うまさいと

お馬さんは好きですか?

彼女がのこしたもの。

2006-04-06 23:36:43 | 競馬
American Oaks winner Cesario retired(Thoroughbred Times)

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日本調教馬として2005年のAmerican Oaks Invitational S.(USA-G1 T10f)初の米国G1馬となったシーザリオが右前脚の靭帯の怪我により引退することになった。どこで繁殖牝馬として過ごすことになるかはまだ知らされていない。Sadler's Wellsを肌に持つKirov Premiereを母とし、スペシャルウィーク産駒の同馬はHallywood Park競馬場における昨年7月のAmerican Oaksでの4馬身差の勝利以来出走が無かった。「残念ながら、彼女の靭帯の炎症は慢性的なもののようです。復帰するには少なくとも一年は必要になるでしょう。残念ながら、彼女をレースで再び見ることはできないでしょう。」と調教師のKatsuhiko Sumii師が言っています。シーザリオはHollywood Park競馬場での圧勝より以前に東京競馬場で行われたYushun Himba(Japanese Oaks)を勝ち、阪神競馬場で行われたOka Sho(Japanese One Thousand Guineas)では頭差の2着でした。2005年度のJRA最優秀3歳牝馬に選出され、2シーズンで6戦5勝、収得賞金は$2,578,568でした。シーザリオは生産者であるKatsumi Yoshidaの北海道にあるNorthern Farmで繁殖牝馬になるでしょう。

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Japanese Filly Cesario, Won American Oaks, Retired(Bloodhorse)

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2005年のAmerican Oaks Invitational S.(USA-G1 T10f)を勝ち、日本生産馬として初の米国G1優勝馬となったシーザリオが、右前脚の靭帯の炎症のために引退することになった。サンデーサイレンスの孫にあたる4歳の牝馬は昨年夏の$750,000の勝利からは出走していない。「私は4月3日に状態を確認しました。残念ながら、彼女の炎症は慢性的なもののようです。復帰するには少なくとも一年はかかるでしょう。私は彼女が再びレースで走る姿を観られないことがとても残念です。しかし、彼女がセカンドライフを楽しんで、良い産駒を故郷であるNorthern Farmで産んでくれることでしょう。」とKatsuhiko Sumii師が言っています。Northern Farmで生まれたシーザリオはAmerican Oaksの勝利の約6週間前にYushun Himba (Jpn-I, Japanese Oaks)も勝利しています。彼女は11頭のライバル達を尻目に1 1/4-mileを楽に駆け抜け、Hollywood Park競馬場におけるstakes-record timeである1,59,03をマークしました。Blood-Horseによると、彼女が2着のMelhor Aindaにつけた4馬身という着差は、もし鞍上のYuichi Fukunagaが望めば三倍になっていたかもしれない。スペシャルウィークとSadler's Wellsを肌に持つKirov Premiereとの間に生まれたシーザリオは6戦5勝で引退し、Carrot Farmのために稼いだ賞金は$2,578,568である。彼女の落としたレースは頭差のOka Sho (Jpn-I, Japanese One Thousand Guineas)だった。繁殖牝馬としてのプランはまだ発表されていない。

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サラタイとブラホの全訳はこんな感じです。ちょいちょい怪しいところはありますが大方の雰囲気は掴めていると思います。どちらの記事にしろ端的ながらきちんと要所を掴んでいると思います。この二つの新聞(?)は通常、牝馬のG1馬の引退でもきっちり扱っているように思いますが、日本から来て衝撃的な勝利を飾ったシーザリオについてもきちんと書いてくれています。あの一戦だけで戻ってくるというのは正直勿体なかったと当時は書いたかもしれませんが、華やかな桜がすぐに散るかの如く、印象度ということを考えると、あれが世界に示した彼女のベストパフォーマンスだったことを疑う余地はありません。アグネスタキオンにしてもそうですが、未完の大器に対しての評価というのは非常に大きいのではないかと思います。
また「Sunday Silence granddaughter」といった表記に見られるように、米国側としてもSunday Silenceという国民的ヒール(多分。Easy Goerがいたし)が、はるばる日本の地から送り出した刺客の素晴らしい勝利を認めた(親近感もあってのことでしょうけど)ということもあったのかもしれません。『芝だから』『Sunday Silenceの孫だから』という条件はあるものの「日本馬の勝利」をまだ暖かく見守ることができる余裕はあるけれども「芝のレースなら日本馬に全部勝たれちゃうんじゃね?」という危機感と「日本のダートはFleetstreet Dancerレベルでも十分勝負になるんじゃね?」といった憶測(Lido PalaceとかTotal Impactは砂が合わなかったとして)が、話題になっているA・ベイヤー氏の発言に凝縮されている気はします。勿論あの発言がDubai Wold Cup Dayでの日本馬の活躍を受けてであったことは否定しませんが、こと「衝撃度」に関する点では百聞は一見にしかずなわけで、シーザリオの圧勝により自分達の土地を荒らされた時の方がショックは大きかったことでしょう。以前のMairzy DoatesがJCを制した時のような安穏とした雰囲気ではないけれども、まだ気持ちに余裕はある。日本馬の強さを認めてはいるけれども、しかし潜在的な危機感は徐々に大きくなっている、といったところが「開放しろよ」って発言になったのだろうなと。
Her four-length margin over runner-up Melhor Ainda could have been triple
などという表現も単なる誇張ではなく「もしかしたら」という部分があるからこそ書けたのでしょう。
追うものの立場にいる者は、追われる者の立場はわからないので何とも言えないわけですが、スーパー301条の時のような奥の手を出してくることがちょっと怖いかな、と。
アメリカ人を「焦らせた」という意味では、シーザリオさんの植え付けたイメージは相当大きかったのかもしれません。