イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

手の平のような葉っぱを着ける モミジガサ

2014-10-28 18:30:28 | 趣味・特技
キク科(Asteraceae); キク亜科(Asteroideae); コウモリソウ属(Parasenecio); モミジガサ(Parasenecio delphiniifolius)
学名: Parasenecio delphiniifolius
和名: モミジガサ(紅葉笠)シドケ、シトギ、モミジソウ


 釜石の大天場山の薄暗い杉林の中で、大きな手の平のように切れ込んだ葉の植物を見つけた。花茎が立ち上がり、細長い円錐花序で白い花の蕾がたくさん着いている。あまり見かけない植物だなと思って調べてみたら、モミジガサだと分かった。
 モミジガサというとあまりピンと来ないが、シドケと言えば岩手では誰でも知っている山菜である。春先に葉が開く前に茎を取って茹でて食べる。ほろ苦くて少し食べる分にはおいしい山菜だ。市販用に栽培もされているようだ。東北地方では一般的だが、それ以外ではそれほど一般的でないと聞いたことがある。
 大きくなったシドケの葉っぱを見ると、なるほどモミジガサという名も頷ける。
 花は5個の筒状花からなる頭花を多数着ける。筒状花は雄しべが合着して黒い筒状となり、雌しべをその中に抱く。花粉はその中に出来るのだが、その中を伸びてくる雌しべが花粉を押し出す。花粉が出た後で、雌しべが柱頭を出して受粉する仕組みであり、雄性先熟となっている。雌しべの柱頭は2つに分かれてそれぞれがくるんと丸まって輪を作る。なんとも面白い形だ。コウモリソウ属の仲間は皆こんな感じで良く似ている。


薄暗い杉林の中で見つけたモミジガサ。花はまだ蕾だ。(釜石市八雲町大天場山、2014年7月5日)



同上



8月になると花が咲いた。(同上、2014年8月14日)



花穂をズームアップ。(同上)



頭花を上から撮影。5個の筒状花で構成される。黒い筒状の雄しべの中から雌しべが出て来て花粉を押し出す。雄性先熟である。その後で柱頭が更に伸びて来る。伸びてきた雌しべの先は2つに分かれて、くるんと丸まって輪を作り、受粉の体勢を整える。面白い形だ。(同上)



頭花を横から撮影。(同上)