うまさいと

お馬さんは好きですか?

斤量差って何だろね。

2006-11-28 11:57:28 | 競馬
少し古い話題。斤量差って一口に言うけど、なんだろうねって話。

Prix de l'Arc de Triomphe(FR-G1 T2400m:凱旋門賞)の後、池江師が「3歳馬には要注意と言われている通り、斤量の差もあったかもしれません。」という言葉を残した通り、こと凱旋門賞においては「斤量差」について語られることが多いように感じます。3歳馬がここ12年で10勝という3歳馬有利な条件の下で施行されているのですが、これは一般的に3.5kgという斤量差のせいであると言われています。

では凱旋門賞の過去のデータを少し漁ってみたいと思います。斤量差とその間の古馬と3歳馬の勝ち数の比較についてはこのようになっています。また、牝馬は全て-1.5kgになります。

1920 - 1929 古馬 60kg - 3歳馬 55kg (古馬2勝 vs 3歳馬8勝)
1930 - 1975 古馬 60kg - 3歳馬 55.5kg (古馬18勝 vs 3歳馬26勝)
1976 - 1994 古馬 59kg - 3歳馬 56kg (古馬10勝 vs 3歳馬9勝)
1995 - 2006 古馬 59.5kg - 3歳馬 56kg (古馬2勝 vs 3歳馬10勝)

ということで、最初の10年は5kgの差が、その後46年もの間は4.5kgの斤量差があったんですね。知らなかったとはいえ驚きました。といっても、血統や馬産、育成、飼料などお馬さんを取り巻く全ての環境が様々な面で今とは異なっていたでしょうから、3歳馬の10月時点での成長度合いが現在と同じであるかという点は一概には比較できないでしょう。

さて、ターニングポイントは1976年に訪れます。4.5kgの斤量差が一気に3kgにまで縮まります。但し、1966-1975年までの10年間を見ても古馬4勝 vs 3歳馬6勝と、特に偏りが出ているわけではないのですが、何かしら変更する理由があったのでしょうか。余談になりますが、この1976年はKing George VI & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f10y)の古馬と3歳馬の斤量差が1951年の創設以来初めて変更(14lbs→13lbs : 1ポンド減った)された年でもあります。英国と仏国の大レース(この時期のこれらのレースの位置付けについては詳しくないので指摘があればお願いします)が揃って古馬と3歳馬の斤量差を縮めるというのも、何かを暗示しているようではありますが。

次に1976-1994年までの19年間は古馬10勝 vs 3歳馬9勝と、大変拮抗していることが数値にも現れています。しかし、1995年にこれまでとは逆に斤量差3kgから3.5kgに広がっています。この時期の変更ならば何かしらの発表や報道の記録(斤量差の変更理由について)が残っているのではないかと思い探してみたのですが見つかりませんでした。10年以上海外競馬をご覧の方ならば知っていらっしゃるかもしれません。

そしてその後の1995-2006年まではご存知の通り、古馬2勝 vs 3歳馬10勝となっています。斤量差が3.5kgから3kgになっただけで、これほど有利不利が出てしまうというのも興味深い結果です。Marlさんもおっしゃっていましたがこの2勝というのはいわゆるヴィンテージイヤー、つまり2000年に3歳だった世代でのものです。これは00年 1着 Sinndar, 01年 1着 Sakhee, 02年 1着 Marienbard, 03年 2着 Mubtakerと、こと凱旋門賞においては抜群の相性を示した世代のことを指します。

ここで少し視点を変えてみましょう。凱旋門賞はセン馬が出られないということからも、ある程度「繁殖馬選定」に重きを置いた(それはどれも当たり前なのかもしれないが)「世界最高峰のレースを目指した」レースと言えるでしょう。同様にレースの成り立ちはかなり違うかもしれませんが2400m, もしくは12fで行われる古馬混合の大きなレースということで先程話題にのぼった英国の"King George"を比較対象として考えてみたいと思います。こちらはセン馬も出走することができますが。このレースは7月下旬に行われますが、この時期の3歳馬は成長曲線の傾きがかなり大きな時期だと考えられるので、古馬の実力差というのは秋口に行われる凱旋門賞よりも評価が難しいところだと考えられます。ということで、今度はこちらのデータを出してみます。牝馬はそれぞれ-3lbs(1.4kg)です。

1951 - 1956 古馬 130lbs(59.0kg) - 3歳馬 116lbs(52.6kg) (古馬2勝 vs 3歳馬4勝)
1957 - 1975 古馬 133lbs(60.3kg) - 3歳馬 119lbs(54.0kg) (古馬12勝 vs 3歳馬7勝)
(上と合わせると、古馬14勝 vs 3歳馬11勝)
1976 - 1989 古馬 133lbs(60.3kg) - 3歳馬 120lbs(54.4kg) (古馬5勝 vs 3歳馬9勝)
1990 - 2006 古馬 133lbs(60.3kg) - 3歳馬 121lbs(54.9kg) (古馬10勝 vs 3歳馬7勝)

さらにこちらは面白い統計になってしまい、あまり比較の意味を持たなくなった気がするのは私だけでしょうか。但しこのレースの場合、時期柄か3歳馬の参戦が無い年があります。最後に斤量差変更が行われた90年からの17年間で、3歳馬が出走しなかった年が2回(02, 06年), 3歳馬の出走が1頭だけなのが4回(90, 97, 04, 05年)ということでして、確率論的に言えば凱旋門賞よりも古馬勢の勝つ可能性が大きいということになります。しかし、勝ち馬や面子について各個の年について考え出すとキリがないので、ここでは統計的に物事を考えたいと思います。つまり、King Georgeの場合はちと偏る位でちょうどいいかと。現在は古馬29勝 vs 3歳馬27勝です。
King Georgeは「古馬と3歳馬が大体同じ位の勝ち数」という印象だったのですが、デコボコがちょうど良い感じになっているというのが真相でした。創設当初の斤量差は14lbsで、57年の変更は両者同じだけ重量が増えているだけです。76年、90年の変更でそれぞれ3歳馬の重量が1poundずつ重くなっていくのは、成長が前倒しされていると考えればよいのでしょうか。76年の変更は何でだろ?という感じではありますが、90年の変更は理に適ったものであることがわかります。凱旋門賞と比較すれば年齢差による有利不利の少ない(少なくしようとしている)レースなのかな、という気はしますねぇ。

たった2レースだけ書いたところでどうとなるものでもないですけれど、とりあえず日本ではメジャーであり今年はディープインパクトとハーツクライが遠征したレースということで挙げてみました。

じゃあ日本はどうなんだってことで有馬記念辺りと比較しようとしたのですが、例えば英・仏などとは走らせ方の考え自体が異なってるかもしれんなと思いましたのでやめとく。有馬記念は古馬が圧倒的に有利になっています。でも、日本の場合は「お馬さんが一番充実するのは4歳秋」みたいな考え方があるのでそれでいいのかもしれませんけれど。

BC後半戦。

2006-11-04 01:55:31 | 競馬
Mileまではやる気があった、と言われそうだ(確かにその後はほぼ調べてないので結構痛いミスがあるかも)。
ちなみにやるきのあった前半戦はこちら
BC前半戦。

Breeders' Cup Mile(USA-G1 T8f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Ad Valorem (20-1) Aidan O'Brien Jamie Spencer
2 Silent Name (20-1) Gary Mandella Victor Espinosa
3 Araafa (9-2) Jeremy Noseda John Velazquez
4 Sleeping Indian (20-1) John Gosden Alex Solis
5 Free Thinking (15-1) Douglas Danner Jose Santos
6 Echo of Light (10-1) Saeed bin Suroor Frankie Dettori
7 Aragorn (Ire) (5-1) Neil Drysdale Corey Nakatani
8 Badge of Silver (12-1) Bobby Frankel Edgar Prado
9 Rob Roy (15-1) Sir Michael Stoute Ramon Dominguez
10 Miesque's Approval (10-1) Marty Wolfson Eddie Castro
11 Super Frolic (15-1) Vladimir Cerin Shaun Bridgmohan
12 Gorella (Fr) (4-1) Patrick Biancone Julien Leparoux
13 Librettist (6-1) Saeed bin Suroor Cri Soumillon
14 Aussie Rules (10-1) Aidan O'Brien Garrett Gomez

George WashingtonがClassicに回ったので俄かに混戦模様になったMile。一周7fという小回りコースに6頭の欧州調教馬が挑むことに。
昨年夏にD Loder師の下からN Drysdale師の下へ移籍して開花した現在重賞4連勝中であるAragornが一番手か。北米移籍後は7戦5勝2着2回。内訳もG1を2勝、G2を3勝、それぞれ2着が一回ずつ。余談だが負けた二頭(Milk It Mick, Charmo)は元欧州馬で、その二頭にちゃんと後にリベンジしてる辺りがえらい。それよりもオッズ上で支持されているGorellaもやはり欧州からの移籍馬。昨年夏にJ Roualle師の下からP Biancone師の下へ移籍。元々Prix du Moulin de Longchamp(FR-G1 T1600m)で2着など結構走っていたが、今年に入ってからは5戦4勝、現在は重賞3連勝中。Bevely S.(USA-G1 T10f)を勝ったために一時はFilly & Mare Turfの方にも色気を見せていたが、そちらは1f長いと判断してのMile参戦となった模様。
欧州勢ではCoolmore, Godolphinからはそれぞれ二頭ずつ。George Washingtonを引っ込めたCoolmoreはAussie Rules, Ad Valoremの二枚で勝負。Aussie RulesはPoulainsの後はいまいちさんに成り下がっていた(といっても一応全部勝ち馬から3馬身以内だったりする)が、Shadwell Turf Mile(USA-G1 T8f)で見事に復活の勝利。「このお馬さんでも勝負になるかも」という面はあってのGeorge Washingtonの回避ではあったのだろうと。Ad Valoremはシーズン緒戦のGladness S.(IRE-G3 T7f)でどうしようもない位負けてた(約31馬身差。何か理由あったんだっけ?)にも関わらず、Queen Ann S.(GB-G1 T8f)ではかなりお行儀の悪いところも見せつつだが復活の勝利。こちらは昨年Shadwell Turf Mile→BC Mileというローテーションで6着、9着。今年はどこまで。
対するGodolphinからはLibrettistとEcho of Lightがスタンバイ。前者は1年8ヶ月振りにこの夏復帰後にPlix du Jacques le Marois(FR-G1 T1600m), Prix du Moulin de Longchampを含む5連勝を記録。Queen Elizabeth II S.(GB-G1 T8f)は5着に敗退したが、まだ底は割れていないと見るか。実は夏馬とかいうオチがあったりして。後者のEcho of LightはDubai Millenniumの忘れ形見と名高いお馬さん。デビュー時からひっそり見守っているので感慨深いものがある。前走はピカレスクコートに完勝って書くとスケールが小さく見えるが、この一年でかなり成長していると思われます。L Dettoriがこっちを選択したのでLibrettistはC Soumillonが騎乗予定。
今年の正月にDanzigが亡くなったので、Ad ValoremとLibrettistが大ハッスルすると夢見ている自分がいます。


Breeders' Cup Distaff(USA-G1 D10f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Round Pond (15-1) Michael Matz Edgar Prado
2 Pine Island (5-1) Shug McGaughey Javier Castellano
3 Healthy Addiction (10-1) John Sadler Victor Espinoza
4 Sharp Lisa (15-1) Doug O'Neill Patrick Valenzuela
5 Lemons Forever (30-1) Dallas Stewart Mark Guidry
6 Spun Sugar (10-1) Todd Pletcher Mike Luzzi
7 Fleet Indian (8-5) Todd Pletcher Jose Santos
8 Baghdaria (30-1) Tom Amoss Rafael Bejarano
9 Pool Land (10-1) Todd Pletcher John Velazquez
10 Hollywood Story (20-1) John Shirreffs David Flores
11 Bushfire (6-1) Eddie Kenneally Alex Solis
12 Asi Siempre (15-1) Patrick Biancone Julien Leparoux
13 Happy Ticket (12-1) Andrew Leggio Jr. Garrett Gomez
14 Balletto (6-1) Tom Albertrani Corey Nakatani

ここもT Pletcher師が持っていきそうなレース。Fleet Indianは現在8連勝中で重賞5連勝中。ベイヤーも高い指数を叩き出しており、相対的に見ると今回のBCでは最も堅い本命である。浮上してくる展開は違うと言えども、こちらがコケでもSpun SugarやPool Landがいるわけで、こことJuvenileを落とせばフラ(ryのPletcher版の言葉ができることだろう。プレ(ryみたいな。Lemons Foreverが女版Giacomo(この地であの時のことを思い出せ!!みたいな)となれるかどうか(もはやGiacomoが勝つみたいな言い方だが)はまた別の話として、個人的にはGodolphinの執念の塊のようなBalletoの復活に期待したい。前走でのFleet Indianとの接戦は、さしづめ「04年のBC前のGhostzapperに対するSaint Liam」という風に好意的に解釈したいと思う。もっとも、10fは少し長いとは思うが。


Breeders' Cup Turf(USA-G1 T12f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Go Deputy (6-1) Todd Pletcher Olivier Peslier
2 T. H. Approval (15-1) Eduardo Inda Alex Solis
3 Icy Atlantic (30-1) Todd Pletcher Mike Luzzi
4 Scorpion (6-1) Aidan O'Brien Mick Kinane
5 Rush Bay (20-1) Thom Amoss Rafael Bejarano
6 Cacique (Ire) (4-1) Bobby Frankel Edgar Prado
7 Hurricane Run (3-1) Andre Fabre Christophe Soumillon
8 Better Talk Now (12-1) H. Graham Motion Ramon Dominguez
9 Red Rocks (10-1) Brian Meehan Frankie Dettori
10 English Channel (7-2) Todd Pletcher John Velazquez
11 Silverfoot (30-1) Dallas Stewart Mark Guidry

ここで7着以下に負ければ種牡馬として父以上の大成功を収めるまでは「親父の劣化コピー」と言われ続けることがほぼ確定しているHurricane Runのラストランに注目。1番人気ではあるが、小回りといい信用できない部分はあるが、馬場が渋ったのは好材料ととっていいか。ここでもPletcher二騎は強力布陣であって、Caciqueとは違い「向こうで走ってない」分だけプラス要素を期待したい。Caciqueはもう血で走るんじゃないか(なげやり)。ScorpionはGrand Prix de Paris(FR-G1 T2400m)のレコードの印象が強過ぎて「馬場が良くないとだめ」みたいな気がしてくるわけ(ちょうどHurricane Runとは逆の印象)だが、特にそういうわけでもないだろう。むしろ馬場が良い方が良さそうなのはRed Rocksの方であるとさえ言える。何か一発をやるとしたら、再びBetter Talk Nowが目覚めるとか・・・ないか。とにもかくにもThe Tin Manが回避したのが残念だったなと思うわけで。


Breeders' Cup Classic(USA-G1 D10f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Brother Derek (30-1) Dan Henricks Alex Solis
2 Premium Tap (30-1) John Kimmel Edgar Prado
3 Bernardini (Even) Tom Albertrani Javier Castellano
4 George Washington (10-1) Aidan O'Brien Michael Kinane
5 Lawyer Ron (20-1) Todd Pletcher Patrick Valenzuela
6 Perfect Drift (20-1) Murray Johnson Garrett Gomez
7 David Junior (10-1) Brian Meehan Jamie Spencer
8 Lava Man (6-1) Doug O'Neill Corey Nakatani
9 Giacomo (30-1) John Shirreffs Mike Smith
10 Flower Alley (30-1) Todd Pletcher John Velazquez
12 Invasor (Arg) (5-1) Kiaran McLaughlin Fernando Jara
13 Suave (30-1) Paul McGee Kent Desormeaux
14 Sun King (15-1) Nick Zito Rafael Bajarano

有名なお馬さんが多いので戦績などの詳細は割愛。
Godolphinに関連する二頭が大人気。Bernardiniは無敵の快進撃を続けているが「やっぱA. P. Indyだしな」というのが頭をよぎる。戦績自体は立派(G1を3つ勝ってる、しかも圧勝ばかりのお馬さんに対して失礼)だし、勝ちっぷりも文句のつけようがない。しかし、どうしてもGhostzapperのような「ふてぶてしい程の凄み」を感じないのは私だけか。これで引退だろうけど、非常に惜しい。もう片方はInvasor。ウルグアイでの無敗の三冠、同国過去最高額のトレードマネー、そんな話を一瞬で無に帰してしまったかに見えたUAE Derbyだったが、名前の通りその後の3連勝が凄かった。Track Announcerをして「INVASOR because he's GREAT!」と言わしめた同馬は、結果的に回避せざるを得なかったJocky Club Gold C.(USA-G1 D10f)前の頓挫が痛かった。Lava Manはきっと中の人が変わったんだという程の変わりっぷりで、芝もダートもこなして現在6連勝中。G1も4連勝を飾った。西のプレップと言えばコレ!!としか言いようのないGoodwood Breeders' Cup H.(USA-G2 D9f)もきっちりと勝って、もはや西海岸でだけ強いお馬さんという雰囲気ではなくなってきた。
伏兵からは約束の地できっとあの時のことを思い出す「はず」のGiacomoと、このレースに出る度にどんどん着順を上げていっているPerfect Drift(今回が2着だったらもう笑うしかない)、欧州馬ならばDavid Juniorの血統にかけるしかないかなと。George Washingtonが勝ったりしたら、それはもう一番驚く。が、母父Alyshebaなんだよなぁ。

BC前半戦。

2006-11-04 00:51:23 | 競馬
今前半戦を出したら後半戦を出すのはいつなんだよ(挨拶)。
予想してないのに予想カテゴリにトラバというのもオツなもの。

Breeders' Cup Juvenile Fillies(USA G1 D8.5f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Dreaming of Anna (4-1) Wayne Catalano Rene Douglas
2 Sutra (20-1) Michael Stidham Mike Luzzi
3 Cash Included (3-1) Craig Dollase Corey Nakatani
4 Octave (6-1) Todd Pletcher Garrett Gomez
5 She's Included (15-1) Christopher Paasch Victor Espinoza
6 Bel Air Beauty (8-1) Frank Brothers Fernando Jara
7 Cotton Blossom (10-1) Todd Pletcher John Velazquez
8 Lilly Carson (30-1) Ralph Nicks Cornelio Velasquez
9 Adhrhythm (12-1) Ed Plesa, Jr. Edgar Prado
10 Her Majesty (10-1) Patrick Biancone Julien Leparoux
11 Sutalagi (20-1) Stan Moore John Egan
12 Appealing Zophie (10-1) Scott Blasi Shaun Bridgmohan
13 Quick Little Miss (30-1) Mel Stute Jon Court
14 Gatorize (30-1) Helen Pitts Mark Guidry

ここ4年間、1番人気馬が勝っているJuvenile Filles。
今年は西海岸のCash Includeが1番人気。Meidenを4着、1着した後、人気薄ながらも03年Halfbridled, 04年Sweet Catomineが勝ち最重要プレップと言えるOak Leaf S.(USA-G1 D8.5f)を5馬身近い差で圧勝した。ベイヤー指数も93と高い評価を受けており、Monsterと言わしめたHalfbridledや同じく鞍上C NakataniだったSweet Catomineと比較しても遜色無いかもしれない。また、2着だったがPoint Given産駒のPoint Ashley(個人的にはこっちの方が大物感があるような気も)が回避してしまったのは残念の一言。対するDreaming of Annaはデビューから3連勝。Woodbineまで行って牡馬相手に芝のSummer S.(CAN-G3 T8f)を3馬身1/4差で快勝した。叔父に一昨年のEclipse Awardの最優秀芝牡馬を獲得したKitten's Joyがいる。未勝利ながらKeeneland競馬場ポリトラックコース開幕日のAlcibiades S.(USA-G2 D8.5f)で強烈な追い込みを決め単勝48倍余りのロングショットを演出したBel Air Beautyが少し離れた3番人気。勿論鞍上は前走と同じく今年InvasorやJazilでブレイクした若干18歳のF Jara。Alcibiades S.では敗退したものの、Appealing Zophie, Cotton BlossomというSpinaway S.(USA-G1 D7f)の1, 2着馬が人気を集めている。


Breeders' Cup Juvenile(USA G1 D8.5f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Street Sense (20-1) Carl Nafzger Calvin Borel
2 Stormello (6-1) Bill Currin Kent Desormeaux
3 Scat Daddy (4-1) Todd Pletcher John Velazquez
4 King of the Roxy (12-1) Todd Pletcher Edgar Prado
5 C P West (15-1) Nick Zito Rafael Bejarano
6 Principle Secret (5-1) Chris Paasch Victor Espinoza
7 Great Hunter (9-2) Doug O'Neill Corey Nakatani
8 Teuflesberg (15-1) Jamie Sanders Robby Albarado
9 Circular Quay (5-2) Todd Pletcher Garrett Gomez
10 Pegasus Wind (15-1) D. Wayne Lukas Mike Luzzi
11 Got the Last Laugh (20-1) Bill Mott Rene Douglas
12 U D Ghetto (50-1) Anthony Reinstedler Mike Smith
13 Malt Magic (30-1) Bob Baffert Jon Court
14 Skip Code (50-1) Mark Casse Patrick Husbands

今年'も'好調なT Pletcher師の管理馬が3頭。まずはHopeful S.(USA-G1 D7f)で離れた最後方からとんでもない追い込みを決めたCircular Quay。プレップはBreeders' Futurity(USA-G1 D8.5f)を選択して圧倒的な1番人気に推されたが、慣れないポリトラック馬場と他馬と何度も接触するアクシデントが重なったのが原因か、Great Hunterの2着に敗れた。Hopeful S.では僚馬Circular Quayに完敗したものの、Champagne S.(USA-G1 D8f)ではPletcher師の年間ステークス勝利新記録となる93勝目を飾ったScat Daddyが続く。北米ファーストサイアーランキングの首位をひた走るJohannesburg産駒。人気は少し離れるが、第三の矢King of the RoxyはFuturity S.(USA-G2 D7f)を制している。こちらはValid Appealの仔であるLittleexpectations産駒というのが渋い。
これに対するのがGreat Hunter, Principle Secret, Stormelloというところ。Great Hunterは重賞で3連続2着の後にBreeders' Futurityを勝利。Norfolk S.(USA-G2 D8.5f)をもぎ取ったStormelloはK Desormeauxが西海岸にわざわざ出張する程の期待馬・・・かな。Principle SecretはNorFolk S.では2着だったが、Best Pal S.(USA-G2 6.5f)ではこの2頭に圧勝している。つまるところ、この3頭は西海岸の2歳重賞の常連であり、勝ったり負けたりの仲なのである。


Breeders' Cup Filly & Mare Turf(USA-G1 T11f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Dancing Edie (30-1) Craig Dollase Corey Nakatani
2 Ouija Board (GB) (8-5) Edward Dunlop Frankie Dettori
3 Mauralakana (15-1) Patrick Biancone Julien Leparaux
4 Film Maker (6-1) H. Graham Motion Ramon Dominguez
5 Honey Ryder (4-1) Todd Pletcher John Velazquez
6 Quiet Royal (30-1) Carlos Parias Olivier Pesslier
7 Wait a While (3-1) Todd Pletcher Garrett Gomez
8 My Typhoon (20-1) Bill Mott Robby Albarado
9 Satwa Queen (12-1) J. de Roualle Thierry Thulliez
10 Germance (12-1) J. Rouget Christophe Soumillon

Ouija Boardを除けばT Pletcher師の2強対決。そしてOuija Board陣営の嫌がる馬場悪化の条件付きとなりました。スクラッチはしないだろうけど、果たして。
Ouija Boardは今年既に8走目。約7ヶ月間に華麗なる復活を遂げつつ8走というのは相当タフな証拠だが「今年最高のパフォーマンス」と名高いNassau S.(GB-G1 T9f192y)でのAlexander Goldrunとの鬼気迫る一騎打ちやこちらも大接戦だった前走Irish Champion S.(IRE-G1 T10f)など、疲れが心配される。加えてこの雨。今まで'表示上'一番馬場の悪かったのは一昨年のこのレースのYielding。昨年は1f短かったが、今年はまた1f延長されてOuija Boardにとっては願ったりなわけだが。さて、Ouija Boardを阻止する予定のPletcher二騎も強力。Wait a Whileの強さは日本人にはAmerican Oaks(USA-G1 T10f)の圧勝で証明済みだが、前走古馬との初対決となったYellow Ribbon S.(USA-G1 T10f)でも4馬身半差の圧勝。Kentucky Oaks(USA-G1 D9f)3着以後の芝3戦は全て4馬身以上の差をつける圧勝続き。もう一方のHoney RiderもFlower Boel Invitational S.(USA-G1 T10f), E. P. Taylor S.(USA-G1 T10f)とG1を2勝している。
その他には'古豪'と言ってよいであろう昨年3着、一昨年2着のFilm Makerは今年の夏にG1を2着2回と徐々に調子を上げてきている。個人的にはGalileoの半妹であるMy Typhoonに頑張って欲しいところ。とはいえ、今年も結局欧州からの遠征、移籍のお馬さんにやられてしまうのではないかと何となく思ってはいる。


Breeders' Cup Sprint(USA-G1 D6f)
Post/Name/ML/Traner/Jockey
1 Thor's Echo (10-1) Doug O'Neill Corey Nakatani
2 Friendly Island (30-1) Todd Pletcher Ramon Dominguez
3 Lewis Michael (30-1) Wayne Catalano Rene Douglas
4 Henny Hughes (2-1) Kiaran McLaughlin Julien Lapareaux
5 Areyoutalkintome (30-1) Doug O'Neill Victor Espinoza
6 Bordonaro (3-1) Bill Spawr Patrick Valenzuela
7 Nightmare Affair (30-1) Manuel Azpurua Edgar Prado
8 Pomeroy (8-1) Marty Wolfson Eddie Castro
9 Too Much Bling Bob Baffert Garrett Gomez
10 War Front (12-1) H. Allen Jerkens Jose Santos
11 Siren Lure (10-1) Art Sherman Alex Solis
12 Malibu Mint (30-1) James Chapman Kyle Kaenel
13 Attila's Storm (20-1) Richard Schosberg Cornelio Velasquez
14 Kelly's Landing (20-1) Eddie Kenneally Rafael Bejarano

毎年最も難解で、昨年Lost in the Fogがぶっ飛んだのも記憶に新しいこのレース。
今年の前評判は3歳馬Henny Hughesと古馬Bordonaroの完全な一騎打ち(モード)。Henny Hughesは昨年から活躍していたが、今年は結果的にUAE Derby(UAE-G2 D9f)に出られなかったことがプラスになったと考えればいいだろう。7月の復帰からJersey Shore Breeders' Cup(USA-G3 D6f), King's Bishop S.(USA-G1 D7f), そして古馬との初対決となったVosburgh S.(USA-G1 D6f)もWar Front以下を下して難なく3連勝。未だに連対率は100%を誇っている。対するBordonaroはここ最近勝つ時は必ずベイヤー指数115以上をマークしており、中でも前走Ancient Title Breeders' Cup H.(USA-G1 D6f)の119は今年No.1の値を叩き出した。個人的にSunshine Millions Seriesのどれかを勝ったお馬さんがより出世すると好きになっちゃうので、気になってしまう。3番人気になるであろうPomeroyは馬場がこのまま渋っていれば怖い存在か。Commentateor, Dubai Escapadeが回避してしまったので個人的な興味を殺がれてしまったが、警戒すべき伏兵として1972さんが挙げられていたThor's EchoとKelly's Landingの内、Dubai Golden Shaheen(UAE-G1 D5f)で2着に食い込んだ前者を推したいと思う。

どーぴんぐって何だろね。

2006-10-20 07:31:44 | 競馬
まさかあの場で一発カマすなんて大それたことはせんだろ。

IMPACT FAILS DRUGS TEST

さてさて、ディープインパクトからipratropiumが検出されたって話です。まず、大概検出されて事件になる競走馬の禁止薬物には大きく分けて四つ位あるかなという感じ。「ステロイド系の身体を作つやつ」「非ステロイド系の抗炎症剤関係」「興奮剤一般」「呼吸器系のお薬の成分」です。この中でもステロイド系で身体を作ったり、興奮剤を常用してるなんてのはダメですが、非ステロイド系の抗炎症剤や呼吸器系のお薬は常用されております。なんつってもお薬なんですから。

今回問題になっているのはこの4番目の「呼吸器系のお薬」です。最近これ系では03年のMiddle Park S.でのThree Vallys、Queen Ann S.でのTillermanとKhalid Abdulla殿下のお馬さん(二頭ともJuddmonte Farm名義だけど。ついでに言うと今年ならRail Link持ってる人ね)から検出されてちょいと問題になりました。で、昨日の報道ステーションでFrance GalopのNo.2の方が「吸入の治療時に医師の指導に従わなかった可能性が云々」とは言っていたのですよ。でも、この二例は「製薬会社のガイドラインに従ったけど検出されてしまった例」なのですよ。両頭に用いられたのは肺に溜まった粘液の為のお薬(多分気管を拡張させて息をし易くするってことかと)であるクレンブテロールという成分ですはい。

この場合も製薬会社のガイドラインをきっちり守ったとは主張していたものの、Three Valleysのクレンブテロールの場合は製薬会社のガイドではレースの6.5日前に使用をやめればOKだったはずなのに、実際は9日前に使用をやめていたにも関わらず二回の検査で陽性反応が出たことでアウト。この場合は英国だったので二つの検体から二度の検査が行われた結果アウトだったのですが、今回の場合も仏国と香港で二度検査をやった上で両方陽性だったようなのでどうやら失格が確定的でしょうと。


閑話休題。

この手のドーピングについては最近の流れとしては「非ステロイド系抗炎症薬」と「呼吸器関係の薬」に大概二分されてまして、欧州では後者が、アメリカでは前者が圧倒的に多いのです。数ヶ月前にケンタッキー州が出した見解についての記事

http://blog.goo.ne.jp/rosettastonejp/e/87a03e12f8c3fef6b224cd20d097443b

があって、薬物によっては代謝が遅くて検出されちゃうこともあるから気を付けなさいとか言ってます。

今年のDubai World CupでBlass Hatから検出されたのがこれ系のmethylprednisoloneなのです。昨年夏にRapid Proofから検出されたのはdexamethasoneでしたか。 アメリカにはネゴシエーターがわざわざ移籍したように、この呼吸器系については結構緩いという記憶がありまする。一般的に薬物汚染がかなり進んでいると言われていましたが、昔は規制が緩かった東海岸を中心に今はかなり厳しくなっているようです。

結局のところ「いかなる理由があろうとも体内に残存していればその恩恵を受ける可能性は否定できない」わけだからねぇ。どうにもならんわなと。日本の定めている52種類というのは「身体に入ったらまず間違いなく競走能力を高める」ってやつで、欧州のガイドラインの基本指針は「身体に入ったら競走能力を高めそうなやつ全部」ってとこでしょう。今回のはその辺りの「ドーピングについての見解の相違」が表面化しちゃった例なのかなと。

日本の競走馬理化学研究所のドーピング検査は正鵠無比をもって知られる(過去に某オリンピックのドーピングを発見したのは有名な話か)わけですが、変なとこからケチがついちゃったなというお話。とりあえず理化学研究所をせめるのは間違ってると思いますよはい。

はじめての凱旋門賞。

2006-10-01 00:58:51 | 競馬
mixiにあげた他愛もない記事をこちらにもアップしろとすすめられたので。

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さて、今晩は凱旋門賞です。今回はあんまり競馬に興味が無い人向けに書こうかと。

最近よく「ディープインパクトがフランスの凱旋門賞に行く」と様々なところで見かけます。

まず、ディープインパクトってのは昨年の『三冠馬』今の日本で一番強いとされてるお馬さんです。
一番速い馬が勝つと言われる『皐月賞』、一番運の良い馬が勝つと言われる『日本ダービー』、一番強い馬が勝つと言われる『菊花賞』。三歳時にそれぞれ一回だけ出られるこの三冠レースを全て勝ったお馬さんにのみ『三冠馬』の称号が与えられます。過去七十数年の歴史に於いて、ディープインパクトを含むたった六頭だけがこの快挙を達成しています。前回は94年のナリタブライアンでした。ディープインパクトはそれに加えて『無敗』の状態で三冠レースを制しまして、こちらは84年のシンボリルドルフ以来二頭目となります。ちなみに海外の競馬メディアの表記を見ると三冠それ自体よりも『無敗で三冠馬になった』ことにより焦点があてられている感じがします。以前はよくunbeaten japanese triple crown horseなんて書かれてました。

さて、三冠レースのあとは毎年暮れ(昨年はクリスマス)に行われる『有馬記念』に出走しましたが、ハーツクライというお馬さんに負けてしまいます。しかし、年が明けてからは再び快進撃を続け『天皇賞・春』『宝塚記念』などの大レースを総ナメにしましたが、ハーツクライはそこにはおらず、海外を転戦していました。

話はガラッと変わります。
『日本以外にどこの国で競馬やってるの?』というのはよく聞かれる疑問の一つですが、大概どこでもやっていますと答えます。日本近辺でも、韓国、香港、マカオ、シンガポール、マレーシア、タイなどはよく聞きます。中国大陸でも「政府非公認」ながら暗黙の了解といった感じで開催されています。たまに現場に警察が踏み込んだりして騒ぎになったりするのはご愛敬といったところです。政治、宗教に左右されることは多々ありますが、ギャンブルしちゃダメなイスラム教の盛んな西アジアでも、例えばサウジアラビアやUAEなんかでもやってます。この辺りは王族主導の道楽競馬って感じではありますが。UAEの場合は観光立国の目玉の一つとして、という意味合いも強いです。

そのUAEの首長国の一つであるドバイで春先に行われるドバイワールドカップというレースがあります。世界最高賞金額のレース(総賞金600万$)でまさにオイルマネーの凄さを見せ付けられるばかりですが、そのアンダーカードも充実しています。その内の一つのレースを今年勝ったのが先程「海外を転戦している」と書いたハーツクライです。これを勝って「世界レベル」ときちんと認められた、という感じではないかと思います。

さて、ヨーロッパは『芝』のレースが中心で、北米は『ダート(土のような砂のような)』のレースが中心です。この違いについてよく書かれるのが、競馬の成り立ちが欧州の場合は『貴族同士が個人的に私有地で行ったもの』であることから『芝』で、逆にアメリカは『一般大衆のエンターテイメント』として、立地条件のよく、交通の便の良いところに競馬場を置いたために、そこに芝が都合よくあるわけはなく、芝を根付かせるのと砂や土を振りまくのでは後者が圧倒的に簡単なので『ダート』中心になったというのが一般的な説です。ちなみに日本はヨーロッパを範としたので『芝』がメインとなります。

芝のレースで権威の高いレースというのが世界中で幾つかありまして、イギリスならば『ダービー』と『キングジョージ』と呼ばれるレース、フランスの『凱旋門賞』、ちょっとおまけでアメリカの『ブリーダーズカップターフ』などです。日本のジャパンカップも有名ではあるのですが、『賞金もレベルも高いレースなんだけど』という認識に留まっている感じです。いわゆる『一流半』という表現がちょうど当てはまるでしょうか。現在の日本の位置付けを体現しているようなレースと言えます。また、ドバイワールドカップなどはダートのレースなのですが、最近は芝もダートも走れるお馬さんが持て囃される傾向があることから、将来種牡馬となって種を残す為に、芝もダートも走れるお馬さんを目指す一流馬も少なくありません。

さて、日本のホースマンの兼ねてからの夢として『凱旋門賞を勝ちたい』というものがあります。もちろん『日本ダービーを勝ちたい』というのが当面の目標としては一般的なのですが、最近は調教師や騎手などでも最初からこの目標を掲げる方も多くなっています。いつかは世界に通用する馬を、というのが生産にしろ調教にしろレースにしろ、全ての合言葉みたいなものであったのですが、実情はもはや世界レベルにあることは間違いありません。欧州、北米の二大拠点に加えて、日本も少し離れた三つ目に入れても問題無い程度のレベルであるといっても過言ではないでしょう。生産、調教頭数などを考えると、近年の活躍ぶりは目を見張るものがあります。そして勿論、海外のホースマンもそう認識しています。

ドバイワールドカップのアンダーカードであるドバイシーマクラシックを勝ったハーツクライは次走に『キングジョージ』を選択しました。そう、権威ある幾つかのレースの内の一つとして先程挙げたレースです。この時は戦前から『三強対決』などと言われ、結果的には差の無い三着だったのですが、勝ったのは昨年の凱旋門賞の勝ち馬であり、欧州年度代表馬であるハリケーンラン、二着は今年のドバイワールドカップを勝ったエレクトロキューショニストでした。これにより「やはりジャパニーズホースは伊達ではない」ということがきちんと証明されたと言えると思います。

実は、日本調教馬はこれまでにも何頭か凱旋門賞に挑戦しています。その中で唯一、凱旋門賞で惜しい二着になったお馬さんがいます。エルコンドルパサーというお馬さんで、99年にモンジューの二着でしたが、その年の凱旋門賞は『勝ち馬が二頭いた』と言われ、かなり高い評価を受けました。

ハリケーンランはこのモンジューの息子で、着順は違うものの今年の出走レースは父と全く同じです。そういった意味でもディープインパクトの前に立ちはだかる姿に七年前を重ね合わせる人もいるかもしれません。エルコンドルパサーはアメリカ産馬をセリで購入したのですが、ディープインパクトは日本生産馬であるというのも、ワールドカップやオリンピックなどで異常に盛り上がるというお国柄である日本のナショナリズムを象徴するものでありましょうか。

そしてもう一頭、シロッコというお馬さんがいます。こちらはドイツ産馬でして、昨年アメリカの『ブリーダーズカップターフ』を勝ったお馬さんです。考えると、ディープインパクトの父サンデーサイレンスはアメリカの年度代表馬で、母ウインドインハーヘアの一番大きなレースの勝ち鞍はドイツのレースだったりする(しかも、ディープインパクトの年の離れた兄を身籠った状態での勝利)のです。これもまた、何か因縁めいたものを感じられずにはいられないのではないでしょうか。

今のところはハリケーンラン、シロッコにディープインパクトを加えた三頭の争いだと見られています。レースの模様は本日、日本時間の24時過ぎにNHKで放送されます。お時間があったら、チャンネルを合わせてみて下さい。

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もちっと海外競馬が好きな方はこちら
ブローニュの森は熱く燃ゆる(06/9/30)
をご覧下さいませ。独り言が書いてあります。

ブローニュの森は熱く燃ゆる。

2006-09-30 00:31:20 | 競馬
さてようやく出走メンバーが確定したようなのでちと書いてみようと。

Prix de l'Arc de Triomphe Lucien Barriere (Group 1) (Colts & Fillies) (3yo+)
馬番/枠/近走/馬名/間隔(日)/調教師/齢/斤量/騎手
1/2/112-111/Deep Impact/98/Y Ikee/4/59.5/Y Take
2/1/1-1212/Hurricane Run/2/A Fabre/4/59.5/K Fallon
3/6/341-111/Shirocco/21/A Fabre/5/59.5/C Soumillon
4/5/22-4113/Pride/21/A De Royer-Dupre/6/58/C-P Lemaire
5/4/U21111/Rail Link/21/A Fabre/3/56/S Pasquier
6/8/617311/Sixties Icon/3/56/L Dettori
7/7/133611/Irish Wells/35/F Rohaut/3/56/D Boeuf
8/3/2-1281/Best Name/15/Robert Collet/3/56/O Peslier

とこんな感じになりました。

Shiroccoはどちらかといえばワンペースで粘りきる競馬が合っており、Hurricane Runの優位性というのは相対的な意味での馬群を割れる二の脚にあるのであろうと。このFabre二機に対してしいて言うのであればディープインパクトはShirocco的な「他を意識しない」という意味で絶対的な末脚を持っている。この絶対とは絶対に差し切るなどという意味ではなく、確実に伸びてくるということ。最終的に「飛べるかどうか」は周囲の上がりの時計に依存するわけだが、前が速く引っ張ってくれればくれる程ディープインパクトにとっては有利になるのは間違いなく、無駄な方向転換をしないためにはフォルスストレートを抜けた時点で前には1, 2頭しかいないというのが理想ではないだろうか。ShiroccoはCoronation C.(GB-G1 T12f10y)で示した硬い路面(一応Goodではあった)にも対応できる新しい能力というのは、二年前のArcを回避した時のことを考えると、非常に感慨深いものがある。対するHurricane Runは父親の陰の部分を背負っているイメージ、かつ臨戦過程も同じで着順が劣るために「縮小コピー」などと陰口を叩かれる反面、Good to Firmの馬場でKing Georgeを勝ちきったというのは父親に無い面であり、この両頭とも既にチャンピオンホースたる資質を備えている(後者は既にチャンピオンではあるが)のは間違いない。

この三頭を除くと、浮上してくるのはやはりRail LinkとPrideになるだろう。まはる殿下がおっしゃっている展開の鍵となりそうなPrideの出方(凱旋門賞展望(その3)@殿下執務室)というのは、後ろからソッと忍び寄るようにも、離れた後方からズバッと刺す(あえてこの字で)こともできる脚を持ちながらも、唯一ディープインパクトを負かしたことのあるC Lemaireが手綱をとることから非常に気になるところではある。調教師からの注文が比較的無茶(正攻法を貫くことが美徳とされるらしいという意味で)だと言われる国においても、あえて前につける競馬を試みるかもしれないというのもあながち有り得ない話ではない。逆にShiroccoやHurricane Runが後方からというのは人気を背負ったものとしてはあまり考えられない。Rail LinkはGrand Prix de Paris(FR-G1 T2400m), Prix Niel(FR-G1 T2400m)を勝ち、3歳代表ということで衆目は一致しているので下手な奇策は打てないはず。Fabre師が古馬二機には敵わないと言うならば素直にそれを信じるしかなかろうと。Rail Linkと比較した場合、Prideの有利さというのはこの「気負いの無さ」にもあるのではなかろうか。オーナーは違うもののMandeshaが回避したことによってRoyer-Dupre師の期待を一心に背負う形にはなったが、勝っても勝ってもいまいち人気の出ない気楽さはこういった大舞台には得てしてプラスに作用するものだろう。

別路線組として挙げられるSixties Iconなのだが、St. Legerを見る限りでは持続する脚が持ち味としか言えない部分がある。昨年のScorpionもそうだが、10-12fのタイトなレースと13f以上の緩いレースの間には経験値にも雲泥の差が出てしまうのだろう。Derby S.(GB-G1 T12f10y)を経験している(7着)とは言えど、上位4頭の接戦からは5馬身離されての入線なだけに、過度の盲目的なDettori信仰にもほどがあるかと。Irish Wellsは先行脚質であり、ペースメーカー代わりになりそうな予感。個人的にPrideと並んで怖いと勝手に思ってるのは前が競り合うようなガチンコの展開になった時のBest Nameの末脚だったりするわけで。

高地からのお便り。

2006-09-13 22:47:52 | 競馬
Quitoというお馬さんがおります。9歳牡馬で現在のところ108戦20勝2着14回3着10回という成績を誇っておりまして、まぁここまでならば「長く活躍しているお馬さん」で済むわけなのですよ。Listedを7勝もしており、日本にもよくいるタイプの「OP特別大将」かと思いきや、実はこの歳になって今までにない大活躍を始めたのです。

元来、英・愛・仏辺りでは短距離や長距離の路線においては重賞路線の整備が素晴らしく整っています。しかし、その路線には種牡馬になれない高齢馬がわんさかいるという実情があります。こういった路線からそれこそ「上がり」となって抜けるには、短距離だとG1を複数勝つことが必要となります。しかし、毎年生きのいい3歳馬が「ギニー路線はちょっと長いなー」とか言いつつシマを荒らしに殴りこんでくるわけでして、なかなかG1を勝つのは難しい。たまにひょっこりと高齢馬が勝つことも度々あるわけでして、そういった時は長年走っているお馬さんの面目躍如の喜びを噛み締めつつ戦績を見てそれぞれの「歴史」を味わったりするのもオツなものだと思います。

さて、件のQuitoなのですが、ここのところすこぶるおしゃれな出走履歴をしております。

06/9/9 Park S.(GB-G2 T7f) 7
06/9/7 Fortune S.(GB-Lis T7f30y) 1
06/9/2 Sprint C.(GB-G1 T6f) 2
06/8/27 Beverley Sprint S.(GB-Lis T5f) 8
06/8/24 City of York S.(GB-Lis T7f) 1

すげぇ。何かもうすげぇ。一昨年にElvstroemに関する出走履歴を書いた時もなかなかやるなと思ったのですが、9歳牡馬がこれをやるというのは何かもう泣けてきます。しかも、これまでは全くG1では歯が立たなかったのにも関わらず、このローテーションの中で初のG1の2着を記録しているのです。

一応JRAの場合には

「一般事項 V 出馬投票について 1. 出馬投票」の中に
(1) 競走(地方競馬指定交流競走を含む。)に出走した日から起算して5日以内に施行される競走については、出馬投票をすることができない。

という規則がありますのでこういった出走はできないことになっています。しかし、これが適用されるのは勿論JRAが主催するレースに限られる(というよりも、次に登録するレースを主催するのがJRAの場合)わけです。例えばこれを、現在Takeover Targetが来てるので盛り上がっている(はずの)Global Sprint ChallengeにあてはめますとRoyal Ascot Meetingの1日目に行われるKing's Stand S.(GB-G2 T5f)と5日目に行われるGolden Jubilee S.(GB-G1 T6f)には出られないことになりますので、あてはめるわけないということです。

さて、このQuitoさんですが、さらに今週土曜日のAyr Gold C.(GB-H T6f)に出走するという話だったのですが、近走の成績から導かれたハンデは146lb(単純計算で66.2kg)ということで、さすがにここは回避する模様です。

Announcing Quito’s non-attendance, David Chapman said that it would be asking too much under 10st 6lb and he was likely to be given a break after five quick races.(racingpostより)
Quitoの回避を告げたD Chapman師は「146ポンド以下を望むのは贅沢だよね。間隔を詰めて5レースつかったから、休息をあげることにするよ」(超意訳)との談。

Quitoさんには末永く活躍して欲しいものです。母親のQirmaziも仏で重賞を幾つも勝ったお馬さんですし、妹のQuarter NoteもPrix de la Grotte(FR-G3 T1600m)の勝ち馬です。良血と言えなくもないと。もしかして来年短距離G1全部勝っちゃってMachiavellianの後継種牡馬に!!なんて妄想であと1年私も頑張っていこうと思います。

余談ですが、エクアドルの首都であるQuitoとLouisville(Kentuckey Derby(USA-G1 D10f)が行われるChurchill Downs競馬場がある町)は姉妹都市の関係にありますね(Mrs様ご指摘thxです)。

C Laffon-Parias師について少々。

2006-09-03 20:23:52 | 競馬
「お前の更新は月一か」と言われそうですが、ちょっと調べ物をしているので、また今度データをアップすることになります。どうでもいいですね。

ディープインパクトさんの遠征の影響で、CMとかもはじまるみたいです。すごいね。まぁそれはおいといて、とりあえずあんまり誰も注目していないところに目をつけてみようと思います。ディープインパクトさんが現在預けられている調教師さんであるC Laffon-Parias師ってどんな人なんだろうなーって話。どっかの雑誌とかに載ってたら勘弁ね。

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Carlos Laffon-Parias師、1963年5月10日スペイン生まれの43歳。

家族は妻のPatrisiaさんがおり、Criquette Head師、つまりマダム・ヘッドとして知られるMme Christiane Head-Maarek(5年程前までは毎年調教師部門の2位だった人。最近ならばAmerican Postで有名か。マニアックなところでは昨年秋のTattersalls October Saleで矢作芳人師(ジェイエスが購買者になってる)とGiant's Causeway×Janet(Emperor Jones), 220,000gnsを最後まで競り合った方)の娘にあたります。その奥様との間に子供が三人ということだそうです。

競馬に関わるバックグラウンドには彼の祖父、叔父、兄が全てスペインのアマチュア騎手だったことが挙げられます。彼も例外無くアマチュア騎手として活躍し、スペインのアマチュア騎手チャンピオンに5度も輝きました。
その後、1986年に彼はChantilly(フランス。Prix du Jockey-Club(いわゆる仏ダービー)やPrix de Diane(仏オークス)の行われる競馬場がある。周辺も含めて大きな調教場となっている)に移り、件のHead師のアシスタントとして働き始めます。恐らく(というか当然)ここで奥様との出会いがあったのでしょう。そして1991年に調教師免許を取得するまでここに滞在しました。
初勝利は1992年10月3日のPrix Horse Racing Abroad(FR T1600m)でDaimioによるものでした。初の国内パターンレース制覇は1995年5月11日のPrix de Saint-Georges(FR-G3 T1000m:仏読みで言うとサンジョルジュ賞)でStrugglerによるもの、国外でのパターンレース制覇はそれから間もない1995年5月26日のBenazet-Rennen(GER-G3 T1200m)、Wessam Princeの勝利によるものでした。
しかし、Group I(Grade制を採用しているのは日本、韓国、北米と中米の一部、南アフリカ(ジンバブエ含む)、東欧の大部分)のレースを制するには多少の時間がかかりました。その間(97年)にサクラローレルを受け入れた厩舎としてもご存知の方も多いかと思われます。
待望の初Group Iレース制覇は1998年10月31日、SpadounによるCriterium de Saint-Cloud(FR-G1 T2000m:クリテリウムドサンクルー)でした。翌年にも牝馬Goldamixでこのレースを制しました。

かつての管理馬としてはLockinge S.(GB-G1 T8f)圧勝後に脚部不安で引退、種牡馬入りしたもののその後の外傷が生殖能力喪失となり再び現役に復帰したKeltos、Preis der Diana - Deutsches Stuten-Derby(GER-G1 T2200m)を制した後に移籍してきたSilvester Lady、米のN Drysdale師の下に移籍後にAtto Mile(CAN-G1 T8f:アットマイル)を制したTouch of the Blues、Falmouth S.(GB-G2 T1600m)を制したRondaなどがいます。

9月1日現在、獲得賞金順で国内第4位、(05年5位, 04年5位, 03年9位, 02年8位, 01年5位, 00年8位, 99年10位, 98年9位, 97年13位, 96年12位)であり、現在管理しているお馬さんは今年のPrix d'Ispahan(FR-G1 T1850m:イスパーン賞)を勝った4歳牡馬Laverock, 昨年のPrix d'Harcourt(FR-G2 T2000m)勝ちの5歳牡馬Delfos, Poule d'Essai des Pouliches(FR-G1 T1600m:仏1000ギニー), Prix d'Astarte(FR-G1 T1600m:アスタルテ賞)で共に2着でPrix de Sandringham(FR-G2 T1600m)勝ちの3歳牝馬Impressionnante, Prix du Muget(FR-G2 T1600m)を勝っている6歳牡馬Krataios, Prix du Bois(FR-G3 T1000m)勝ちの2歳牡馬Sandwaki, 昨年のPrix Miesque(FR-G3 T1400m)勝ちのQuiet Royal(このお馬さんについては後で触れます)、デビューから3連勝で今夜Prix la Rochette(FR-G3 T1400m)に挑戦する2歳牡馬Lykiosなどがいます。

さてさて、以前からO Peslier騎手が専属契約しているシャネルのオーナーであるWertheimer Et Frère兄弟(シャネルのオーナー)の所有馬を預かっていたことからもマダム・ヘッドというよりもその一族の後継者的存在に浮上している可能性もあります(よくは知らん)。その理由はマダム・ヘッドの娘さんが奥様ということ、同時にPrix Maurice de Gheest(FR-G1 T1300m:モーリスドゲスト賞)でのO Peslier騎手の解雇騒動(Wertheimer Et Frère兄弟のお馬さんの中でも騒ぎの発端になったQuiet RoyalなどがHead師の元からC Laffon-Parias師の下へ移籍している)辺りを考慮するとあながち外れではないのかもしれないなと。今後一層の活躍を期待したいな、ということで今回は終わります。


経歴の前半はNTRAの調教師紹介ページを訳しただけなので、そちらを読むのもいいかもしれませんね(自分の存在意義無し)。どうでもいいですが、トラセンの新カテゴリ「凱旋門賞」にトラバすることで、少し魂を売った気がする今日この頃です。

欧州前半局地的回顧

2006-08-19 22:55:50 | 競馬
随分と前に1972さんから言われてはいたのですが、パソコンの不調などで書いたのが全部消えました。MARLさんも最近やられていたので、ひっそりとやってみようと思います。マイルも短距離もコロコロ勝ち馬が変わるんで何とも言いようがありませぬ。Les Arcsは強いんだろうけども。なので、10~12fのみで考える上に昨年と違い至極個人的な回顧になりますのでご注意を。


走った数と存在感は比例しない

「いっぱい走って存在感を示した」のがOuija Boardならば反対に「ほとんど走らないのに存在感を示した」のがShiroccoというところ。

Ouija Boardは昨年のPrince of Wales's S.(GB-G1 T10f88y:York開催だったからこの距離)での大敗からおそるおそる復帰してBreeders' Cup Filly & Mare Turf(USA-G1 T10f)ではR Bejaranoが巧かったのもありますがIntercontinentalに逃げ切られて2着。決してIntercontinentalが弱いわけではない(西海岸ではトップクラスだったし)が、Oaks S.(GB-G1 T12f10y), Irish Oaks(IRE-G1 T12f), Breeders' Cup Filly & Mare Turf(USA-G1 T11f)と勝った3歳時を思い起こせば「こりゃもうだめかな」感は拭えなかったわけです。そして年末の香港で引退という話だったのでJC時にOuija Boardの厩務員さんの「2分22秒台でも走れるよ」発言で思わず笑ってしまったのですが、不利さえなければ3着は充分にあったろうという競馬でした。返す刀でHong Kong Vase(HK-G1 T2400m)を快勝しました。「じゃあドバイまでいくか」ってことでDubai Sheema Classic(UAE-G1 T2400m)では4着でしたがいつの間にか引退の話は立ち消えになり、その後はQueen Elizabeth II C.(HK-G1 T2000m)で3着、欧州に戻ってCoronation C.(GB-G1 T12f10y)でShiroccoに劣るもののEnforcerやAceにはきっちり先着しました。因縁の(昨年は骨折してるし)Prince of Wales's S.(GB-G1 T10f)では逃げ粘るElectorocutionistと伸びあぐむDavid Juniorという中距離のスペシャリスト相手に勝ち、二度目の黄金期の到来を告げる結果となりました。Eclipse S.(GB-G1 T10f7y)ではC Soumillonがきっちりやられて5着に敗れますが、"King George"を回避して臨んだNassau S.(GB-G1 T9f192y)ではAlexander Goldrunとの際どい叩き合いを制して勝利します。

騎手を固定できないというのが表向きの最大のネックであります。例えば今年は既にK Fallon, L Dettori, O Peslier, C Soumillonと4人も乗ってます。そんなこと言ったら実は昨年も4人が乗ってるのですが、Cartier Award Horse of the Yearを受賞した一昨年はK Fallonで固定(当時K FallonはM Stoute師の専属だったため、North Lightが出走したArcに関してはJ Murtaghが騎乗)されており、鞍上の心配はありませんでした。今後はそこがどうなってくるかが一番の問題だと思われます。

もう一つは「10fも12fも走れる」ということで、12fで古牡馬のトップクラスを相手にすると分が悪いのですが、10fならばやれるという辺りが判明しており、King Georgeも最後の最後まで出否を悩んだという経緯があります。どこに出てくるかは12f路線の有力馬の出否によって左右される部分がありますが、次走はIrish Champion S.(IRE-G1 T10f)かPrix Vermeille(FR-G1 T2400m)と言われています。Irish Champion S.はHurricane Run, Electrocutionist, David Junior, Visindarの回避が判明し、残るはDylan Thomas, Alexander Goldrunといったところですので、勝機ありと見てこちらに回ってくることも十分考えられるでしょう。


今後の見どころ
1. Alexandrovaとの対戦
2. あといくつG1を勝てるか


対するShiroccoは戦績ではなく生産面にスポットを当ててみることに。05年シーズンに斜陽のドイツからA Fabre師のもとに移ってきました。今年もPrix Jacques le Marois(FR-G1 T1600m)で2着したManduroもA Fabre師の下に移籍させています。で、オーナーのUllmann男爵(Baron Georg Von Ullmann)のことを全く知らなかった私(失格)なのですが、現在のGestut Schlenderhan(シュレンダーハン牧場)の共同所有者(もう一人は母親か)なのですねぇ。現在はShirocco, Gentlewaveなどを輩出してお馴染みのMonsunをはじめとする種牡馬がいますが、この牧場の真骨頂はそこではなく、A, Sラインという著名な名牝系にあるのでしょう(ここは勉強中だから許して)。殿下かきっと大好きであろうOleanderを生産したのもここよね。さて、このUllmann男爵の自家生産馬であるShiroccoは、昨年ドイツ生産馬としてもはじめてBreeders' Cupを制したわけです。その前の二戦はやはり少し物足りないものではありましたが、Breeders' Cup Turf(USA-G1 T12f)での勝利はそれを補って余りあるものです。多少馬場に左右される面はある(04年のArcは硬い馬場を理由に回避)ものの、Good程度なら何とかなる(そういった意味でもレース直前に雨が降ってGoodだった04年のArcは不運ではあったのかも)わけでして、同厩のHurricane Runとキャラがかぶらんでもない。

後半戦はHurricane Runと目標が同じだということもあり、その出方が注目されます。M Tabor氏とUllmann男爵との駆け引きということになりましょうが、種牡馬入りすることを考えれば、Coolmore StudとGestut Schlenderhanとの駆け引きということになるので、正直間にいるA Fabre師はどう考えているのか知りたかったりします。半ば譲った感のあるGrand Prix de Saint-Cloud(FR-G1 T2400m)を考えると、Shirocco側にトライアル選択の優先権が与えられそうな気はします。秋の始動はPrix Foy(FR-G2 T2400m)かGrosser Preis von Baden(GER-G1 T2400m)かと言われていますが、私は後者ではないかと考えています。おそらく前者はHurricane Runに譲ることになるでしょう。


今後の見どころ
1. 秋初戦はどこになるのか?
2. 結局Hurricane Runとどっちが強いの?


全体的な印象としては「Godolphinの不調」が目立ったなというところか。Electrocutionistもそれなりに頑張ってはいるのだけれど。こんなことを書いていたらLibrettistがPrix Jacques le Maroisを勝っちゃうわCherry MixがRheinland-Pokal(GER-G1 T2400m)で復活しちゃうわとやりたい放題なので後半戦の巻き返しを楽しみにしましょうか。また、3歳勢が不振と言われてはいますが、その辺りの判断は据え置きということで。

戦績で判断すれば間違いなくHurricane Runが一番なのでしょうが、Prideに負けたということでより一層12f路線が面白くなったのもまた確か。同時にその負けた一戦が余分であり「Shiroccoの方が・・・」と思われる要因ともなっています。Hurricane Runが秋までぶっこ抜いちゃうのか、それを止めるお馬さんがどこから出てくるのか、興味は尽きない限りです。


これじゃあんまりなので、これからの見所を幾つか。International S.(GB-G1 T10f88y)が昨年よりももっと低調な面子になることが確定的であり、Hurricane Run, Electrocutionist, David Junior, VisindarもIrish Champion S.を回避することが決定しました。逆にChampion S.(GB-G1 T10f)はElectrocutionist, Sir Percy辺りが出走する気配です。
例年だと
Irish Champion > International = Champion
なのですが、今年に限っては
Champion > Irish Champion > International
となりそうな予感。日本のお馬さんが大好きな人向けに書くと「要するに中距離で空き巣をするなら今年しかない」。今年のIrish Champion S.は例年よりかなりレベルが低いと言われそうです。この辺りでマイル路線から生きのいい3歳馬が攻めてこないですかね。Sussex S.(GB-G1 T8f)でコケちゃったAraafaが来ないかな、というのが面白いかなと。

馬の差よりも騎手の差か。

2006-07-30 21:59:25 | 競馬
巧みにHurricane Runの進路を無くすようにAscot Meisterの名を汚さぬ騎乗をしたL Dettori。Electrocutionistの追い出しを待ち、一瞬開いた進路から矢のように抜け出したC Soumillon。そして、C Lemaireは何がしたかったのだろうか。

失礼ながらそんな感想を抱いてしまったKing George VI & Queen Elizabeth Diamond S.(GB-G1 T12f)だった気がする。Dettoriも焦ってたようには見えたのですけどね。Soumillonは鞭の使い過ぎで騎乗停止と。確信犯だな。個人的な見解では「馬の差」よりも「騎手の差」が出たかなという感じ。それも「経験の差」かなと思っております。その件についてはMarlさん@REVERY_L_ELEKTRAも触れられていましたね。私はLemaireの騎乗は決して駄騎乗ではないものの、例えば04年秋に見せたダンスインザムード@天皇賞・秋やコスモバルク@JCなどの「100%を超える力を引き出す騎乗」は出来なかったということだろうと思います。そういった意味では「ハーツクライではなくてLemaireが物見するんじゃないか」などと冗談を言い合った程の「LemaireのAscotの経験の少なさ(直線コースの騎乗経験しかない上に、前日の騎乗機会もふいになった)」も問題になってくるのでしょう。Lemaireに有馬、Dubai Sheema Classicに続く三度目の素晴らしい騎乗を期待するよりかは、経験豊富な例えばKinaneなんかに乗せてもよかったのかな、という感覚はあります。とはいってもLemaire自身は昨年Divine ProportionsやStarcraftで一躍有名になった感があるので、まだまだこれからが正念場かと。ハーツクライのチャンスは今回だけだったけどな。余談ですが、Soumillonはこれが23回目のAscotでの騎乗で、今回が初勝利となった模様。しかし初勝利がKGというのも何て贅沢なのだろうか。SoumillonにMichael Tabor氏の勝負服が似合わないのと、髪の毛が赤かったのにびっくり。

先手をとるCherry Mixは予想通りだったものの、とにかくハーツクライよりも前にHurricane Runが行くとは思わなんだ。Electrocutionistはハーツクライを見るようにしてべったりと張り付いていたものの、ペースが遅いとみるやHurricane Runの横にスルスルとつき、ハーツクライは一度後ろへ。Dettoriはハーツクライが上がるのとCherry Mixが下がるのに合わせて巧みにHurricane Runの進路を塞ぎ、実況は「Hurricane Run in Trouble !!」みたいなことを叫んでいたと思う。Fabre師も「My only worry was that he might get boxed in.」と言っていたように、この時ばかりはどうしようもなく慌てたのでしょう。ハーツクライが抜け出すところをDettoriが「抜かすものか」と馬体を合わせにいき、Electrocutionistがヨレたのであいた進路をHurricane Runが鋭く抜け出しました。先に仕掛けたハーツクライはその分最後におつりが無かったという印象ですか。

先述した「馬の差」については三頭とも何らかの不安説(Hurricane RunはFabre師の泣きコメント多数、Electrocutionistは当日朝の馬房でのアクシデント、ハーツクライは体調が戻りきっていないという説)があったので「おあいこ」というところでしょうか。Michael Tabor氏と同じく、私も"mesmerized"つまり「魅せられた」一人であり、Hurricane Runの抜け出し方にMontjeuのArcを重ね合わせてしまったひとりよがりな回顧でした。