黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

消滅する街~新宿ノーザンウエスト~ #76

2018-01-10 17:50:32 | ・新宿ノーザンウエスト
新宿の北西エリアに広がる時の止まった街、新宿ノーザンウエスト。
思えば、このブログを“気合いを入れて投稿する”きっかけは、
この新宿ノーザンウエストのリポートだったと思います。
気合いを入れたおかげかどうかはわかりませんが、
伝説の雑誌『ワンダーJAPAN』に寄稿させていただくきっかけも、
この特集でした。

ブログを見返してみると、
新宿ノーザンウエストのタイトルで最初に投稿したのが2005年の7月。
今からもう12年半も前のこと。(12年半。。。クラクラ)

当時の新宿ノーザンウエストは、
どこもかそこも昭和の街並が遺り、
完全に時が停まったエリアでした。
それから12年半、徐々に更新されて行く様子を伝えて、
気がつけば投稿回数も今回で76回。

前回の約3年前にアップした西新宿6丁目のエリアは、
3年経った今もそれほど変わった印象はありません。
短時間で建設が終わる昨今の時間感覚からすると、
かなり時間のかかっている印象を受けます。



画像は2015年の西新宿6丁目の様子。
この時点で、エリアの中にはトタン張りの民家と事務所が1棟、
そして開発エリアの隅に、現役の民家が2軒残っていました。
それ以外のエリアには工事用フェンスが巡り、
フェンスの中では、解体工事が行われていたのを思い出します。







上画像のほぼ同じ位置からの2018年の様子。
工事用フェンスが、開発区画の端までせり出し、
フェンスの中では、すでに建設が始まっています。
エリア中央のトタン民家と事務所は解体されたのでしょう。
隅にあった2軒の民家のうち、1軒が現存していました。
既に建設工事が始まっていることを考えると、
このお宅は土地を売却しなかったのだと思います。







別角度からもう1枚。





ついでに時々取材していた西新宿8丁目のエリアにも足を伸ばしてみました。



画像は新ノーザンウエストのシリーズで時々アップした、
西新宿8丁目の香ばしい木造アパート「ときわ荘」。
画像は2014年頃のもので、ホームレスの方が寝るなど、
既に終焉を感じさせる雰囲気です。
2017年の夏に訪れた時にはまだありましたが、







2018年初頭の現在、遂に更地に。
最初に遭遇した時から住人も少なく、
老朽化も激しかったので、
いずれ解体されるとは思っていましたが、
そのわりに、随分と頑張った方だと思います。
典型的な昭和の木造モルタルアパートだったので、
なくなってしまうと、すこし寂しさも感じます。







ときわ荘の2軒隣に、
おなじく木造モルタルの香ばしいアパートがありましたが、
こちらも解体され、すでに新築が始まっています。







ときわ荘から少し奥(北)には、
これまた以前に多少アップしたことのある、
木造モルタルのアパート群があります。
「瑞雲荘」や「紫雲荘」など、時代を感じさせるネーミングの棟が、
6、7棟並ぶ一角です。



画像はその中の一つ「青雲荘」
2階への階段が総て塞がれ、1階前庭の植え込みも撤去されるなど、
すでに人は棲んでいないようです。
おって、解体されるのでしょうか。
ただ、この一連のアパート群のいくつかは綺麗にリフォームされて、
現在も現役で使われているものもあり、
また、古い状態のものも、人が住まわれている棟もあります。

なお、西新宿8丁目は、
再開発が進む前の西新宿5丁目や6丁目、そして北新宿2丁目ほど、
古色蒼然とした建物が乱立せず、
一見、レトロな印象は薄いですが、
昭和の木造建造物が密集することには違いありません。

いずれ大規模な再開発が進むのも、
時間の問題かと思います。

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4 Comments

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こんばんは (河西)
2018-01-17 22:26:34
はじめまして。
こちらのHPいつも楽しく拝見しています。
東京に住んで10年が経ちました。西新宿のすぐ近くに住んでいるので、あの時沢山写真を撮っておけば…と今更ながらに後悔しています。
トキワ荘もついに解体ですか…
神田川沿いのウィークリーマンションもついに解体が始まりました。
あの頃の面影がなくなると同時に、私もこの地を去ります。
次に来た時にどのような変化をしているのか楽しみであります。
▼河西さん (管理人)
2018-01-19 23:19:12
はじめまして。いつも拙ブログをご覧頂き、ありがとうございます!
10年、西新宿の変化を間近でご覧になってきたのですね。
神田川沿いのウィークリーマンションも解体ですか。
あと10年もすると、今から10年前の街並は、
もう全くなくなっているかもしれませんね。
このエリアへは定期的に行くので、
これからも随時ブログで報告して行きますね。
Unknown (元近隣住人)
2018-05-15 16:42:05
「野方給水塔」から、こちらに迷い込んで来ました・・
ディープですよね・・ってこのアパート、友人家族が住んでいました、40年も前のことですが・・ここは6畳一間に猫の額ほどの台所でしたよ。でもそこに家族が居住なんてざらにありましたね。
その他の画像を見て懐かしく思います。
私は成子天神の神楽殿からすぐ下の雑居ビルにいました。すぐ裏に石川さゆ*様も住んでましたし相本K美子や岸本K世子・角川博も近所にいましたね。いま思い起こせば こんなに豹変するとは思わなかったです。デジカメが当時あれば沢山写真を撮っていたかも知れません・・フィルム現像は高かったから・・あの頃に戻りたい・・
▼元近隣住人さんへ (管理人)
2018-05-30 13:28:50
野方から成子天神の裏と、なかなかディープなエリアにお住まいだったようで、羨ましいです!
成子天神の裏には、そんなに有名な方々がお住まいだったんですね!全然知りませんでした。
成子天神も最近全面的に改修し、
敷地内に巨大なマンションが建ちました。
富士塚も以前は非公開でしたが、いまは普通に登れるようになり、
かつてのウラ寂れた感じは、もうどこにもないですね。
もちろん周辺の街並も、劇的に変化し、
もはや昭和の頃の面影を遺すところは、なくなってしまいました。
場所柄、今まで遺っていたことの方が、逆に不思議ではありますが。。。

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