破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

おやっさんの思い出

2006年03月10日 01時44分49秒 | Weblog
  藤岡さんとの共演にあたって、フトおやっさんの事を思い出した。

  おやっさんには最初、円谷プロ創立30周年記念パーティーで初めて会って御挨拶。その後、「ゴジラVSキングギドラ」「「ゴジラVSモスラ」で共演する幸運に恵まれた。
 本編スタジオで撮影の合間にお話しして、調子に乗って「スイマセン、『おやっさん』と呼んでいいですか?」と訊ねると、優しく微笑んででくれたので、思わず「おやっさん!」と呼ぶと、「竜!」と返してくれたのが最高の思い出だ・・・。

 おやっさんこと小林昭二 (コバヤシ・アキジ)。 昭和5年9 月6日生. 出生地(出身地), 東京市北区(現・東京都北区)
 代表作・昭和41年『ウルトラマン』ムラマツ隊長役、、昭和46年『仮面ライダー』の立花藤兵衛役。他に声優としてジョン・ウェインの吹き替えや番組ナレーションを行う。 他に小林さんの洋画の吹き替えでは、ジョンJランボーの上官役・リチャード・クレンナなどやっていた。「ランボー」シリーズでは、ランボー役の銀河万丈さんに「大佐!」ではなく「おやっさん!」と呼んでほしいな、なんてフト思ってしまった(笑)

  没年月日(享年 死因), 平成8年8月27日没(65歳 肺癌).

 御葬儀は私は仕事で行けなかったが、お花は出しておいた。そして藤岡さんと宮内さんで御棺を担がれたと聞き、涙が出たものであった・・・。
 我々にとってはムラマツキャップや立花藤兵衛としておなじみであり、その人柄が滲み出る演技で人間的にも絶大な信頼が寄せられていた俳優だが、役者仲間からは色々波風もあったようだ。
 これは私がラジオで当時聞いた話だが、小林さんと同期で友人でもある某・大物俳優が、「小林は、『ウルトラマン』やら『仮面ライダー』とかの子供番組に出るようになってから、芝居がダメになった。」と話していた。しかしそれは難しい演技論での話ではなく、明らかに嫉妬心以外のなにものでもないだろう。だって小林さんはそのジャリ番に出た事によって、世代を超え時代を超えて幅広いファンを掴み多くのファンを得て、我々にとって不滅のアクターになったのだから。また、「ジャリ番」だとバカにする事なく真摯な態度で取り組み演技したからこそ、皆から愛される俳優になったのだと思う。
 しかし「一つの役しか出来ないと思われたくない」と、「仮面ライダー」のおやっさんとして大人気の同時期に、「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」ではちょっとイヤミな環境衛生省所員・鈴木という憎まれ役を演じたり、また、後年とんねるずのコント『仮面ノリダー』でも『おやっさんこと立花藤兵衛』役を好演し、当時の子供達のアイドルになっていた。
 そんな時、前出の某・大物俳優は「小林にはまた、大悪役を演じてもらいたい。」とも話していたが、すると小林さんはその声に答えるように、時代劇で、茶店の主人で面倒見の良い人柄の人物を演じ、まるで「スナック・アミーゴ」のマスターである「おやっさん」とまったく同じ設定の役柄だった。だがその正体は、失敗した者はたとえ仲間でもようしゃなく斬り殺す、情け容赦の無い押し込み強盗の頭領だったのだ!小林さんはその残虐非道の悪役を演じ、最期は見事に成敗されていた。
 小林さんの悪の元締の、極悪非道な演技も迫力あった!温かく人情味ある人物が悪を演じると、そのギャップからなおさら凄みが出るものだ。もちろんそれを見越した小林さんの確かな演技の計算のたまものであるのだが、自分の足場・ポジションをしっかりと自覚されていた方だったと思う。それだけに人格者であった証拠と言えるだろう。
 
 これは友人の意見に作品で答えた小林さんの、役者一筋・役者魂を観た!と私は感じたものである。
                                       小林昭二さんよ永遠なれ!

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