黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

十条逍遙 275号棟 2

2006-09-05 00:50:24 | ・軍都十条逍遙


東京の北部、北区と板橋区の区界にまたがって、
かつて広大な敷地の陸軍施設の見学記。
昨日に引き続き煉瓦275棟です。

窓の上に施された絶妙なカーブ、
細かく段をつけた窓のスペーズのくぼみ、
そして木製の窓枠、
見れば見る程その美しさに惹き込まれて行きますが、
それはこの建物が兵器製造工場だったという、
罪を背負った建物だからかもしれません。



公園の一角に静かに横たわる煉瓦の建物。
縦と横と高さのバランス。
壁面の三角の部分の中央につけられて丸窓、
遠目にみても絶妙な美しさです。



左奥に写るのが自衛隊十条駐屯地の建物。
かつてはこの一体に、この257号棟同様の、
重厚で趣のある建物が建ち並んでいましたが、
いまでは全てが立て替えられています。

257号棟の北側には小さな児童公園があり、
休日は近所の家族連れでにぎわいますが、
そのむこうには自衛隊の駐屯地です。



建物の東面の直ぐ横には、
巨大なコンクリの構造物が残っていますが、
果たしてこれがなにかを知る資料などは残っているのでしょうか?



ところでこの特集のタイトルに使っている色使いですが、
これは陸軍の軍帽を参考にした色使いです。

カーキ色はヒンドゥー語、さらにはペルシャ語が語源らしく、
元々は「土埃」を意味する言葉だそうです。
明治三十八年 (1905) に陸軍の軍服色として採用されて以来、
一貫してこの色が使われました。
当初赤みがかった色みでしたが、
やがて青みがかった、いわゆるモスグリーンに近い色になり、
これが太平洋戦争での「国防服」の色にもなりました。

もう一色の重要な色が「赤」です。
普通「赤」というと共産圏の色を思い浮かべますが、
これはどうやら血を現す色のようです。
正確には赤ではなく「緋色」で、
緋色は赤よりやや朱にちかい色のようです。

緋色とカーキ色、個人的には絶妙な配色だと思います。
 
◆軍都 十条逍遙◆
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