
回転体が保有するエネルギー
E=Gv2/2=G(Rω)2/2=(GR2)ω2=Jω2/2 [J]
J=GR2:慣性モーメント
G:質量[kg]、R:半径[m]、ω:角速度[rad/sec]

(3) 直線運動と回転運動の所要動力

(4) 電動機の運転特性

(5) 電気鉄道の基礎
電動機の所要電力P=9.8μmv [W]

(6) 熱回路の計算

(7) 電熱器の基本計算

(8) 加熱と溶解熱量

(9) 電気加熱方式
① 抵抗加熱
② アーク加熱
③ 高周波加熱
④ マイクロ波加熱(誘電加熱)・・・電子レンジに応用。なお石英ガラスやポリエチレンなど誘電損失(誘電正接)tanδの小さいものは加熱できない
⑤ 赤外線加熱

(10) 電子冷凍
ペルチエ効果を利用。2種類の金属を接合し、その接合点に流れる方向によって発熱または吸熱が生じる

(11) 電気炉と温度計測

(12) 電気式ヒートポンプ
冷凍機と逆サイクルを利用。外部から機械的な仕事W[J]を与え低温熱源より熱量Q1[J]を吸収して高音部へ熱量Q2[J]を放出する機関
成績係数(COP) η=Q2/W

(13) 電池の種類と構成
① 鉛蓄電池
正極:PbO2、負極:Pb、電解液:H2SO4
起電力2.0V
② ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池
起電力1.2V
③ ニッケル水素電池
正極:オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、負極:水素吸蔵合金、電解液:水酸化カリウム水溶液(KOH)
起電力1.2V
④ リチウムイオン電池
起電力3.2V

(14) 燃料電池

(15) ファラデーの法則と電気分解
① 原子価n
水素原子n個と結合し得る元素を原子価がnの元素と言う。
(例:鉛の原子価2、銅の原子価2)
② 化学当量m/n
原子価1価当たりの原子量を言う(=原子量m/原子価n)
③ 電気化学当量(1/96500)・(m/n)
化学当量をファラデー定数(96500)で除したもの(=化学当量/ファラデー定数)
1[F] =96500[C]=96500[A・sec]=26.8[A・h]
④ ファラデーの法則
(ア) 第1法則
電極に析出する物質の量W[g]は、溶液を通過する電気量Q[C]に比例する
(イ) 第2法則
同一電気量Q[C]によって電極に析出する物質の量W[g]は、その物質の化学当量に比例する
W=(1/96500)・(m/n)・Q=KIt [g]
m:原子量、n:原子価、m/n:化学当量、K:電気化学当量、I:電流[A]、t:時間[sec]
⑤ 食塩の電解法
イオン交換膜法・・・Na陽イオンの透過膜が用いられる
⑥ 槽電圧
電気分解に必要な電圧
槽電圧を下げるには
(ア) 電解液の導電率を大きくする
(イ) 電流密度を下げる
(ウ) 電極間隔を小さくする
⑦ 銅の電解精製
純粋な銅だけが陰極の表面に析出する
陽極:粗銅板、陰極:高純度の薄い銅板、電解液:硫酸銅CuSO4と硫酸H2SO4の混合液

(16) 電着塗装
水溶性塗料中に浸した品物に電流を流し、科学的に塗膜を得る方法。電気泳動。

4   照明   

(1)光源の種類と特徴
発光効率=全光束÷消費電力
① 白熱電球
近年、LED照明化でなくなりつつある。
② ハロゲンランプ
石英ガラス内に不活性ガス(窒素NやアルゴンArなど)とともに微量のハロゲンガスを封入する。タングステンフィラメント
ハロゲンサイクル・・・蒸発したタングステンを低音部の管壁付近に析出することなく高音部のフィラメントへ移す循環反応。管壁の黒化を防止し、電球の寿命や光束維持率の改善が図られる。色温度は高く白い光を放射する
バルブ外表面に可視放射を透過し、赤外放射を反射するような膜(多重干渉膜)を設けている
③ キセノンランプ
④ 蛍光ランプ
発光原理はフォトルミネセンス
蛍光ランプの寿命は定格電圧で最大で、それより低くても高くても寿命は短くなる。
発光効率は管内の水銀蒸気圧で決まるため、周囲温度の影響を受け、一般的に20~25℃で最高効率となる
(ア) 予熱始動形蛍光ランプ
最も一般的。グロー点灯管、電流安定用のチョークコイルあり
<長所>
点灯中はスイッチは動作せずフィラメントの電力損がない
<短所>
電源投入から点灯するまで多少時間を要する
電源電圧や周囲温度が低下すると始動し難い
(イ) フリッカーレス形
ちらつき防止、インバーター利用
(ウ) ラピッドスタート形
グロー点灯管が不要。通常の予熱始動形よりも速く始動
(エ) インスタントスタート形
ラピッドスタート形よりもさらに速く起動
⑤ HID(High Intensity Discharge)ランプ
(ア) 水銀ランプ
(イ) メタルハライドランプ
発光管内に始動用のアルゴンガスと水銀そしてハロゲン化金属を発行物質として封入。効率が高く演色性が良い
(ウ) ナトリウム灯
高効率だが演色性が悪い。ナトリウム、ネオン、アルゴンガスが封入。黄橙色の単色光で煙・霧を透過。トンネル内のランプとして利用

(2) 電球の口金
E26, E17, E11(ハロゲンランプ)など
EはEdisonに由来。E26とは直径26mmのこと。

(3) 温度放射とルミネセンス
可視光線 波長380nm~760nm
ステファン・ボルツマンの法則・・・放射エネルギーは絶対温度の4乗に比例する
ウィーンの変位則・・・最大エネルギーを放射する波長は絶対温度に反比例する

(4) 照明に関する単位
① 光束F[lm](ルーメン)
光源から出る光の流れ、すなわち単位時間当たりに放射される光の量
② 光度I[cd](カンデラ)
光源のある方向の光の強さ、すなわちある方向への光の強さ、光束の立体各密度
I=F/ω [cd]
ω:立体角 [sr]
③ 照度E[lx](ルクス)
光が当たっている面の明るさ、すなわち単位m年関当たりに入射する光束
E=F/A
F:光束[lm]、A:面積[m2]
④ 輝度L[cd/m2]
ある方向の光源の輝き
L=I/A [cd/m2]
I:光度[cd]、A:面積[m2]
⑤ 光束発散度M[lm/m2]
光束が表面から出ていく割合
M=F/A [lm/m2]
F:光束[lm]、A:面積[m2]
⑥ 光量
光束と時間を掛け合わせた量
⑦ 立体角ω[sr](ステラジアン)
ある方向の立体的な広がりを表す量
ω=F/I [sr]
F:光束[lm]、I:光度[cd]

(5) 点光源による照度計算

(6) 直接光源による照度計算
光束発散度M=πL  [lm/m2]

(7) 立体角を用いた照度計算
F=ωI  [lm]
F:光束、I:光度[cd]

(8) 光束法による水平面照度
E=(部屋に入る全有効光束)/(部屋の被照面積)=FNUM/S  [Ix]