黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

池島炭鉱十年の変貌 04選炭工場

2017-06-08 13:06:16 | 池島炭鉱
第二の軍艦島といわれる、
軍艦島と同じ長崎市にある炭鉱跡<池島>の全貌をまとめた、
『池島全景 離島の《異空間》』(三才ブックス)の発売記念として、
書籍に収録できなかった池島を、シリーズでお送りしたいと思います。

取材で通った2004年〜2017年の約12年の間に、池島がどう変わったか。
今回は、池島港に面した傾斜地にある<選炭工場>です。

池島炭鉱の港にある選炭工場

画像は2005年(平成17)の選炭工場。
この時代は、まだ研修センターとして機能していたので、
選炭工場も一部稼働していました。
多少錆がでているものの、
ほぼ操業時の姿を留める全貌です。





池島炭鉱の港にある選炭工場

そしてこれが10年後の、2015年(平成27)の様子。
傾斜地の最上部に建つ横長の角型原炭ポケットと、
その右に建つサイロ型原炭ポケットを繋いでいたコンベア建屋が、
完全に崩落。
下画像はその部分のアップ。

池島炭鉱の港にある選炭工場

また、角型原炭ポケットの窓も、
周囲の壁面とともにいくつも剥落し、
右端の、少し突出したバースクリーン用の建屋部分も、
崩れてしまいました。
下画像は、まだ稼働していた時代の建屋部分。

池島炭鉱の港にある選炭工場

この部分は、
地底から11段、総延長約4.5kmのベルトコンベアによって、
地上に運び出されて来た石炭の最終到着地点です。

建屋内にはバースクリーンと呼ばれる、
最初期の極めて荒い選別を行う機器が設置されていました。

池島炭鉱の港にある選炭工場

2015年の様子へ話を戻し、
施設中段の左寄りにある、
斜めの張り出した部分も、下へ落ち、
その奥の室内が完全に剥き出しに。
中段右寄りの壁面も、窓の付近を中心に、
穴があき始まっています。

最下部に写る2台の重機は、
貯炭場に製品炭を積み付けるスタッカー。
2005年の時点では、左のスタッカーは、
もっと左の方(海寄り)にありました。

池島炭鉱の港にある選炭工場

しかし2009年の時には、すでに今の位置に移動していて、
その後動くことはありません。
移動したスタッカーは、塗装の色が変色したように見えます。


選炭工場内部の全貌は、
『池島全景 離島の《異空間》』で紹介しているので、
興味のある方はごらんになって下さい。

国内の炭鉱で選炭工場が現存するのは、
現役の釧路炭鉱を除いて、この池島のみ。
工場内には、バリウェーブ水選機をはじめとした、
国内の炭鉱技術が辿り着いた最先端の機器がたくさんあります。

シップローダーのコンベア建屋や、
ジブローダーの操舵室の補修よりは、
遥かに費用がかかると思いますが、
なんとか残って欲しいものです。


“第二の軍艦島”といわれる、九州最後の炭鉱のあった池島の全貌を、
12年以上の取材と400枚超の写真で紹介する国内初の池島本。
『池島全景 離島の《異空間》』絶賛発売中!!



最新の画像もっと見る

post a comment