【高学年】
★「ふたりのえびす 」高森美由紀 作フレーベル館 1,540円
舞台は青森県八戸。太一と優希は5年生。2名とも転校生である。太一はおもしろキャラを演じ、東京からの優希は端正な見た目と苗字から「王子」と呼ばれる。2人とも本当の自分を出せずにいるが、引き受けた郷土芸能えびす舞を練習する中で変わっていく・・
キャラを演じる‥今や小学生でもこうなっているのか、と思った。息苦しい世の中だ…というのが大人の私の感想。
★「5番レーン 」ウン・ソホン作・ノ・インギョン絵・すんみ訳 鈴木出版 1,760円
水泳の名門漢江小学校水泳部のエースであるカン・ナル。しかし最近は他校のライバルキム・チョヒに勝てなくなってきている。優勝したキムの水着の不正を疑ったり、幼馴染みの部長のスンナムや転校生テヤンへの気持ちなど、揺れ動く気持ちを丁寧に描く。
韓国で文学賞を受賞した作品。おもしろかったが、韓国の名前になじみがなくて、この子は、男の子だったっけ・とか、どういう設定の子?とか。このあたりが私的には読みにくかった。。
★「魔女だったかもしれないわたし」エル・マクニコル作・櫛田理絵訳
PHP研究所 1,540円
自閉的な少女アディは音や光に敏感だ。対人関係がうまくいかないこともある。自分を抑え仮面をかぶることもある。ある日、授業で「人と違う」だけで魔女の疑いをかけられ、処刑された人たちを知る。自分と重ね合わせたアディは、慰霊碑を作ろうと奔走する。
これはイギリスの作品。いくつもの文学賞を受賞している。こういう世界を知る、ということが大切。
★「中村哲物語・大地をうるおし、平和に尽くした医師」松島恵利子作
汐文社 1,760円
中村哲氏はアフガニスタンで医師として働くが、子どもたちが亡くなったり、農産物が実らなかったりするのは干ばつが原因ということを知る。要するに「水」である。数百の井戸を掘り、全長25㎞の用水路を作る。65万以上の人たちを救う。
これは本が届いて、真っ先に読んだ作品。中村哲先生って、母方伯父さんが作家の火野葦平氏だったってことを知った。ほおおお・・である。
それと、手塚治虫さんのように昆虫大好き少年だった。それで初めてパキスタン・アフガニスタン山岳地帯に足を向けたのは登山隊に随行する医師の仕事で、それはこのあたりがモンシロチョウの原産地で行ってみたかった、ってことだって。ウーン、人の縁というか運命ってすごい。天の配剤、を感じた。