週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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灼熱の大陸

2010-07-28 23:27:50 | 寺報記事

 ≪寺報【最乗寺だより】 2010年春号 表紙記事より≫


数年前のことですが、「平和と仏教」という講演を聴きに行きました。

泥沼化するアフガン情勢、先の見えないパレスチナ問題。
利権を宗教の影に隠しつつ、その宗教観の違いによる宗教間の諍いが、絶えず世界を巡っているという状況において、仏教の示す平和への道筋をお話いただくという趣旨の講演会でした。

ところが、肝心の講師は前日に南極から帰国されたばかりだったため、講題を無視して、南極の危機迫った現状を実感の伴った思いを込めて語り始めました。


オゾン層が破壊され、宇宙からの紫外線が、南極を灼熱の大陸へと変えていっています。
氷が融けるということは、ただ海面が上昇するだけはありません。
海水は塩分を排出しながら凍り、出された塩分は沈んで、深層水となって海流を生みます。
南極の氷が融けるということは、大量の淡水が海水と混ざることで、そうすると海流は変化し、気候も変化します。
南極は地球の温度調整機能を具えているのです。


そう、講師は話されました。
そして、不動と思えた氷の大陸が、崩れ落ちてゆくところに諸行無常を見たとも話されました。

全てのものは変わりゆく無常のものです。
けれど、その無常にも必ず原因があり、南極の融ける氷のその先には、私の快適な生活があるということを教えてくださったこのときの講師は、立松和平さんでした。

立松さんの訃報に、人の命もまた無常であることを、改めて教えていただいたような思いが致します。
                                           合掌


     (2月8日の立松和平氏逝去の報道にふれて)



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