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ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

学生時代バンドのオリジナルLPをCD化 〜 Lamb「招待夢(完全版)2025」

2025年04月27日 | プログレ
 このたび、学生時代のバンド Lamb のオリジナル・アルバム「招待夢」をリミックスとアップグレードしたCDRとカセットテープを4月2日にリリースしました。
     

 と言っても発売しているわけではなく、関係者のみの配布です。
 このバンドとオリジナルのLPについてはこちらで載せたことがありますので詳細は割愛しますが、実は出して数年後に2曲ほど新たにレコーディングした曲がありました。できればセカンド・アルバムにという思いだったのですが挫折し、そのままになっていました。今回それらを加えた完全版としてCD化したいと思い、この3年ほど取り組んできました。オープンテープ音源をMacに取り込んでDAWソフトでリミックスや補正等をしつつ若干音を加えたアップグレード・ヴァージョンです。ジャケットのイラストもカラー化するなど趣を変えて40数年前の思いを改めて形にすることができました。
 音源の方はすでにYouTubeにアップしているので興味のある方はぜひお聴きください。プログレッシブロック・サウンドです。


いしだあゆみ / ブルー・ライト・ヨコハマ

2025年03月17日 | ミュージック
 いしだあゆみは好きな歌手でした。
 小学生の頃、歌謡曲番組で見た途端好きになりました。きっと幼心にも好みのタイプだったのでしょう。当時流行ってた「ブルー・ライト・ヨコハマ」(橋本淳:作詞、筒美京平:作曲編曲)のシングル盤を買いました。ついでながら、その後に出た「あなたならどうする」(なかにし礼:作詞、筒美京平:作曲編曲)シングル盤も手元にあります。当時のレコードで複数枚持っているのはピンキーとキラーズといしだあゆみだけです。
 今日はこの2枚をターンテーブルに載せて聞きました。盤がジャリジャリ言ってます。それで気がついたのですが、どちらもジャケットに楽譜が載ってました。カップリング曲も含めて。そういう時代だったのですね。
   

   


YES / Relyaer 「リレイヤー」50周年

2025年02月01日 | プログレ
 50年後の追っかけプログレ、第2弾はYESのRelayer(リレイアー)。このアルバムのリリースは正確には1974年12月であるので1ヶ月遅れの追っかけである。
 YESに関してはロック・ミュージックに目覚めた頃に聴いたClose To The Edge(「危機」)に感動し、続いてFragile(「こわれもの」)を聴きその後3枚組ライブアルバムYESSONGSを無理して購入。当時は自分にとってYES全盛の時期であった。続いてリリースされたのが「海洋地形学の物語」。大いに期待していたのだが2枚組で全4曲というのは結果的に仰々しく、ちょっと引く感じだった。その後キーボードのリック・ウェイクマンが脱退したというニュースを聞いてがっかりし、しかし後任は誰だという注目をしながら次のアルバムの完成を待ちわびていた。それがRelayerである。発売が決まった時、地元のレコードショップに「まだ入りませんか!?」としつこく電話して手に入れたアルバムでもある。
   
 期待に満ちて聞いた時、あれ?何か違うな、、と思ったものだ。新キーボーディストのパトリック・モラーツはレフュジーというトリオ・バンドにいてその演奏をラジオで聴いていたのだが、ちゃんとプログレぽいものだった。それがYESに入ったらそれまでのシンフォニックなバンドの曲の雰囲気がかなり違ったものに聞こえた。結果的にあまり好みの感じではなかった。ということでこのアルバムはそれほど聴いてはいない。今回本当に久しぶりに針を落としたのだがやはりピンとこない。この後、リック・ウェイクマンが復帰してリリースしたアルバムGoing For The One(「究極」)にてシンフォニックなAwakenも収録されたが、私にとってのYESはやはりそっちなのである。
     
 そういう事情でリリース当時に購入した緑色の帯の付いた国内盤はいつか処分し、今手元にあるのは買い直したUK盤である。マトリクスがA1/B1なので初期盤だとは思うが、本当の初盤はジャケットの座しているメンバー写真に対する名前のクレジットが位置的に合っていない表記だったという。こちらは座っている位置と同じように表記されているので後の修正後に発売されたものと思われる。初盤らしいくっきり繊細なサウンドには聞こえず音量的に大きくて歪みを伴った、良く言えば迫力ある音である。
  
 所有するアナログ盤としては我が家の数少ないイギリス・オリジナル盤の一枚。そこだけは貴重だ。


「2025本格ミステリ・ベスト10(原書房)」を読んで

2025年01月21日 | ミステリー小説

 2025年が明けて早くも1月の下旬に差し掛かってしまった。投稿が久しぶりであることをお許しください。ここまでの間何もやっていなかったわけではなく、先週まで音楽活動に取りかかっていた。「かあこ&橙水車」というユニットでこのたび松田聖子の「瑠璃色の地球」という曲をカバーさせて頂いた。これに2ヶ月くらい集中して、ようやく一息ついたところである。よければ下のリンク先(YouTube)でお聞きください。

 さて、私が好きなのはプログレッシブ・ロックとミステリ小説である。昨年末に恒例の「このミス」が発刊されたが、実は私は原書房から発売された「2025本格ミステリ・ベスト10」(探偵小説研究会・編集)の方を見ている。この「本格」というのがミソである。色々なタイプのミステリがあると思うが、ロジック・トリック・伏線・意外性そして謎解きなどがちりばめられた本格ものこそ私が求める作品なのである。

   

 この中で最初に「2024国内本格ミステリ・ランキング」として30冊の小説が紹介されている。だが、何とそれらの中で読んだ作品は26位の「明智恭介の奔走」(今村昌弘)のただ1冊のみであった。この1年の間に自分の知らない優れた本格ものが他に29冊もあるとは!今となって知る事実にあまりにも悔しかったものだから、第9位「冬期限定ボンボンショコラ事件」(米澤穂信)、第10位「案山子の村の殺人」(楠谷佑)、第17位「日本扇の謎」(有栖川有栖)の3冊を立て続けに購入。現在「日本扇…」を読んでいる最中である。

   

   

 新刊に対してしっかりとアンテナを張り巡らせていた訳でもないのでこのような状況は仕方がないのかもしれない。だからこそこうした参考書が必要なのだ。案の定、解説を読むとぜひ読んでみたい!と思わせる作品ばかりであるから財布が痛い。

 一方「2024海外本格ミステリ・ランキング」では10冊が紹介されているのだが、読了したのは第6位の「白薔薇殺人事件」(クリスティン・ペリン)のみで、あと第1位の「死はすぐそばに」(アンソニー・ホロヴィッツ)は購入してあるが未読という状況。わたしは普段は海外物を読むことが多いので他の作品もタイトルだけは見たことのあるものが多くあった。

   

 結局新刊にばかり目を向けていたわけではないからなあ、と思っていたら「2000年代クオータリー・ベスト本格ランキング」というコーナーがあった。これは国内作品の2000年から2023年までの24年間の優れた本格作品をアンケート形式で選出し発表したものだが、トップ10の中に5冊、さらに11から28位までの中で5冊所有する作品が含まれていた。特に第2位「首無の如き祟るもの」(三津田信三)と第8位「medium」(相沢沙呼)は本当に面白かった。前者はホラー+本格ミステリーという大好きなジャンルだし後者は「すべてが伏線」という帯のキャッチコピー以上に驚いたことを覚えている。横溝正史作品のように何度も読んでみたいと思える小説だと思う。そう、結局は読みたいから買って読んだだけなのだが、上位作品の中の10冊を体感できているというこの感覚はちょっとした自己満足である。ただ、圧倒的に高評価の第1位「名探偵のいけにえ」(白井智之)という作品は失礼ながら作家も含めてまったく知らなかった。今後チェックしなければ。

 本格ミステリーの旅は今年も続く。

   

 


ジェネシス/The Lamb Lies Down on Broadway「幻惑のブロードウェイ」50周年!

2024年11月26日 | プログレ
 ザ・ビートルズのオリジナル・アルバムを50年後のリリース同日にアナログで聴くという追っかけイベントを行った後、うっかりしていた。今から50年前の1970年代前半はプログレッシブロック全盛の時期で、名盤と思われるレコードがたくさんリリースされていたのだ。このことに気がついたものだから、我が家にあるアナログ盤を元に50年後の追っかけプログレを実行してみることにしたい。
 
 1回目として今回針を落としたレコードはジェネシスのThe Lamb Lies Down on Broadway(邦題「幻惑のブロードウェイ」)である。このアルバムは74年11月22日にリリースされたそうだ。時期もまさに50年前である。そして私はこのアルバムをイギリス盤で購入した。詳しい状況は忘れてしまったが、東京のレコード店に通信販売で申し込んだと思う。当時はすでにジェネシスの大ファンだったので、この新譜は何としても早く手に入れたいと動いたのだろう。
 
 改めてマトリックス等を確認すると2枚組4面すべてが2Uとなっている。ネット情報を探るとそれは初期プレスであるそうだ。リリース直後の購入ではあったので当然そうなのだろう。改めて針を落としてみると、クリアではっきりした音が聞こえる。ただ残念なのは薄くブーンという音がサウンドの向こう側に鳴っていること。これは以前このアルバムを本ブログで紹介した時にも文藝別冊「ジェネシス〜幻惑のシンフォニック・ロック」中の記事を引用し触れたことではある。(同誌で井上肇氏が「残念なのは全編に渡って50HZのノイズ(低レベルではあるが)が混入していることだ…」と指摘している(p.172))。まあ、演奏が始まると楽曲の良さに引き込まれてしまうのでそれほど気にはならない。リリース50年後の22日(日本時間)に久しぶりに通しで聴いたのだが、多彩な曲とそれに伴う多彩なアレンジ、そして全てピーター・ゲイブリエルが手がけたという詞と物語。2枚組のコンセプト・アルバムとして傑作以外の何物でもない。
 なお、オフィシルのジェネシス・ストアのアナウンスによると、The Lamb Lies Down On Broadway 50th Anniversary Super Deluxe Edition とのタイトルでLP+Blu-ray及びCD+Blu-rayのボックス・セットが来年2025年3月に発売となるようだ。
 
※このアルバムを紹介した以前の記事はこちらです。

我が家のMEET THE BEATLES!はファースト・プレスなのか?

2024年09月15日 | ザ・ビートルズ
 久しぶりにザ・ビートルズの話題を。アメリカ・キャピタル盤の7枚のアルバムが11月22日に復刻再発されるとのニュースが入った。『1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO』とのタイトルで、全8枚からなるボックスセット版と2枚組ドキュメンタリーのThe Beatles Story を除く6枚は単発でも発売されるとのことである。
 
 (Universal MusicのThe Beatles Storeより転載)
  
 2004年、2006年、2014年に出た紙ジャケCDボックス版の方は、各アルバムごとにモノラルとステレオの両ヴァージョンが収録されていた(THE U.S. ALBUMはこちらで紹介)が、レコードによる本商品はモノラルによるリリース。オリジナルのマスターテープから71年にキャピトルスタジオに設置されたカッティングマシーンを使った、アナログにこだわった制作がなされたと紹介されている(Universal Musicの詳細ページより)。ちょうど60年が経った節目の時期もあり、なかなか魅力的ではあるが難点は高価格。ボックスは5万円以上、各アルバムも国内盤(帯が付くそう)は一枚あたり7千円以上、輸入盤も6千円以上の販売価格。ファンはどう受け止めるか?
   
 ところで、古本になるのだが「ビートルズ アメリカ盤のすべて」という冊子を購入した(中山康樹+小川隆夫・著、集英社)。過去の本ブログでも紹介したように、私が初めてビートルズのアルバムに触れたのがYesterday And Today だったことから私はキャピトル盤が好きで今は一応一通り持っている。そしてこの本をとおしてある事に気がついてしまった。それは私の所有するキャピトル盤ファースト・アルバムMEET THE BEATLES!が初期のオリジナル盤らしいということだ。その根拠を同誌から引用すると、①ジャケットのBEATLES文字がブラウン色であること②ジャケット裏面の左下にプロデューサー名が印字されていないこと。①も②も後の時期に変更されている。ということで改めて確認してみるとまさに該当する。
   
 さらに初期盤の中でもファースト・プレスの証はレコードのセンター・レーベルに記載されている曲目の後の時間表記の前にASCAPなどの著作権名が印字されていないことでわかるらしい。もしかしたらと期待しレーベルを確認。残念ながら私の所有する盤にはBMI ASCAP文字があった。ということでファースト・プレスとの判断とはならないようだが、それでも初期プレスであることは間違いないと確認できた。
    
 ただ、このレコードが手元にある経緯が面白い。ビートルズの他のアルバムをオークションサイトで落札した時に、出品者からMEET THE BEATLES!をおまけで付けます、という申し出があり実質無料で入手したのである。確かにジャケットはスレが酷く、また盤にも表面的な傷が多く付いていて売り物にならないと判断されても不思議はない状態だった。が、数十年も経つLPに経年の汚れがある方が歴史を感じさせるし、それに盤は見かけによらず全く音に影響がなかったのである。かつての所有者と思われる人名?が書かれているのも味がある。
 
 ということでたまたま入手したこのアルバム、我が家の重要文化財の一枚である。肝心のサウンドはどうなのかと言うと、音量を上げるとそれなりに迫力がありかつ、細かいところまでしっかり聞こえるように思う。だが何と言っても「抱きしめたい」で始まりALL MY LOVINGという大ヒット曲も含まれている。60年前の熱狂が垣間見える気がする。
 
 さて、前述の「1964 U.S.アルバムズ・イン・MONO」だが、Universal Musicのサイトを見るとこのアルバムのカラーディスク盤やTシャツもあり、実は購入欲がそそられている、、、
 

うれしい新刊!エラリー・クイーン「境界の扉〜日本カシドリの秘密」(越前敏弥・訳/角川文庫)

2024年06月21日 | ミステリー小説
 全く予想していなかったのだが、エラリー・クイーン国名シリーズの最終巻が刊行された。これは素直にうれしい。表紙カバーのイラストも従来の流れのまま。帯には「国名シリーズ<プラス>最終巻!!」と謳われている。
   
 だが、この作品は本来は国名シリーズではない。1958年に創元推理文庫から「ニッポン樫鳥の謎」として出されたが、原題は The Door Between 。登場人物が日本と関係しており、日本に関する記述があることから強引に国名シリーズに加えたと推測できる。ただ、年代的には「スペイン岬…」が1935年、スエーデン燐寸の秘密としても良かったと前書きに触れられていた「中途の家」が36年、そして37年がこの作品なので、実は国名シリーズの流れを汲んでいたと言えるのかもしれない。今回の角川文庫版も原題に加えて「日本カシドリの秘密」としているのはなかなかではないか!これで、創元版「ニッポン樫鳥の謎」の新訳と判断もできる。

 ともかく早速読みたくて地元の書店に向かった。だがどこにも置いていない。結局札幌駅前の紀伊國屋書店に行ってみた。だが、そこにもなかった。最終的に店員さんに聞いたら調べてくれて、入荷はしていますと持ってきてくれた。店頭に並べられていなかったようだが、購入後に見たら発行日は6月25日となっていた。1週間前に入手したのはフライングゲットだったのだろうか?

 今現在「サスペンス作家が殺人を邪魔するには」を読んでいる(これはこれで面白い)ので、お楽しみはあと数日後である。

<追記>
 読了。数十年ぶりの再読だったが初読と言って良い面白さを味わえた。やはりこの作品のタイトルは「日本カシドリの秘密」とした方が良いのでは。読んで頂ければその意味はわかってもらえるだろう。確かに「境界の扉」という言葉も重要なのだが。
 クイーンの日本への理解を存分に発揮した本書だが、まさかその数年後にアメリカと日本が敵国同士になるとは、誠に残念な歴史の流れである。

これは面白かった!(その2):「サスペンス作家が人をうまく殺すには」エル・コシマノ(辻 早苗・訳/創元推理文庫)

2024年06月07日 | ミステリー小説
 ジェット・コースターのように次々と上下左右に飛ばされる小説である。次は一体どうなるのかとなかなかやめられない、「予想外の展開で一気読み必至!」と扉の紹介文にあるとおりの面白い作品であった。

 主人公フィンレイは売れないサスペンス作家なのだが勘違いされて高額な報酬の仕事を依頼される。それがある人物を殺すというとんでもない仕事なのだが、それをきっかけに様々なことに巻き込まれていく展開である。だが、主人公自らが自分で自分を巻き込んでいくところもあって、ユーモラスな要素もある。このキャラクターは魅力的である。そしてベビーシッターが協力者として登場するあたりから物語は俄然面白くなる。最後はどうなるのだろうとハラハラドキドキな気分に浸ることができる。未読の方々はぜひお読み頂きたいとお勧めする。
  

 この一冊があまりに面白かったので、続編の「サスペンス作家が殺人を邪魔するには」も買ってしまった。前作と同じ人物が多数登場するのでこれから読むのが楽しみである。

これは面白かった!:「最上階の殺人」アントニー・バークレイ(創元推理文庫)

2024年06月01日 | ミステリー小説
 ミステリー小説は相変わらず読んでいる。最近では海外物では「8つの完璧な殺人(ピーター・スワンソン)」「窓辺の愛書家(エリー・グリフィス)」。それぞれ意外な真犯人の設定と物語が映像的に次々と展開されている面白さがあった。だが、その手の小説を読んでいると古き良き時代の本格もの、即ち探偵がじっくり考えて真相を導き出すような作品が読みたくなってくる。そのような嗜好にピッタリだったのがアントニー・バークレイ作「最上階の殺人」(訳:藤村裕美 2024年2月刊)である。これは面白かった。

  

 とある殺人事件の真相を暴こうと独自に調べ始める探偵ロジャー・シェリンガムだが、容疑者達と会いながら推理していく。本作の場合、彼の思考が物語中で適宜語られる。当然状況や新事実によってその考えが変わっていく。真相にたどり着くまでに探偵がどのように考えていくのかを読者は同時進行で知る。これが誠に面白い。そして、最後には真実はコレだと見なしたことが実は…、となるのである。なぜかシェリンガムの協力者となった被害者の姪との迷?コンビぶりもユーモアがあり楽しませてもらった。

 もともとバークレイ作は「毒入りチョコレート事件」を以前読んでいたのだが、多重解決が語られる作品である。「第二の銃声」も写真の帯にあるように多重解決もの。バークレイはそうした展開が得意なようで今回の「最上階の〜」も同様の傾向があり、その意味でも楽しむことができた。お勧めである。

  

 なお、「レイトン・コートの謎」も昨年発刊されたシェリンガムもので、こちらはワトソン役の友人を従え密室的な殺人に挑むのだが、真犯人の意外性にすぐれた作品である。


今日の一枚:「 Once Is Not Enough(いくたびか美しく燃え)」〜ヘンリー・マンシーニ生誕100周年

2024年05月04日 | ミュージック
 今年はヘンリー・マンシーニ生誕100周年ということである。調べてみたら1924年4月16日生まれとのことで先月がちょうど100年目であった。そのため4月はマンシーニを特集するラジオ番組がNHK-FMだけで3本もあった(大友良英「ジャズ・トゥナイト」、挾間美帆「ジャズ・ヴォヤージュ」、片山杜秀「クラシックの迷宮」クラシックの迷宮だけ聞き逃し配信がなくて残念ながら聞き逃した!)。

 好きな映画音楽家として私にとっての三大巨匠は、フランシス・レイ、ミシェル・ルグラン、ジョン・バリーだが、実はここ数年圧倒的に聞いているのはヘンリー・マンシーニである。そして最近のお気に入りが映画「Once Is Not Enough(いくたびか美しく燃え)」のサントラ。LP盤は入手困難の状況だったが、何とかシングル盤を見つけゲットすることができた。

  
   
 このジャケット写真は刺激的だが、テーマ曲は秀悦である。まず、メロディーが美しい。ピアノとオーケストラによる流れるような旋律が心を打つ。さらに、マンシーニ曲の定番であるコーラスが聴かれる。『マンシーニはコーラスが良い』とジャズ・トゥナイトでも大友氏が言っていたが、同感である。そもそも子どもの頃聞いた映画「テン」の「Don't Call It Love〜愛と呼ばないで」が大好きでその曲は全編男声女声コーラス。「ティファニーで朝食を」「シャレード」「ダーリン・リリ」などコーラスの入る名曲は多い。まだまだ他にも未聴の名曲がたくさんあるのだろうな。今後の楽しみとしておこう。
 ちなみに、このシングル盤のB面「ペトロフカの少女」について、ジャケット裏の解説には一切触れられていないのだが、レーベルを読むとマンシーニ作曲のようである。どことなくシベリアを感じさせる哀しくも美しい旋律の曲である。

ヘンリー・マンシーニについては2013年2月にこのブログでも紹介しています。ここです。実は今回と同じようなことを書いてました。



世界の小澤OZAWAとYESSONGS

2024年02月12日 | プログレ

 令和6年最初のブログです。年が明けてほぼ1ヶ月半が過ぎてしまった。この間いろいろあったのも事実だが、書くペースも遅くなっていることを自省します。

 さて、先日小澤征爾氏が亡くなったそうだ。私がこの世界的に有名な指揮者の名前を知ったのは、1973年に発売されたYESの3枚組ライブアルバムYESSONGSのオープニングで聞かれるストラヴィンスキーの「火の鳥」によってである。小澤征爾・指揮、ボストン交響楽団*による「火の鳥」がここで使われていると知った。プログレ大好き高校生が聞いた初めてのYESのライブでは、クラシックの音楽が流れ、その終わり部分にリック・ウェイクマンの弾くメロトロンが重なり、間髪入れずに1曲目のシベリアン・カートゥルが始まる。何てカッコいいんだ!高校生の私はそう思ったに違いない。

    

   

 ロックを聴く前はクラシックや映画音楽、イージーリスニングを好んでいたが、YESSONGSをきっかけに改めてクラシック音楽にも興味を持つようになった。EL&Pが取り上げた「展覧会の絵」は知ってはいたが、ストラヴィンスキーは全く知らなかったし、その後ラヴェルやドビュッシーなども聞くようになっていった。こうして振り返ってみると、小澤氏の演奏が私の音楽嗜好を拡げてくれたきっかけになったのかもしれない。

    

 (小澤征爾指揮、パリ管弦楽団による「火の鳥」。)

 ちなみにアルバムYESSONGSについては12年前にこのブログで紹介しているので、もしよろしければご覧ください。

 *YESSONGS 日本盤ライナー、立川直樹氏の解説による。


中森明菜のLPを2枚買う

2023年12月30日 | ミュージック

 CRIMSON(クリムゾン)。中森明菜1986年リリース10枚目のアルバムで、私はこれが大好きなのである。特に1曲目のMIND GAME の曲調、アレンジに最初に聴いた時から惹き付けられた。カッコイイ。作曲者が小林明子というのも驚きだった。「恋におちて」のイメージが強かったから。2曲目は竹内まりあ作の「駅」。作者の夫君がこちらのヴァージョンを聞いて異議を唱えた?という話があるが、私はこの明菜の囁くように歌い上げる方が断然好みだ。その他、何回も聞いたアルバムなので全曲耳に馴染んでいる。

 前置きが長くなったが、今年このアルバムのアナログ盤が再発された。それも今回は45回転2枚組でのリリースだ。気がついた時には少しばかり時機を逸してしまったが、何とか手に入れることができた。そして、前回紹介した新しいレコードプレーヤーにて聴いている。A面からD面までの4サイドがあるわけだが、前述の2曲を聴くことのできるA面ばかりヘビーローテーションしている。ついでにいうと、この盤は1枚目が赤、2枚目が青のカラーディスクである。また、ジャケットがモノクロ(全然クリムゾン=深紅でない!)で味わい深く、このLPサイズは部屋に飾りたくなる。

   

 個人的には当時流行のシンセサイザーの音が多用されているのが懐かしい。そして、オリジナルでは最終曲「ミック・ジャガーに微笑みを」にラジカセにカセットを入れるなどの効果音が重なっているのだが、この度のヴァージョンでは効果音なしのテイクがボーナストラックとして収録されているのも話題になっている。

 さらに、今月「中森明菜ベストアルバム Best Ⅱ」が2CD+2LP+カセットテープから成るボックス形態で発売された。シングル盤がほとんど1位を取った時期の作品(DESIRE、TOTTOOなど)10曲が収録されているのだが、45回転2枚組のLPと今回はカセットまで付いている。価格も1万ちょっととのことで、思わず予約を入れていた。そちらも先日届いたばかりだ。ちなみに今回のLPも赤色とピンク色のカラーヴァージョンである。

   

 このように中森明菜については「中森明菜デビュー40周年記念ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズ」として過去の作品が次々リイシューされているのだが、解説を読むと今回の音源は「ラッカーマスターサウンド」と呼ぶ手法で制作された。曰く、「アナログレコードの原盤であるラッカー盤にカッティングし、カートリッジ(レコード針)で再生した音を、デジタル化した音源。原音に限りなく近く、アナログレコードの持っているふくよかなサウンドを再現!」。ということはレコード音源をデジタル化してレコードにしたのを今聴いている?(これに関してはいつも疑問に思うのだが、アナログをデジタル化した音源はアナログ的な音色なのだろうか?)

 さて、中森明菜は林哲司氏トリビュート・アルバムのため「北ウイング」を再録音(これが大人の雰囲気でオリジナルとは全く別物だが素晴らしい!)するなど、徐々に活動再開に向けた動きが感じられる(という世論の読み)。長らく活動を休止していた状況から、ファンの皆さんは再登場を心待ちにしているのだろうが、音源的にはすでに再登場を果たしてくれた。私としてはこれらのレコードを聴くだけでひとまず満足だが、はたして年末の復活はあるのだろうか。

 そんなことも気にかけながら2023年が終わる。来年こそ世界に紛争のない良い年であることを願い、今年最後のブログとします。


ダイレクトドライブのレコードプレーヤ−

2023年12月23日 | 音響製品

 今まで手元にあったレコードプレーヤーは安価なベルトドライブ型である。レコードを聴くことが充分にできるのだが、若干ピッチが合わず不満もあった。昔のようにダイレクトドライブのレコードプレーヤーが欲しいなと思ってもいたが高価で手が出ない。ところが先日、アマゾンのブラックフライデーで目をつけていた製品が2割引になっていた(それでも自分にとっては高価ではあったけれど)ので思い切って購入してしまった。

   

 その製品はオーディオテクニカのAT-LP120XBTという機種である。見た目はとても重厚で、カートリッジを接続しスケールバランスを取るなど、昔所有していたプレーヤーと手順は同じ。レコードを乗せて回すとストロボ点滅により正確なピッチであることがわかる。これには思わず興奮してしまった。パソコンとのUSB接続でレコード音源をデジタル化できるなどの機能もあるがまずはレコード再生である。絶対にいい音で聴けるはず。

 こういう場合に最初に聴きたい盤は何だろうか、ということで以下はその時聴いたレコードを簡単に紹介する。ちなみにオーディオ・セットは、これも数ヶ月前に購入したパナソニックのCDプレーヤーSA-PMX90とその付属スピーカー。それまで使っていたONKYOのMD/CDプレーヤーのCD部分が壊れてしまい、修理に挑戦するも失敗したため購入した製品である。Hi-Rez対応でUSBメモリ等を接続することでFlacファイルなどが再生できることも大きな魅力なのだが、何と言ってもスピーカーの音質がもの凄く良い。特に低音の出が素晴らしくて、この品質の良さは驚きであった。

 さて、この時聴いたのは当然、自分の好きなアルバムということになる。順に上げてみる。

1 最初にターンテーブルに載せたのはYESのClose To The Edge「危機」アメリカ盤両面マトリックスAである。大迫力の重厚な音が鳴り、最初のこの一枚で大満足。

   

2 だが、それで終わるわけはない。続いては、KING CRMSON の LIZARD。初期のアルバムで一番好きな作品。こちらは中学生の時に買った国内盤ではなく数年前に購入したアメリカ盤。AT/GPありの両面マトAA。一応AAはファースト・プレスと思われるが充分迫力ある音と繊細な演奏に耳が離せなくなる。

   

3 3枚目は大好きなミシェル・ルグランSUMMER OF '42「おもいでの夏」サウンドトラック。一番好きな映画音楽。そして久しぶりに全面を視聴。実はサントラの音源ではないのと、アルバムとしては「ピカソ組曲」という別の作品が収録されている。

   

4 ここで邦楽の代表として松田聖子のTouch Me, Seiko。シングルのB面を集めたアルバムだが、名曲がたくさん収録されている。聖子ソングで私が一番に好きな「蒼いフォトグラフ」(テレビドラマ「青が散る」のテーマ曲として有名)、SWEET MEMORIES、隠れた名曲「制服」、そして松任谷由実作の「ボン・ボヤージュ」など好きな曲が多いアルバムだ。

   

5 次に目が行ったのは、アントニオ・カルロス・ジョビン。タイトルはJOMBIN。このアルバムで有名なのは「三月の水」で、ポルトガル語と英語の2ヴァージョンが収録されている。が、加えてクラウス・オガーマンのアレンジによる重厚な夢弦サウンドと共に美しい小品が並ぶ。

   

6 5のストリングス・サウンドに触発され聴きたくなったのは、パーシーフェイス楽団のBOUQUET「愛の花束」。特に1曲目のアルバム・タイトル曲は重厚なストリングス・サウンドでこのシステムでも充分美しく聴くことができた。

   

7 次に聴きたいのはジャズとなる。ビル・エヴァンスMOON BEAMS。ジャケットを飾るだけでも持っている価値のあるアルバムだと思うが、そのサウンドも美しい。ピアノの音がきれいに、心地よく鳴る。こちらの盤はかなり後の再プレス。

   

8 さて、ここまで来てTHE BEATLESのアルバムを聴いていないことに気がついた。次はビートルズだ、と思ったがどのアルバムにしよう?中々決められなかったが、結局LET IT BEにした。持っている3枚はすべて国内盤だが、70年6月にリリースされたボックスセット用のシングル・ジャケットをセレクト(AP-9009)。両面ともチリノイズが多く、何故か後のプレス版よりおとなしめの音がする。だが、音量を上げると迫力が出てとてもイイ感じに鳴る一枚だ。新しいプレーヤーでもチリチリ音は変わらず。

   

 

 このプレーヤーが到着したのは休日だったけれど、聴くのはこの辺が限界。だが、音を確かめたいアナログ盤は他にもまだある。徐々に乗せてみよう。

 そんな時に新たに購入したレコードが届いた。(次に続く)


NOW AND THEN / THE BEATLES 最後の新曲

2023年11月18日 | ザ・ビートルズ

 Tower Recordsに注文していたザ・ビートルズの最後の新曲 NOW AND THEN が届いた。  

   
 配信となった今月上旬から数週間遅れてのリリース。私が購入したのはシングル盤の透明ディスク・ヴァージョン。
 もともとデモ的な音源だったそうだが、結果としてかなり作り込まれた印象。解説を読んで知ったのが、ABBEY ROAD 収録のBECAUSE でのコーラスを流用していること。たしかにそんなコーラスワークが聞こえる。
 何度も聴くと、それなりに曲が馴染んできた。ビートルズの4人が関わった新曲?としての価値はあるかもしれない。
 ちなみに、裏面はLOVE ME DO。最初のシングルとラスト・シングルのコントラストを味わうということか。
 それにしても、これで三千円は高い気がする。ファンだから買ってしまうけれど、、、。
   
 

アルバム「狂気」と「太陽と戦慄」50周年

2023年11月08日 | プログレ

 50年前の1973年は高校に入学した年だった。その年、ピンク・フロイドの「狂気」とキング・クリムゾンの「太陽と戦慄」という2枚のアルバムが発売された(英国発売はどちらも3月)。プログレ大好き少年の私としては当然のことながら注目をしていた。だが、どちらのアルバムを購入するかということは大問題であった。高校生の小遣い程度では両方を手に入れることは難しいからである。

 結局私はクリムゾンの新作の方を買った。デビューアルバム「宮殿」に衝撃を受けロックに目覚め、「リザード」に夢中になった私にとってクリムゾンは変わらず神秘的で別格の存在だったのだ。そして、フロイドの「狂気」はNHK-FMの番組で全曲を放送しタイミング良くカセットテープに録音することができたという状況もあった。(当時はそのようなラジオ番組があった。イエスの「海洋地形学の物語」やEL&Pの「恐怖の頭脳改革」も全編オンエアされた記憶がある。)

 しかし、そのクリムゾンの新作を聴いた時、何か違うなという感覚を持ってしまった。1曲目の「太陽と戦慄パート1」の攻撃的な音は私が期待したサウンドではなかった。確かに「放浪者」のようにフリップのアコギが入り、フルートやピアノの音が重なる叙情的な曲もあったのだが全体的には激しいロック・サウンドという印象だった。結果としてお気に入りのアルバムとはならなかった。

 それに比べて、「狂気」の方は一部激しいサウンドや前衛的な部分もあるが、全体的には叙情性が豊かな印象だった。トータル・アルバムとしての存在感もあった。結局、「狂気」の方が好きになった。だが、カセットテープでいつでも手軽に聴ける「狂気」をレコードで入手することはなかった。レコード盤で購入したのは2011年のことである。

 思い起こせば、1972年のイエスの「危機」に始まり、私にとって73年はプログレッシブ・ロック全盛の時であった。ジェネシスのFoxtrot(72年リリース)を高1の時の同級生から借りて初めて聴いたのはこの年であった。また、イギリス以外のヨーロッパのバンドが盛り上がった年でもあった。72年に発表されたオランダのバンドFocusの「Ⅲ」が73年に日本でリリースされ、その後ライブアルバムを発売。その彼らの2作目Moving Wavesは素晴らしい出来だった。またイタリアのP.F.M.が「幻の映像」を秋に発売。このアルバムはプログレのほしいところを全て網羅した傑作だったと思う。とにかくこの年は夢中になるバンドがありすぎて、翌年には高校でプログレバンドを作るまでになってしまったのである。

 50年前、1973年はそんな思い出深い年であった。

   

   

  (左下は50周年記念盤CD "LIVE AT WEMBLEY 1974"。右下はDOLBY ATMOS MIXなどが収録されたブルーレイ盤)

 

(本ブログにて以前「狂気」について記したことがあります。→ 思い出のプログレアルバム#11「狂気」