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Runrun日記

~ わがままを控えて一日全う、ひび楽し ~ 団塊世代の独り言
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残り者

2023年09月24日 | 本と雑誌
 最低気温:20.9℃ 最高気温:30.3℃


 やっと少し涼しくなってきました。
 昨夜はエアコンなしで寝られました。
 今朝は、久しぶりに公園を一周朝散歩。
 今日は、たいして汗も出ず、
 シャワーなしでOKでした。

 さてさて、朝井まかてさんの小説。
 2016年5月発表のは、これ。

朝井まかて 著作『残り者』双葉文庫

 慶応四年(1868)四月十日、天璋院篤姫は江戸城明け渡しの為、大奥を去る。その時、大奥に居残った奥女中が五名いた。そんな設定だね。これは。
 呉服間の「りつ」、御膳所の「お蛸」、御三之間の「ちか」、御中臈の「ふき」、静寞院和宮・呉服間の「もみじ」。五名は、それぞれ鬱屈を抱え、大奥を去りがたい。たぶんそれは、大奥女中を代表する鬱屈だったのだろう。
 彼女らの、大奥での仕事や、突然それを奪われる鬱屈を、面白可笑しく描いてあった。(笑)
 えっ、そこまでする? 彼女らの奇想天外な行動には、ハラハラ・ドキドキさせられる。そして少しずつ、彼女らが居残った理由が明らかになっていく。それって違うだろう!!
 お蛸は、天璋院の愛猫サト姫を連れて出ると言い張りサト姫を探しまくる。ちかは、明日になれば天璋院は戻って来る。居残って手柄を立てるのだと言う。もみじは、仕事仲間に無視される鬱屈。りつは、彼女らを説得し、何とか外に連れ出そうとするが頑固な彼女らは動かない。ふきは・・。
 後で分かることだが、ふきは天璋院に大奥の宝を守るよう命令されていた。宝物ではなく宝者。十一日、ついに官軍が大奥にやって来る。大奥が踏み荒らされるのを隠し部屋から見て納得? ふきに指示されて、隠し通路から城外に脱出するという筋書き。

 朝井まかてさんの描く女心は、面白い。シリアスなものをコミックに。笑える彼女らの行動。明治17年になってからの、彼女らの女子会で物語は終わる。上手い!

この本のお気に入り度:★★★★☆

紛者(まがいもの)

2023年09月11日 | 本と雑誌
 最低気温:23.5℃ 最高気温:28.2℃

 今日は雨です。時々雷。蒸して嫌な天気です。
 起きた時は晴れていたので、朝食後、朝散歩。雨が降っていた。
 雨帽を被って散歩を強行しました。蒸し暑くって嫌ですね。

 昨夜は、ラグビーの試合を見ていました。楽しみですね。

日本文藝家協会 編『時代小説ザ・ベスト2016』集英社文庫

 2014~2015年に発表された時代小説の短編小説が収録されていました。武則天の時代の中国の話だったり、日本の戦国時代の話、江戸時代の話、バラエティーに富んだ10編が収録されていました。それぞれ面白かったが、気になったもの・・・

 澤田瞳子さんの『名残の花』 以前、宮部みゆきさんの小説『孤宿の人』を読んだ。鳥居耀蔵が丸亀藩に永預となった時のことをモデルにしたフィクションだったよね。この短編には、明治になって東京に戻った鳥居耀蔵が出てくる。何となく面白い。

 宇江佐真理さんの『青もみじ』 これは、以前読んだことが有る。そうでした。髪結い伊三次捕物シリーズの最終巻「 擬宝珠のある橋」に収録されていました。この物語には、続きがありそうな気がしますが、宇江佐さんは亡くなってしまったので残念ですね。

 さてさて、これを読んでみる気になったのは、朝井まかてさんの短編『紛者(まがいもの)』が収録されていたので。これは武士道の話。今まで読んだ、朝井まかてさんの小説には、侍の話はなかった。『恋歌』ぐらいかな。【作者のことば】の欄に、葉隠の事が書かれていました。武士道とは死ぬことと見つけたり。人生、嫌な人間関係からは逃げるに限る。それが出来ないのが武士道だったのだろうか。

この本のお気に入り度:★★★★☆

眩(くらら)

2023年09月04日 | 本と雑誌
 最低気温:27.6℃ 最高気温:34.4℃

 今朝も蒸し暑い中、朝散歩。
 公園の池には、シロサギが佇んでいました。

 2016年3月発表のこれ、

朝井まかて 著作『眩(くらら)』新潮文庫

 NHKのテレビドラマとは幾分違っていました。しかし、本の中を宮崎あおいが闊歩する。
 葛飾北斎の娘・お栄(応為)の話です。絵に魅せられた父娘。母親に弟子、悪魔の甥。善次郎への秘めたる恋心。宮崎あおいがこの小説の中を疾走します。

 数年前に北斎展を見に行きました。その時買った画集を開きながら読んでみました。1826年、シーボルトが江戸に来た時に北斎に絵を注文する所がありました。西画です。多分その時にシーボルトに渡ったと思われる絵が、私の持っている画集に乗せられています。初夏の浜辺など、その幾つかに<推定 北斎と娘応為>と書かれていました。北斎が下絵を描き、応為が着色した作品でしょうか。残念ながら、私の持っている画集には、応為が単独で描いた作品は有りませんでした。
 この小説では。夜桜美人図三曲合奏図吉原格子先之図などが描かれる様子が書かれていました。お栄は、果たしてこんな気持ちで、これらの絵を描いたのでしょうか。

 この小説の結末も、さわやかで気持ちいい。これは、傑作です!

この本のお気に入り度:★★★★★

藪医ふらここ堂

2023年08月24日 | 本と雑誌
 最低気温:24.5℃ 最高気温:27.5℃

 先々日、76歳の誕生日を迎えました。妻はいつものように、私好物の妻特製のカレーライスとコップ一杯のビールで祝ってくれました。ここ迄生きて来られたのは、妻のおかげです。感謝!

 昨日は朝から酷い雷が鳴って、怖かった~ぁ
 今日は、少し雷が鳴って、一日雨です。
 少しずつ、涼しくなれば良いけれど・・・・

 朝井まかてさんの小説を、デビュー作から順に読んでいます。
 今回は、2015年発表のこれ。

朝井まかて 著作『藪医ふらここ堂』講談社文庫

 江戸は神田三河町の小児科医・天野三哲は「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる。面倒になると逃げだす。庭に大きな山桃の木があり、その枝に吊るしたぶらんこ。子供たちが遊んでいる。それで、付いた綽名が「藪のふらここ堂」
 一人娘のおゆんから見た三哲の事、弟子や近隣の人たちの事が、面白おかしく描かれていました。(笑)

 天野三哲こと篠崎三哲長瑞は、実在の人だったのだろうか。Webで検索したら”宝暦9年(1759)に将軍家重に拝謁(御目見)し、同11年に西丸奥医師を拝命”とあった。藪医者ぶっているが、本当は名医だったりして…? 三哲も可笑しいが、登場人物たちもみな可笑しい。
 子供を治療する場面、近隣のおばさんたちのドタバタ、若者たちの恋。江戸下町の人情物語。

 父親が藪医者だと信じて疑わない娘のおゆんは、三哲を迎える籠が城からくると、「嘘お、もう勘弁してよ」と言って、ふららこから飛び降りる。
 
 面白かった。

この本のお気に入り度:★★★★☆

御松茸騒動

2023年08月17日 | 本と雑誌
 最低気温:26.5℃ 最高気温:33.9℃

 台風七号は、ひょっとしたら直撃かと思ったが、名古屋を外して抜けてくれた。
 それでも、台風の日は、雨戸を締め切って籠っていました。
 散歩にも行かず籠っていると、体幹グラグラになる(トホホ)
 昨日は、運動型デイサービスで少し運動。今朝は、久しぶりに朝散歩に出かけました。
 早く、普通に散歩出来る日々になれば良い。

 朝井まかてさんの小説を、デビュー作から順に読んでいます。
 六作目が恋歌(2013年発表)直木賞受賞作。七作目が阿蘭陀西鶴(2014年発表)
 これらは以前に読んでいる。いずれも素晴らしかった!!!
 八作目は、2014年発表のこれ。

朝井まかて 著作『御松茸騒動』徳間文庫

 読み始めて、これは何だと思った
 朝井まかてさんは、恋歌や阿蘭陀西鶴で精力を使い果たしてしまったのか?

 主人公、榊原小四郎は、利発とか言われ慢心して鼻持ちならない奴なんだ。父親が亡くなって尾張藩の上屋敷で用人手代見習いとして働いているが、他の人と馴染まず上役を馬鹿にしている。

 次に登場するのが、亡き父の友人だ。「三べい」と呼ばれる勘兵衛・藤兵衛・伝兵衛。何かというと小四郎の元に現れて、鼻っ柱の強い小四郎の足を引っ張る。
 小四郎は、上役に嫌われてか、三べいに足を引っ張らてか、御松茸同心に左遷され、尾張に赴任。

 この辺の、バタバタを読んでいると、これはまかてさんの小説ではないだろうと思ってしまった。 御松茸同心の仕事を始めてもこのバタバタは続きます。自分は優秀なのだからこのままでは終わらない、気ばかり先走って空回り。周りも何かおかしい。

 御松茸は、尾張の特産として毎年幕府やその他に献上していた。しかし足りない分は商人から買って数合わせをしていた。産地偽造? 御松茸同心の仕事は、毎年秋の御松茸の収穫量を増やす事と思った。しかし周りの人たちはそれに熱心ではないし・・

 まかてさんの小説といえば、植物に関するお仕事時代劇。しだいにまかてさんのペースにはまって行きます。

 三年以内に成果を上げるつもりが五年経ち・・。やっと道筋が見えてくる。村人の協力も得られるようになり、十年目。小四郎の上役たちは、松茸商人達から贈賄を受けていたり。

 松茸の話、松の話。山の話。どうしたら松茸の収穫量を増やすことが出来るか。まかてさんの小説は面白い。なるほどと思わせる。尾張宗春の治世の話。幕府隠密の話。盛り沢山だねえ。
 小四郎も、ずいぶん丸くなって行く。

この本のお気に入り度:★★★★☆