秋祭り 金婚式に 華を添え

きょうは、私たちの５０回目の結婚
記念日だった。

病室に入って、びっくりした。

妻の髪がきれいに整っていて、唇に
うっすら紅がさしてあった。

その上、いつも鼻の穴に挿入されて
いる管（胃カテーテル）が外されて
いて、身軽るになっていた。

金婚式の記念にツーショット写真を
撮りたいと撮影許可申請を出した折、
承認のお知らせをいただくと同時に
看護主任さんから、「私がシャッタ
を切ってあげます。当日は何か身に
つけるものを持ってきてください」
との言葉をいただいていた。

病室でいきなり私をびっくりさせた
のも看護主任さんの計らいだった。

主任さんは、持参したブラウスを
着せて、パールのネックレスを
つけてくれた。

一気に女の魅力を発散した。

病院では、恒例の秋祭りが別棟の
大ホールで盛大に行われていた。

主任さんが「きょうは平熱ですし、
発作もないので、車イスに乗って
お連れされたらどうですか」と、
言ってくださった。

大ホールには、入院されている方と
家族の方が大勢参加されていて、
お神輿（おみこし）行列、盆踊り、
魚釣りゲーム、的当て、ドリンク
コーナーに囲まれて、賑やか声で
溢れていた。

妻は久しぶりに大きな声を聞いて、
目をぱちくりさせていた。

この秋祭りが私たちの５０回目の
結婚記念日（金婚式）を祝って、
華を添えてくれた気がした。

まさかこんな形でこの日を迎えら
れるとは思ってもみなかったので、
本当にうれしく感謝している。

妻も喜んでくれたと思う。


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