国語塾長、情報集めて考えます・書きます的ブログ

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小樽 啄木のうたのこと

2023-09-27 10:30:50 | 日々の雑感

 

かなしきは 小樽の町よ

歌うことなき 人人の

聲の荒さよ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

啄木は明治40年9月に小樽で創刊された小樽日報社に入社。(20歳か19歳)

姉夫妻の家に寄宿。姉の夫(山本千三郎)は小樽駅の初代駅長だった。

頑張って働いていた啄木だが、社内の内紛で同年12月に退社。

翌年1月に釧路へ向かった。

・・・・・・・・・・・・・・

啄木は、小樽の前は確か函館にいて、北に向かっていますね。

これは、当時の北海道の開拓と発展とともに、動いているといってもいいのかな、と。

 

うたに戻って

素直に解釈すれば

小樽の町はあまりに悲しい

人々は、歌うこと(これは「思索する」とか「花鳥風月を感じて味わって楽しむ」ととらえてもいいか)

などせずに

金儲けや仕事のことだけ、声高に話してしている。

って感じかな。

しかし、

かなしい・・・は悲しい、哀しい

以外、古文的には「愛しい(かなしい)」がある。

この「愛しい」は古文の世界では「かなしくなるほど好きだ、いとおしい」という過剰な愛情表現にも使われる。

さて

啄木は、半年もいなかった小樽をどう思っていたのか。

愛していたのか、やれやれ、と思っていたのか。

どっちなんでしょう?

両方っていうこともありますよね。

掛詞、なんて技法もありますし、何より人の心は複雑ですし。

そういえば

「愛憎相半ばする」とか「愛憎入り混じる」という言葉もありで。

 

啄木の歌碑はあと2つ小樽にあったようです。

小樽公園

こころよく 

われに働く仕事あれ 

それをし遂げて 死なむと思う

 

小樽駅

子を負いて

雪の吹き入る停車場に

我見送りし 妻の眉かな

 

 

 

 


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